おじいちゃんと剣と魔法が紡ぐ第二の人生!!おじいちゃんが知らず知らずに無双する物語!!

ノベルバユーザー349130

第二ラウンド

怨嗟の骨龍レスントドラゴンは南吉たちが戸惑っているうちに、本能のままに特性を準備する。そして、一切の油断なく、全神経をこの戦いに集中させる。それは南吉達も同じだった。

(くっ。よく見たら首が三つあるぞ。)

(ウッソじゃろ………)

怨嗟の骨龍レセントドラゴンの首は3つになった。つまり、攻撃する砲塔が3つになったのだ。脅威度は先ほどの比ではない。

(勝てるかの……?)

(勝たなきゃ死ぬだけだ!!)

そう脳内で叫びながらまたもや縦横無尽に駆け巡るマイク。

怨嗟魔法     死の魔弾デスショット

怨嗟の骨龍レセントドラゴンの首からどす黒い球体が放たれる。

(避けるぞ!!)

南吉の魔法で相殺し、マイクの技術で回避していく。

(魔物とは思えないくらい上手な攻撃だな。)

こちらの動きを先読みして攻撃を打ったようだ。

(頭いいのかの?)

(分からん。なんかの特性か?)

マイクの予想は正解だ。怨嗟の骨龍レセントドラゴンの新たなる特性の一つ、

能力補正     相手の動きに合わせてどこに攻撃するのが最善かを教えてくれる

という特性だ。

(行くぞ。)

(わかったわい。)

攻撃後の隙を狙ってマイクが動く。

水流     水流斬

いくつもの圧縮された水の流れが怨嗟の骨龍レセントドラゴンにぶつかる。しかし、

(硬い!!)

怨念骨竜カオスボーンドラゴンのときとは硬度が全く違う。

(予想外じゃの。)

南吉の先程までの数押しの攻撃は、現在通じていない。

火魔法     火炎の弓矢隊ファイアボウ

南吉の膨大な魔力による、魔法の多重起動。これによって空中に、大量の炎の弓が作られ、放たれる。

(これですら有効打とはいえんの…)

多少傷がついたくらいだ。

(どうする?攻撃自体は避けられるが。)

攻撃自体は油断しなければマイクにとって十分回避可能な密度だ。

(しかしこのままでは負けてしまうしのー。)

今は良くとも、いずれ攻撃があたってしまう。そうなれば敗北は確実だ。

(とりあえず今はさっきまでの攻撃をするしかないな。)

(それしかないのー。)









その後数十分攻撃を続けているが、すぐに回復さてしまって泥沼の戦いになっている。
が、これは南吉にとってはありがたい話なのだ。

(そろそろ魔力衝撃波インパクトで破壊できるんじゃないかの?)

(なら、仕掛けるぞ!!)

今まで、一定距離を維持していたマイクが急激に接近する。怨嗟の骨龍レセントドラゴンもなにかの切り札を打つと理解し警戒する。

(魔力衝撃波インパクト!!)

一瞬だけ、体の操作を返してもらい、渾身の拳骨を放つ。その瞬間、怨嗟の骨龍レセントドラゴンの特性が発動する。

危機回避      自分の身体に危機が迫ったとき、登録してある能力を発動させる

登録されていた魔法は、

怨嗟魔法      死滅硬化膜デスウォールオーラ

体中からどす黒い煙が出現し、怨嗟の骨龍レセントドラゴンの身を守る。

(なんと!!?)

(何かの特性か……。)

南吉や、さしものマイクも驚く。

(これではこの手段もだめじゃのー。)

(本気でまずいな……。)

しかし怨嗟の骨龍レセントドラゴンが待ってくれるはずもなく、戦いは続く。









(………、…これしかないの。)

(何だ?妙案でも思いついたか?)

(捨て身の技じゃがの……。これが通じなければ、かなり厳しいの。)

たしかに南吉の魔力は凄まじいが、その知識はまだまだ発展途上。ならば魔法の使い方で乗り切るしかない。南吉は地球での知識を使って勝利を目指すことにした。

(お主にもかなり無茶を申すが……。)

(気にするな。それしか活路が見いだせないのなら、それをするしかない。)

実を言うとマイク、前世の頃の技の一%も使えない。技の記憶が思い出せていないのだ。戦闘していくごとになんとなく思いだしていっているのだが、まだまだ時間がかかる。

(ならいくわい!!)

そう言うなり、めちゃくちゃに火魔法を放つ南吉。火は燃焼して、温度を上げる。

「???」

怨嗟の骨龍レセントドラゴンは首を傾げる。魔法が全くこちらに向かってこず、周りをくるくる回るだけだからだ。

(おい。これの何が妙案なんだ?)

マイクも呆れている。

(そろそろじゃの。)

(?????)

南吉はある魔法を発動させる。

水魔法    水流

魔力を込めた分、水が出てくる魔法だ。南吉の魔力があるので、かなりの量の水が火魔法が周りを回っている怨嗟の骨龍レセントドラゴンに向かう。

(何が起きるんだ?)

(マイク!!防御するんじゃ!!)






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水というのは、気化すると体積が約千七百倍になる。急激に気化すると、周りの期待を押しのけて、爆発が生じる。この現象を水蒸気爆発といい、いま南吉がしたことはこの発動条件にピッタリ当てはまっていた。






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地面を震わせる大爆発が突如発生する。怨嗟の骨龍レセントドラゴンのすぐ近くで。

(!!!?)

鉄流   鉱石膜

無属性魔法     結界

マイクと南吉が全力で防御する。しかし、この防御すら貫通しかける。

(南吉何したんだ!!)

(あとで説明するわい!!)

爆発は一瞬。しかしそのエネルギー量は凄まじいものだ。

(ちょ、ちょっとやりすぎたかの?)

(ちょっとではなくやりすぎだ………。)

爆発のあと、戦っていた部屋は地形が変わっていた。密閉された部屋でこんな爆発が起きれば当然といえば当然だ。
肝心の怨嗟の骨龍レセントドラゴンはというと、

「グオオオオオ…………」

(凄まじい生命力じゃの……。)

(全くだ……。)

瀕死となっていた。それでもその戦意にはいささかの陰りもなく南吉たちを睨む。

(………とどめを刺すか……。)

大体の生物の致命傷となりうる首もぼろぼろだ。これならマイクでも切れるだろう。

(ちょっと待ってくれ。)

(どうした?)

「………すまんの。同族に手を出して。」

なぜここまでの憎悪を向けられているのか、南吉はなんとなく悟っていた。
南吉は怨嗟の骨龍レセントドラゴンの目を見つめて言う。それ以上は言わない。
敵対した以上、それ以上の言葉はいらない。

(いいか?)

(頼むわい。)

マイクは静かに刀を構え、怨嗟の骨龍レセントドラゴンの首を切り落とした。










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