真実は狼になってから

笹のゼリー苦かった

人狼について考える〜「わたしがしんじつ?」1--2。

ーーーーー「???視点」

誰かが言った。
--あたしは愛されたかった。けれど、もう其れは過去形になっていた。
誰かが言った。
--貴方には愛されたかった。けれど、もう其れも過去形になっていた。
少女は泣いた。
--私はだれにあいされたかった?そんな簡単な事も、わかんなかった。

☆☆☆「主人公(ミカ)視点」

文章を読み上げた。視線を逸らした。逸らした先は死体の上に被せられた、
白だった布。血に染まった其れを誰も見ようともしなかった。
怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い…。
(助けろよ…誰でもいいからさっさと…)

「…占い師さん。霊能者さん。お願い、出て…胸やズボンについたポッケに
カードがある筈だから…!」

か細く、大きく呟いた。…誰も出ない。
(だよね…。)
死にたくないから。
当たり前なの。殺されたくない、偽物が出たら?皆に疑われて殺される?
本物だって証明しても邪魔者扱いされて無惨に喰い殺されるのに?
誰だって、マイナス思考。こんな状況で、生き残れると口には出来ない。
生き残りたい、守りたいと願うだけ。守る、生き残る。と断言出来ない。
…1人、名乗り出た。

「…僕が…占い師です…!!」

褐色少年小さく叫んだ。アーニーが?こんな小さな少年が勇気を抱いて?
負けられない…。そう、思ったのに。

「…アーニー、何言ってんだ?俺に嘘吐くなよ!それとも、誰かを守る為か?
俺を守る為、人狼の味方でもないのに名乗り出たんだろ?そう言えよ…。」 

褐色が、名乗り出た。煙草の吸い殻をテーブルに押し付けては荒々しい口調に
無理やりな笑みを貼り付けながら対抗する。

「…占い結果は?無いのなら信じられませんわ。でしょ?サンドラ」
「…占い結果は?無いんなら信じられないのよ。でしょ?ジェシカ」

「…僕の…占い結果は…」

閉ざした口を開き、褐色少年は泣きながら笑みを零していた。

「ヒューさんは、人狼じゃありません。人狼だけじゃないの?
偽物?僕達の味方じゃないの?意味わかんないよ。ねぇ?ヒューおじさん…。」

…眼鏡の淑女は嗤う。母が子に向ける様な暖かい瞳なのに、酷く冷たい視線を向けた。

「言い忘れてたけれど、…狼に味方する悪い人間がいるのよ。
役職名<狂人>。占っても狼です。とはならなくって…。
私達側に判定されるの。ヒューさんの占い結果は?…教えてよ」 
「…俺を疑ってるのかい?お嬢ちゃん」
「寧ろ疑ってないとでも?ねぇ、教えて。早く、早く。早く。」

つぅ、と褐色の男性の首に細っこい指を這わせて密かに嗤う黒髪淑女。
一瞬、そう。一瞬だけ、一時ちょっとだけだから許して…。彼女が蛇に見えた。
大蛇、でなく小さな蛇。本体の力は微力であり毒の効果もそんなに無し。
けれど、多くの感染症や合併症を引き起こす様な黒い蛇。
姑息で狡猾で意地汚い蛇。
そんな風にしか、私には彼女を見れない。

「…ミカお嬢ちゃんは、狼じゃねえぜ。」
「え?」

驚いた。私はそんなに怪しかったのだろうか?だから占われたの?
(信用ないなー…)
え?とか言って仕舞ったな。これは私が怪しまれ…

「ねぇ、それ本当なのなの?お兄ちゃん、どー思う?」

なの語尾。兄。お団子娘…。

「…現時点じゃどっちが本物なのかは解らないや。ごめんね、エマ。」

掴み掛かられたが怪しまれてはないらしい。

「そうなのよ、エマさん。全く真偽が解らないのに疑うのはどうかと思うの。
ね?サンドラ」
「そうなのですよ、エマ。真偽なんて解んない癖に疑うのはどうなのかな?。
でしょ?ジェシカ」
「君ら、エマを疑うつもりか!?」

ロディが彼女らに訴えかけ--あれ?
…黒リボンが笑った。目を擦る。…嗤、ってた。こんな状況で?何故?眼鏡の淑女もそうだったけれど、なんでこんな場面こんな立場に置かされて笑えるの?

(…私、死体を見た時も泣いても叫んでもないし発狂してないのは何故?)

