夢源華守姫のノエシス
プロローグ
居間で編み物をしていた至宝幸恵がはた、と寝室の方へ目を遣ると障子の隙間からひょっこりと顔を出したパジャマ姿の娘至宝五月と目が合った。
「あら、五月寝られないの?」
少女は物欲しげに幸恵の方をじっと見つめている。
「おいで」と幸恵が手招きすると、五月はスリッパを履いて幸恵の元へとパタパタと駆け寄った。そして彼女は幸恵の服の裾を掴み、母の事を上目遣いで見上げる。
五月は幸恵の書く絵本の物語が大好きで、幸恵はその自作の絵本を寝物語に毎夜の様に語って聞かせているのだ。しかし、今日に限って幸恵は編み物に夢中となり、いつもの日課をすっかり失念していたのだった。
幸恵は鍵ばりを机の上へと置き「ちょっとまっててね」と本棚から絵本を持って戻ってくると五月は宝石の様に瞳を輝かせ「読んで、読んでー!」と幸恵にせがむ。
「ふふ、分かったわ。じゃあ、今日はこの間読んだ本の続編……【夢源華守姫のノエシス】を読んであげる」
「ノエシス……ノエシスってナニ?」
「う~ん、五月には、ちょっと難しい言葉かも? 人の心や想い、意識といったものの作用……それがノエシス」
「人の……ココロや想い……?」
「そう、目には見えず、感じるというにも不確かで、でもとても大切なもの」
「大切な、もの……」
「そうよ、人の強い想い――【希望】はいつだって実現化しようとする衝動を秘めているの。沢山の人の信念がそして行動が、世界に反映されて今の世界をかたちずくっているように、それを踏まえて、五月。あなたの【希望】は? あなたはどんな人になりたい?」
「わたしのキボウ?」
「私はーー」
「あら、五月寝られないの?」
少女は物欲しげに幸恵の方をじっと見つめている。
「おいで」と幸恵が手招きすると、五月はスリッパを履いて幸恵の元へとパタパタと駆け寄った。そして彼女は幸恵の服の裾を掴み、母の事を上目遣いで見上げる。
五月は幸恵の書く絵本の物語が大好きで、幸恵はその自作の絵本を寝物語に毎夜の様に語って聞かせているのだ。しかし、今日に限って幸恵は編み物に夢中となり、いつもの日課をすっかり失念していたのだった。
幸恵は鍵ばりを机の上へと置き「ちょっとまっててね」と本棚から絵本を持って戻ってくると五月は宝石の様に瞳を輝かせ「読んで、読んでー!」と幸恵にせがむ。
「ふふ、分かったわ。じゃあ、今日はこの間読んだ本の続編……【夢源華守姫のノエシス】を読んであげる」
「ノエシス……ノエシスってナニ?」
「う~ん、五月には、ちょっと難しい言葉かも? 人の心や想い、意識といったものの作用……それがノエシス」
「人の……ココロや想い……?」
「そう、目には見えず、感じるというにも不確かで、でもとても大切なもの」
「大切な、もの……」
「そうよ、人の強い想い――【希望】はいつだって実現化しようとする衝動を秘めているの。沢山の人の信念がそして行動が、世界に反映されて今の世界をかたちずくっているように、それを踏まえて、五月。あなたの【希望】は? あなたはどんな人になりたい?」
「わたしのキボウ?」
「私はーー」
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