女の子のちょっかいには「     」女の子の忠告には「     」

ラーア・マリティ・スクートス

Common Story 最終話 私を受け入れて!

 「ちょっと先帰っててくれる?」

 カフェで、パフェを食べた帰り道、愛加がいきなりそんなことを言い出した。

 「どうかしたのか?」

 「店に忘れ物しちゃったみたいなんだ。だから、取りに行ってくるの」

 「もう道も暗いし、送ってあげたら?」

 美麗が当たり前のように言った。

 「いや、気にしないで。 店も近いし大丈夫だよ」

 そう言って愛加は、さっと行ってしまった。

 ◇ ◆ ◇

 私が店に戻ると、一緒に《《この店でバイトしている》》クラスメイトが話しかけてきた。

 「あれ、愛加どうしたの? さっきはいきなり来たと思ったら、口に手を当てて話しかけるなって合図までして」

 「えーと、それは秘密。でも、女の子には秘密がたくさんある方が魅力的に見えるでしょ」

 「まぁ、そうだね」


 「まぁ、そんなことは置いといていいんだよ」

 そう言って私は、店の奥にいる店長を探しに行った。 

 「店長~、今からシフトはいってもいいですかーー」

 「お、愛加君じゃないか。 いいよ、今すぐにでも入ってくれ。 接客と厨房どっちがいい?」

 「厨房でお願いします」

 (私ついてるな~、こんなときに厨房のバイト足りてないなんて)

 「じゃあ、着替えて洗い物からやっておきますね」

 「あぁ、よろしく頼むよ」

 そういって私は着替えをして、厨房に向かった。

 「やっぱり」

 さっきはついているなどと言ったが、この店の厨房は基本二人で回していて、常に仕事が追いつかなくなっているのが当たり前。しかも、洗い物は店の営業が終わってから店長が1人でやっているぐらいである。

 「それでは私は洗い物を担当しますかね」

 私は誰に言うでもなくそう呟き、洗い物を担当した。

 しばらく時間がたったとき、私は目的のものを発見した。

 そう、私が雅也君をこのパフェに連れてきたのはこれを手に入れる為なのだ。

 スプーン。

 スプーン、スプーン、ストロー、ストロー

 そう、雅也君が使用したスプーンとストロー。

 私はこれを大切に袋にしまって、洗い物を再開した。

 (こんなわたし、誰にも知られるわけにはいかないね)

 「特に雅也君には、今はまだ……ね」


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