そうだ、死体なんて普通見たら泣いたり腰が抜けたり叫んだりする物だ。
叫んだのも泣いたのも占い師を名乗る褐色少年だけ。彼だけが本物マトモ
他は?私は?

本物マトモじゃ、ない…?)

そんな私の無表情に見せ掛けた動揺を打ち消し、私の方に触れ、男性は言った。
言ってくれた。

「人は冷静だ。俺らは本物マトモだ。焦るな、焦るより考えろ。
考えるのは人狼が誰かだけでいい。…解ったな?」

黒髪淑女とは酷く真逆な視線だった。酷く冷たい其の瞳は、確かに暖かい。
信用出来る。この人は嘘を吐いてない、この人狼だとしても嘘吐きじゃない。
人間だって確信した訳じゃない。でも…
(「私と違って」優しいんだな…。)

「…有難う、マイクさん。」

冷たく私の口から放たれた「有難う」は、彼の耳に確りと届いていた。
黒髪淑女は言った。

「はいはーいミカさんでしたね?
占い師出してくれて有難うね。じゃっ、次は霊能者さん宜しく。
その人は誰を殺すか決めて下さいね。」

(…誰を殺すか、決めなくちゃだったんだな。)

『『…………』』

沈黙。

「…皆は、気分的に「誰を生かすか決めて」の方が良いのかしら。
消去法で決めれば誰を生かすかで殺す奴決めれるものね。」
 「…」

沈黙。褐色少年と同じ様に、1人がまた沈黙を破る。

「俺だ、マイクが霊能者だ。文句ある奴出てこいよ」

暖かい瞳を持っていた彼が名乗り出た。
納得って奴が出たんだな。

「…マイクさん。貴方…本当に霊能者?1人しか出てなくても信用しないよ?
私。もしかしたら本物、喰らわれるのが嫌で出てないだけかもよ?
信用出来ないよ?ねぇ。本物だとしたら、ごめんなさいって謝るから。怪しませて。」

……私が言った。一人しか出てなくても信用しないとか阿呆らしい馬鹿らしい。
 でもさぁ、
(こんな場面で信用なんぞ出来るかよ。)

「元々霊能者は居ないかも知れない。」

止めろ。

「信用してた奴らの名前添えられた手紙送られて、こんな事してんでしょ」

止めろってば。

「…なんで簡単に信じてるの?殺人鬼が居るのも解った。占い師は本物絶対出てる。って、なんで信用出来んのよ。」

止めろって言っても、解ってないじゃん。自分。

「それなのに信じるなんて…<馬鹿>みたい」

(馬鹿は私でしょ?理解しろよ、自分。)
ペラペラベラベラ喋っちゃって辛気臭いとこ更に辛気臭くする雑魚の事。
解ってんだ。だからーーー

「ふざけないで!」

声を荒らげる黒いリボンの女の子。大抵無表情なのに…こんな場面で。
胸ぐら掴んで、叫べて、本物マトモらしく生きれてんの。羨ましい。

「おいおいお嬢ちゃん、止め---」

「…暴力行為は良くないぞ」

そう言った。私に偽物呼ばわりされた癖に、私の胸ぐら掴んでるその手を押し退けて。なんて優しい霊能者なんだろう。…これ、偽物だ。役職の事じゃない。
偽物なのは、態度の方。

「…有難う」
「偽物が出ないならマイクさんが霊能者って事で。殺す人、選んでくれる?」

そっと彼に囁いて、お願いした。そして彼は口を開く。

「フェイ、お前を殺す。消去法、確りしたからさ。安心して逝け」

…彼女を?最初の方にはぺらべらと良い事喋ってた、眼鏡の淑女を?

「後悔するよ。」

嗤いながら皆に言う。

「後悔なんて人間誰しもするんだ。狼だとしても、生き長らえさせときゃ。
って思うかも知んないんだからよ」

間なんて開けず、言う。其の鋭い瞳で、其の暖かい瞳で。

「私、狼を知ってるわ」

… 信用は出来ないが発言はして欲しい。少しくらい考察は聞きた---

「ミカさんよ。そこの黒髪の。」

え?違う、私はそんなんじゃない。私は人を殺してなんかない。

「根拠は?」

そうだ、根拠だよ。其れを言わなきゃ話になんない。

「私が狂人だからよ」

…つまり、狼は占い師を名乗る人達に居ると?でも私じゃない。私じゃないの。

「…今日はフェイを殺す。文句、あるやつは?」

胸を撫で下ろした。私も、染まってた。だって私に疑いが向けられなくて良かったって、其れは淑女の死を願う事を意味している様な物。
(フェイさんが処刑される事になってよかった。)

「だがな、ミカ。お願いがあるんだ。条件。」

自分が生き残れるならば、なんでもしよう。そう思ったのに。

「フェイを殺すの、やってくんない?」

????

