真実は狼になってから

笹のゼリー苦かった

人狼Jについて考える…。〜「黒猫の猫又」


「…私が死ななきゃ。」

私が死ななきゃ、味方が勝てない。私が死ねば皆皆市民喜ぶの、
其はそんなに喜ばしい事?皆は闇の中だから見間違えてる。私は、黒くない。
汚らしい焦げ茶の尻尾を揺らして囁くの。

「…本当に、私が死んだら勝てるの?」

彼は言う、

「絶対に勝てる、だから…死ねよ。テメェの一つの命投げ捨てるだけで、
大勢の仲間が喜ぶんだ。そんなに光栄な事はないだろう?」

彼の牙が恐ろしい、毛並みの良いフサフサの尻尾と耳を自慢げに揺らす彼。
本当に、私が貴方の味方だと勘違いしてる。笑えないよ、こんなの。
だって…。私が悪いみたいじゃない!
良いな良いな、貴方は負けても生き残れるんだから。私が死んで勝っても
貴方が居なくちゃ意味無いのに、なのに!なのに!
私は、生きていたいと願うのだから。

「私が死んで、貴方達貴方でなく市民をを勝たせてみせる。」

私は彼に嘯いた、もう一人の狼は確か大馬鹿者だった。
そして彼は私の計画通りに殺してくれた。彼の牙で、彼の爪で殺されて…。
居る様な気がした。ごめんなさい、大馬鹿者の彼と、貴方を重ねて仕舞う
自分が怖いの。大好き、だから負けて頂戴な。狼さん。

「愛してた」

そう密かに呟いて、息絶えた。そして三日後、市民陣営が勝利した。
ゲームマスターは面白そうに私等を見ていた。そして新しい犠牲者が屋敷に
迷い込む、一人の老人は何も知らなかった、 
友人がゲームマスターである事も
そして自身が最初の犠牲者な事も
迷い込んだ人は喰われるって事も。
何も何も何も知らない一人の哀れで悲しき物語の最初の犠牲者はずっと微笑んでいた。


「酷い吹雪ね…」

古びた屋敷にノック音と数々の老若男女達の声が同時に囁く。

「「「「「「「「「誰か居ませんか?」」」」」」」」」

と、孤独な屋敷の中で独り響いた。大勢で言っているのに…1人の少女が、
か細く囁く様な声で…。不思議に思わないかしら?そして二人の老人が扉を開く。
人々を玩具の様に見る狂気のゲームマスターと、
今宵犠牲者となる事も知らない哀れな老人だ。そして夜が明けたら
ゲームの始まり、そして朝に響く数々の叫び声と掠れ声!ゲームマスターは
独り微笑む。

「さあ、人狼を見つけ出しましょう!」

と言葉を放った。この人狼ゲームが初めて出来た時に初めて来た人達は
今迄生きてる。死に続けて生き続けてる。私も、だけれど。もう直ぐ記憶も…
無くなって生き返ると思うの。勝利し、生き残った人々は記憶を持ち
次のゲームへと。けれど登場人物の事は覚えられないみたいなの。やっぱり笑えるわ。私は記憶を無くし生き返り次のゲームへと向かうの。
人狼Jというゲームには30名しか参加者は居ない、絶えず絶えず遊戯が
行われるのは生き返り死に帰り続けるから。私達は愛しているの、そう!
この残酷なデスゲームを。簡単な遊戯、簡単な遊び。
負けても皆は悲しまないわよね?だって自分が死ぬ訳じゃないのに。
けど貴方、人狼に噛まれた時とか?
そのキャラクターは無惨に死んでいるの。
市民に殺される時だって射殺されてる。頑張って、そのキャラクターを
生かしてあげてよ。決して、死に帰らせないで。

…お願いよ?

「皆が死なぬ事を、私は死に帰りながら願っている。」

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