奴隷として召喚された俺は世界最強の暗殺者になる

世界攻略

第3話 拷問



「...」




「ピーちゃん。これからお楽しみよ!リアちゃんは黙って私たちの遊びを存分に見てなさい!」




「はい...」




そう告げると太った女は胸の谷間にしまっていた小さな剣で俺の腕を切り落とした。


えー?


俺は突然の出来事に頭が追いつかない。
今俺、腕切られたのか?何で俺の腕がない?
ただ落としただけだぞ?食べなかっただけだぞ?




「痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い」




大量の血が俺の右腕から迸り、今にも気を失いそうだ。痛すぎて熱くなる。むしろもう死にたい。




「んっっん!」




リアが鎖を動かして抵抗する。俺の拷問が見てられないのだろうか。先程の太った女の命令があるせいでリアは黙ったまま体だけが動いている。




「わっはははははははは!ピーちゃん面白いー。待ってて今私が腕を治したあげるから!私に感謝しなさい!」




ー何を言ってるんだ、お前がやっておいて感謝とかふざけるな。
太った女は落ちている俺の右腕を取り、元あるところに取り付けると手をかざした。手からは黒色の魔力が注ぎ込まれ、俺の右腕は元どおりに戻った。何の違和感もなく、動かせる。




「はぁーはぁーはぁー。ふざけるな!こんなことして許されるとー」




俺は最後まで言葉を告げることが出来ずに太った女は容赦なくまた腕を切り落とした。しかも今回は両腕。奴隷紋は腕の上の部分にあるのでその下を奴隷紋を傷つけずに切り落とす。




「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」




気絶しようにも気絶出来ない。太った女は俺の腕を切り落とし、すぐさま治癒させる。何回も何回も何回もこれを繰り返す。どれだけだったのだろうか?気絶出来たらよっぽど楽だっただろうに。こんな苦痛から逃げたい...。


俺は塞いでいた目を開ける。視界には俺の様子を伺っている太った女がいた。




「ピーちゃんまだ目が死んでないー。1日目では難しいのかしら。悲しいー。これは抉らないといけないなかな。ピーちゃんが狂うまで!」




そうして太った女は俺の目を抉り、すぐさま治癒する。まだまだ太った女の調教は続くみたいだ。


ー怖い。怖い。目が見えなくなる。混沌の闇が渦巻き、誰かが呼ぶような幻聴も聞こえるような気がする。とても痛い。


その後も色々太った女の調教は続き、俺はとうとう狂ってしまったようだ。腕を切られた、痛い。目を抉られた、痛い。爪を剥がされた、痛い。足を切られた、痛い。腹を裂かれた、気持ちいい。気持ちいい気持ちいい気持ちいい、痛みを越して、傷つくたび、気持ち良く感じる。
笑っている。俺が笑っているのを笑っている。痛いのにそれをされてしまうと笑いが治らない。
ふと、リアを見ると薄暗い闇に陥っているかのような目でこちらを見ていた。リアも狂っていたのか、病んでいたのか、苦しんでいたのかと俺はこの状況になって改めて感じた。
なんて理不尽なんだ。


日本でも陥れられ、異世界でも俺は陥れられる。もうこの世の中、滅んでしまえ・・・。




「はぁー。やっとね。随分かかったわー。でもこれで私はピーちゃんを手に入れた。凄く嬉しい!汗だくだくだわ」




「殺す...」




「え?ピーちゃん何か言ったかしら?」




「殺すって言ったんだよ!」




「ご主人様に向かって口答えするなんて私許さない!まだ、お仕置きが必要だったかしら?」




「何度でもお前を殺す、俺はお前のおもちゃなんかになるつもりはないぜ」




「っっ!!次はアイアンメイデンでも使って拷問しようかしら、色々使うのが飽きない秘訣よね」




一瞬、俺に怒りを向けたが、すぐに冷静になり、奥の方から拷問器具を取り出す。




「さぁー、これに入りなさい!ピーちゃん!」




「わかりました...」




やはり、命令されると強制的に反対の言葉が出てくる。行動も逆らえないのだからこの奴隷紋は恐ろしい。


俺は太った女が持ってきた、アイアンメイデンなる拷問器具に入ろうとした時、横から絞り出した微かな声がかかった。




「それに入ったら死んでしまいます。どうか辞めてくれませんか?ご主人様」




可愛らしい少女の顔はとても悲しそうだった。




「だったらリアちゃんが代わりに入ってくれるの?」




「私だったら構いません。でもピーちゃんにはやらないで下さい」




この少女は俺の代わりに自分の命を引き換えにしようとしている。抵抗も心苦しさも何もかもなく、どこか遠くに行きたそうなその目に俺は怒りを覚えた。




「殺す!俺はそう叫び続けるぞ!だから俺を早く調教した方がいいんじゃないか?」




「なかなかいい度胸じゃない?その心意気、私買うわ!リアちゃんはまた今度として、さっそくピーちゃんで遊ばせてもらう。買った初日で死んでしまうかもしれないなんて、本当勿体ないけど、このゾクゾク感には逆らえないわ」




