異世界で神から最強の力を手に入れたはずがそれが最弱だった件について

世界攻略

第二十五話 カエルの肉焼き



俺たちは部屋に戻ろうと扉を開けると腕を組み、頰を膨らませているエリシアとアリシャが怒りをあらわにして待ち構えていた。




「竜二!明日香!私たちは怒っています。起きたら竜二がいなくて焦ったんですよ!今外に探しに行くところでしたよ!また置いてかれたと思って、本当に悲しかった」




「ご、ごめん。中々眠れなくて外を散歩してだだけだ。そしたら明日香とも偶然出くわして一緒に回っていたんだ。エリシアとアリシャが心配してたなら本当にすまん、この詫びはいつか」




「そうですよ竜二!闇魔法を司る私でも心配したんですから。また、また、離れていってしまうと思ったら涙が...」




アリシャの目には涙が浮かんでいる。闇魔法は関係ないと思うんだが、心配かけてしまって胸が痛む。




「アリシャ心配してくれてありがとう。もう離れないから、もしどこか行くってことになっても2人にはちゃんと言う。だから本当にごめん」
 



「何回謝っているんですか竜二は。もうわかりました。もう本当に無しですよ」




アリシャは微笑を浮かべ言う。




「竜二、絶対に私から離れないでね」




「それちょっと誤解が含まれるから人がいる前では話しちゃダメだよ!」




「っ?」




エリシアが頭の上にはてなマークを浮かべている様子を見て俺はツッコミが失敗に終わったと悟った。
 



「いや、これからは絶対に離さない!必ず!」




エリシアと同じで意味深が含まれる言い方で行ったのだが、




「ちょっと竜二、それはちょっと怖い...」




引かれてしまった。




「エリシアが先に言ったんだよね⁉︎」




「それと、明日香もですよ!」




俺の横で笑顔を浮かべながら眺めていた明日香がエリシアに突然声がかかり驚いた様子になる。




「っっん、はっ離れないよ。私、エリシアちゃんとアリシャちゃん好きだもん。絶対に離さないから」




「私も明日香を離しません」「私もです!」




明日香にエリシアが抱きつき、その次にアリシャが抱きついて、なんか微笑ましく思える。




「なら一件落着ということで朝飯にしようぜ」




「なんか竜二に指図されるのは気に食わないけど私もお腹すいたから行くわ」




「竜二と私は恋人でいつも一緒にいたいから、竜二にどこまでもついて行く」




「お前と恋人になった覚えはないんだが」




「ダメですよ明日香殿、竜二が困っています。なので私と行きましょう竜二」




「あぁ、みんなとな」




俺たちは一階にある食堂へと向かった。
今日の料理は朝からなんとハンバーグみたいなものだった。




「ちょっとおばさん。朝からハンバーグって重くないか?」




「おばさんとは失礼なー。私はまだ30代よおねぇーさんと呼びなさい。それでハンバーグだったけ?私はそんなもんは知らないが、私が作ったカエルの肉焼きが食べれないと言うのか?」




30代っておばさんではないのか?
テーブルの前で腰に手を当て、話をしてる自称おねぇーさんはぽっちゃりとした体系で少し可愛らしい。
この食べ物はハンバーグと見た目も香りもそのままなのでもし言わなかったら食べていたと思うと虫唾が走る。