「銃は見付けた。爺さんの部屋から拝借して来たよ。」
「俺も人は殺したくない。罪悪感で眠れなくなるのは御免だよ。」

嘘だ。

「そんなの…出来なーーー」
「じゃあお前を殺す。」

間髪入れず答えてくれた。本当に、私の事駒としてしか思ってないな。

「ちょっと、其れは余りじゃないのかしら?そうでしょ、サンドラ。」
「そうねジェシカ、其れは酷過ぎるわ。霊能者になったなら罪悪感は背負うべき物なのよ。」
「実に小物。そう思わない?ジェシカ」
「そうねサンドラ、実に阿呆としか....。」

私の味方をしてくれるらしい。けれど、私は…。

「解った、殺るよ。」

笑いながら、そう言う道しか残されて無いのだから。仕方の無い事。
悪いのは進行悪いのは霊能者悪いのは私じゃない。私はなんにも悪くない。
生き残りたかっただけ。私は決して…悪じゃない。私にも、2つ目の道があった。
自分を正当化して殺すか、そうしないで嘆いて殺すか。勿論前者を選ぶ。
彼の取り出した銃を強引に奪った。聞かなきゃ殺せない。彼奴がもう一度殺せって命令したら、其れを理由に私は罪悪感忘れられる。

「今すぐにして良いんでしょ…?」

泣きそうに震えた声。私は悪くないと正当化しながらも罪悪感を覚える自分に酔いたい。

「…見たい奴はどうぞ見て。見たくない奴は後ろを向いて。
銃声を聴きたい奴はどうぞ聞いて、聴きたくない奴は耳を塞いで。
今から…フェイを処刑する。ミカ、殺れ。」

恨んでやる。八つ当たりとか知らねーよ、そんな事。一生恨んでやる。
そもそも生き残れるのか解んないから死んでも恨んでやるにしとくよ。

「死んじゃえ」

其のメッセージを霊能者に送りながら、私はフェイを殺した。最初は腕。
次は腹。痛みに苦しんで居るのに。何で、何で…

「愛してた」

(なんで、笑っているの?)
誰に伝えてるのよそんな事、って思った。

「霊能者さん…愛してる…。
好い人よね。本当にいい性格してる…。」

気持ち悪い。

「…私、そーゆー人大好き。なんで貴方が殺してくんなかったの?」
「そもそも人任せにしただけで罪悪感覚えらんないのがそもそも屑。違う?」

前者は理解不能、後者は代弁してるみたいに思ってる事スラスラ吐いてくれる。

「願い下げだ。何で俺がお前の為に罪悪感態々覚えて殺さなきゃなんねーの?」

バン、バン。3発目は足に当たった。4発目で、頭。やっと死んでくれた。
外を見た。もう夜か。扉を開こうとした。鍵は閉まっていた。そもそも吹雪いているから外行っても死ぬんだけどね。

「自殺すらさせてくんないのかよ…」

静かに嘆いた。フェイの亡骸、眼鏡を取りチェーンだけの質素な自分のネックレスに其れを取り付けた。今日から殺した人の所有物を自分に取り付ける事。
一夜に一人しか殺しちゃ駄目、其のルールは酷く刻まれた。

「今日の会議は終了。各自昨日泊まってた部屋に戻って…おやすみなさい、」

扉を開いて、ベットに敷かれたシーツに自分を沈める。ふかふかベット、清潔なシーツ。ベット脇に置かれた自分には似合わないもふもふなぬいぐるみ達。
昨日より重い、ポケットを確認した。
(そういや、私の役職って何なんだろ。)

「私の…役職は…」

人狼。仲間は…ジェシカ。
どうやら、一日に2人も殺して仕舞うらしい。ルールは直ぐに破綻した。





今日のマトメ。マイクは霊能者、アーニーヒューが占い師と名乗る。
アーニーはヒューを白と占い、ヒューはミカを白と占った。ミカは狼なので、
真偽判明!相方の狼は白いリボンのジェシカ。基本的には笑っていて姉に同調。
そして逝ったのはフェイ。
いきなり主人公が狼ってのもアレですが今後も宜しくお願いします!

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