そう言うと俺をアイアンメイデンの中に押し込む。中にある無数にある棘に自分の体が痛めつけられるのになんだか、嬉しい感覚があることに違和感はない。
俺は既に狂い始めている。痛いものが気持ちよく感じてしまうし、もっと痛めつけてとさえ思えてしまう。だけど、自我は確かにある。この太った女を殺して、リアと一緒に逃げるという目的が確かにあった。だから、殺す。こいつを殺す。
ーだから俺は諦めない。


アイアンメイデンの扉がゆっくりと閉まろうとしている。少しずつ、少しずつと閉っていく。そして、アイアンメイデンの棘が腕の奴隷紋を切り裂いていく。俺はその時を待っていた。
完全に閉まろうとしていた、その時、俺は右足を入れて、塞がるのを止める。次に棘に刺されている右手を無理矢理動かし、その隙間に手を入れる。左手も入れ、徐々に扉を開けていく。




「ど、どうしたのかしら...。扉が開いていくのはなんでなの??」




「残念だな。俺はお前を殺す。もう手遅れだ」




「うふふ。奴隷紋がある限り、私に逆らえないわよ!ピーちゃん止まりなさい!」




「だからもう手遅れって言ってるだろ!」




「ま、まさか」




太った女は俺の腕を見ると、奴隷紋が切り裂かれているのを見て、顔を青ざめる。




「奴隷紋が...。アイアンメイデンを使う奴隷ちゃん達はみんな死んでるから、想定していなかったわ」




「さぁー死ねーーーーーーーー!!!!」




俺は扉を開け、太った女に右ストレートを顔面にくらわせる。太った女は後方に倒れ、顔面を抑えている。




「くっ!!!!ただじゃおかないわ!!おもちゃがご主人様に逆らうなんて信じられない。私を怒らせたらどうなるか思い知りなさい!リアちゃん。ピーちゃんを殺しなさい!!」




リアは鎖に繋がれている。リアの細い身体では絶対に切れない。なのに、、、




「命令ってのはね。強制力が働くからどんなことでも出来るのよ!」




リアは鎖を壊し、手錠も壊して、俺に襲いかかってくる。




「ごめんなさい。ピーさん...。手が勝手に動いて、、、逃げて、、下さい。逃げて!!!」




リアが涙を流して、切れた鎖を振り下ろそうとしている。なんて悲しいんだ。こんなことがあってはならない。俺は今にも気絶しそうだ。手が切り裂かれて、正気を保っているのが不思議なくらいだ。でも、今気絶してしまったら、リアを助けられない。俺が死んだら、ずっとリアはこの牢獄に居続けることになるんだ。だから、死ぬわけにはいけない!だから、生きなければいけない!俺と同じのリアを守るために!


俺は鎖を右に避け、状態を立て直す。そのまま床に落ちている(先程、太った女が俺を拷問していた時に使っていた)ナイフを取り、リアの奴隷紋目掛けて投げた。




「少し。痛いの我慢してくれ。あとで気がすむまで謝るから」




そして、目掛けたところにナイフは命中した。リアの奴隷紋に傷が入り、皮が少し抉れた。




「いっっっっ!!!」




リアは叫び声をあげ、右腕を抑えた。




「ピーさん。ありがとうございます!これで自由になりました!」




やはり、奴隷紋は傷がつければその能力はなくなることがわかった。これは凄く良い情報を手に入れた。まだまだ亜人の奴隷が居るはずだ。そいつらを解放できる道しるべが今、見えたんだ。




「よし、リアはそのから動くな。俺がこいつを殺す」




俺は太った女に向かって歩く。一歩、ニ歩、三歩目で目の前についた。




「ピーちゃん?ちょっっ、と。流石に殺さないわよね、、、?」




太った女は凄く怯えていて、腰が抜けていた。顔は青白く、俺に恐怖していた。




「甘えたこと言うんじゃねぇーよ。お前は俺やリアを殺そうとしていたんだ。だから、お前が殺されても仕方ないよね?それが当然の報いだよね?」




「ひぃーーーーーっつ。や、めて。なんでもするから殺すことだけはやめて、お願いだから、、、」




太った女は土下座をした。先程まで嘲笑っていた人間がこうして地の果てまで落ちた瞬間を俺は目にした。少し、高揚感があった。興奮した。優越感があった。
俺は足を真上に掲げて、太った女の後頭部に叩き落とす。

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