名探偵の推理日記零〜哀情のブラッドジュエル〜
第5章 生贄の檻 15
「ぼ、僕が怪盗クロウ!?どうしてそんなこと言われなきゃいけないんですか。僕は三重県警刑事部捜査一課の警部補ですよ?ほら、この警察手帳がその証拠です」
指を刺された城ノ口は慌てて内ポケットから警察手帳を取り出すと、それをみんなの前に提示した。
「いいや、お前は城ノ口警部補じゃない。城ノ口警部補に化けた怪盗クロウだ」
「ちょっと待ってください。証拠は一体何なんですか?」
横で見ていた藤島が2人の間に割って入る。
「証拠……。それは今から証明しましょう」
圭介は洗面所でグラスに水を満タンに注ぐと、それを城ノ口の前に突き出した。
「持ってみて下さい。あなたが怪盗クロウではないというなら」
「どういうこと?グラスを持てって」
亜美が不安そうに圭介に視線を向ける。
「分かったよ。僕は怪盗クロウじゃないからね」
城ノ口は観念したかのように圭介からグラスを左手で受け取った。
『パリン』
次の瞬間城ノ口の左手からグラスがまるで滑るように床に落ちた。
床は水に濡れ、大きなガラスの破片がその場に散らばった。
「ほらね。持てない」
圭介は予想通りの反応にほっと胸を撫で下ろした。
「ど、どういうことだ?」
静かに一連の流れを見ていた鳥羽が驚きの声をあげる。
「ポイントは指紋と掌紋さ」
圭介が答える。
「指紋は指先の紋様のことだろうけど、掌紋は聞いたことないぞ?それに指紋とその掌紋に一体何の関係があるんだ?」
藤島が眼鏡をクイッと上げて圭介の顔を覗き込む。
「指紋はみんなも知っている通り指先の皮膚にある汗腺の開口部が隆起した線により出来る紋様。一方掌紋は手のひらにみられる皮膚の隆線によって形成される紋様のこ。指紋は刑事ドラマでも犯人を突き止めるための証拠としてよく出て来るけど、実際の捜査ではこの掌紋というものも同じように使われるんだ」
「そ、それがどうしたんだ。グラスを落としたことと何も関係ないじゃないか!!」
城ノ口が隙を見て反論する。
「それが関係あるんだよ。あんたは何処かに指紋を残してしまう事を恐れて、左手に接着剤を塗っていたんだよ。接着剤でコーティングすれば指紋が付くことはないからね。ただ、これには大きな弱点がある」
圭介は城ノ口の目を真っ直ぐ見つめた。
「弱点って一体何なんだ?」
と鳥羽。
「接着剤でコーティングされた手では滑って物を上手く掴めないんだ」
「そっか。だからグラスを持たせたんだ」
亜美が手を打つ。
「どうだ?怪盗クロウ。もう言い逃れは出来ないぞ?」
圭介は額に汗を垂らした。
指を刺された城ノ口は慌てて内ポケットから警察手帳を取り出すと、それをみんなの前に提示した。
「いいや、お前は城ノ口警部補じゃない。城ノ口警部補に化けた怪盗クロウだ」
「ちょっと待ってください。証拠は一体何なんですか?」
横で見ていた藤島が2人の間に割って入る。
「証拠……。それは今から証明しましょう」
圭介は洗面所でグラスに水を満タンに注ぐと、それを城ノ口の前に突き出した。
「持ってみて下さい。あなたが怪盗クロウではないというなら」
「どういうこと?グラスを持てって」
亜美が不安そうに圭介に視線を向ける。
「分かったよ。僕は怪盗クロウじゃないからね」
城ノ口は観念したかのように圭介からグラスを左手で受け取った。
『パリン』
次の瞬間城ノ口の左手からグラスがまるで滑るように床に落ちた。
床は水に濡れ、大きなガラスの破片がその場に散らばった。
「ほらね。持てない」
圭介は予想通りの反応にほっと胸を撫で下ろした。
「ど、どういうことだ?」
静かに一連の流れを見ていた鳥羽が驚きの声をあげる。
「ポイントは指紋と掌紋さ」
圭介が答える。
「指紋は指先の紋様のことだろうけど、掌紋は聞いたことないぞ?それに指紋とその掌紋に一体何の関係があるんだ?」
藤島が眼鏡をクイッと上げて圭介の顔を覗き込む。
「指紋はみんなも知っている通り指先の皮膚にある汗腺の開口部が隆起した線により出来る紋様。一方掌紋は手のひらにみられる皮膚の隆線によって形成される紋様のこ。指紋は刑事ドラマでも犯人を突き止めるための証拠としてよく出て来るけど、実際の捜査ではこの掌紋というものも同じように使われるんだ」
「そ、それがどうしたんだ。グラスを落としたことと何も関係ないじゃないか!!」
城ノ口が隙を見て反論する。
「それが関係あるんだよ。あんたは何処かに指紋を残してしまう事を恐れて、左手に接着剤を塗っていたんだよ。接着剤でコーティングすれば指紋が付くことはないからね。ただ、これには大きな弱点がある」
圭介は城ノ口の目を真っ直ぐ見つめた。
「弱点って一体何なんだ?」
と鳥羽。
「接着剤でコーティングされた手では滑って物を上手く掴めないんだ」
「そっか。だからグラスを持たせたんだ」
亜美が手を打つ。
「どうだ?怪盗クロウ。もう言い逃れは出来ないぞ?」
圭介は額に汗を垂らした。
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