「い、いや食べたいんですけどその...」




「なんだい?」




「カエルが...」




「食べなかったら私はもう自殺する」




自称おねぇーさんはメンヘラだった。




「そうよ竜二。朝はカエルの肉焼きを食べるって相場が決まってるの!だから文句言わずに食べなさい」




「昨日の朝は普通にパンとトマトのスープを食べてたよね?カエルが好きだからって相場を決めないでくれない⁉︎」




「何ー?竜二が私に口答えするー。明日香、アリシャ助けてー」




なんかエリシアのキャラが変わってる気がするんだが。
それに反応して、明日香とアリシャが口を挟む。




「竜二、私があーんしてあげるから、カエル食べよ?」




「お前までカエルの毒がにハマったのか!食べないから辞めてくれ朝、肉は辛いんだって」




「そんなこと言わずに、はいあーん、口を開けて竜二」




明日香は肉を切り左手に持っているフォークに肉を指して俺の口元に持ってくる。




「だからお前に餌付けされるくらいだったら死んだ方がマシだわ!」




「ひ、ひどい、、、竜二がそんなこと言うなんて、私は竜二をこんなにも思ってるのに。私悲しい」




手を目に当て、泣き真似をして俺の様子をうかがっていたが俺は無視に徹した。




「明日香殿、竜二が困っているでないですか。竜二はカエルが欲しいだけなんです。だから私のカエルをあげます」




「お前はただ自分が食べたくないだけだろ!」




「竜二、そんな、、、私はただ竜二を思ってのことだったのに」




「な訳あるか!嘘も大概にしろ!」




「わかりました。そんなに言うなら私だって食べるもん。食べたくないわけじゃないもん。竜二が要らないなら私がしょうがなく食べるもん」




「前に普通にカエルうまいとか言って食べてたじゃねぇーか」




「それはそれ、これはこれです。うまいとは言っても、やっぱり体がまだ受け付けてないんですよ。抵抗がまだあるんです。それを言うなら竜二だって」




「俺もカエルには抵抗あるんだよ!しかも朝にハンバーグとか胃もたれで今日先に進めなくなるぞ」




「竜二、カエルうまいなー」




エリシアが俺にカエルを食べているところを美味しそうに見せつけてくる。髪を耳にあげる仕草や唇がツヤツヤしていてエロい。




「竜二ー、カエルうまうまだよ。竜二もほら食べな」




「た、食べるも、、、のか、、」




「竜二、見てください。全部食べましたよ。これで竜二が食べないなんて言ったら私は泣きます」




「一瞬でカエルを食べるとかどういう能力持ってるんだよ!」




「私は味を味わいたくないんです!」




「そこ見栄張るところじゃねぇー。わかったよ。アリシャでも食べたんだから俺も食うよ」




「竜二、でもとは何ですか!でもとは!私は闇魔法を司る使い手なんですよ!あまり見くびらないでください!」




「はいはい」




「竜二は''はい"は一回と習わなかったのですか?」




「はーーーーい」




「っっん、もういいです。それより早く食べてください」




「わかってるよ。それじゃ食うぞ」




俺はナイフで肉を切りフォークで肉を取り、それを口に入れる。
味は独特の臭みはあるもののどこか癖になる味がやみつきになり、食べるスピードが早まる。




「う、うまい」




「でしょ?私はカエルに関して詳しいから、聞きたいことがあったらなんでも答えるわ」




「一生聞かない自信があるが」




「竜二ー、あの...とても言いにくいのですが」




アリシャが俺を上目遣いでもじもじしながら見てくる。




「何だ?早く言え」




「その、カエルをくれませんか?」




「無理だーー。これは何が何でも譲れない」




この旨さに俺はハマってしまったんだ。だからカエルを誰にも渡すことはできない。




「そうですか、わかりました」




「何だ、案外引きはいいんだな。っておい!」




「油断させる作戦です」




「それは、それだけは、や、やめてくれーーーー」




アリシャは俺がアリシャを見ていた瞬間に俺の見えない視覚からフォークを瞬時に持ち、カエルを取っていった。
それを口に頬張ると凄く満足した表情になっている。




「竜二、油断は大敵ですよ」




「あぁ、そうだな。アリシャ、覚えていろよー」




「もう忘れました」




「いやでも思い出させてあげようか?」




「竜二、怖いよー。心の狭さが表れてますよ」
 



「心の狭さとか言われると虚しくなるからやめて!しょうがない、不問にしとくから、俺に感謝しなよ」




「竜二はちょろいですね」




「お前には言われたくなかったよ」




俺とアリシャが言い争いをしている途中に明日香の声が響いた。




「竜二、私のはまだ残ってるからあげようか?」




明日香の皿にはまだカエルの肉が一切れ残っていた。




「いや、お前のは絶対にいらない」




「酷いよ。竜二ー」




明日香は俺の言葉を聞くと諦めた様子で一気にカエルを食べた。




「みんな食べたみたいだな。では竜二が言うサーラス洞窟に行くとするか」




エリシアは席を立ち上がり、俺たちに指示をした。




「そうだな。なるべく早い方がいいしな」




エリシアの言葉を聞いて俺たちは立ち上がり、部屋に戻って荷物を持ち、最後に部屋に忘れ物がないかを確認し、部屋を後にした。もうこの街には来ないからな。これから先は明日香が行ったことがない場所だから歩いていかないといけない。ここからが正念場だ。長い長い旅が始まる。


あの夢が何だったのかわからないが絶対に俺たちは全員生きて帰る!
より一層闘志を燃やし、俺たちは宿屋を後にした。




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※お読みくださりありがとうございます。
最近モチベーションが上がらないため投稿の日にちが空いてきています。どうかこの作品の感想を書いて頂けないでしょうか。感想をいただけたのならモチベーションが上がり、やる気が出て、凄く嬉しいです。よろしくお願いします。

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