名探偵の推理日記零〜哀情のブラッドジュエル〜
第5章 生贄の檻 5
「そこまでだ。タケ」
木刀を持った戦闘服の男が童顔の男からリモコンを乱暴に奪い取ると、
「そんなことをすればカグツチ様の計画が台無しだ。もういい、お前は先に70階に向かえ」
と指示を出した。
タケと呼ばれた男は一瞬戸惑いの表情を浮かべた後、不貞腐れた態度で返事をして階段を上っていった。
まずいことになった。圭介の予想が正しければ、今のリモコンが爆弾のスイッチだ。
そんなものを軽々と押されてしまっては、仮に警察が乗り込んできたとしても人質もろとも自爆されてしまう。
どうしたものか。何か助かる方法はないのか……。
圭介があれこれと思案を巡らせていると、今度は警棒を持った男がこちらに走り寄り
「客と従業員全員を下の階に移動させ、階段を完全に封鎖しました」
と木刀を持つ男に報告した。
「よし、俺達も70階に向かうぞ」
「はい」
警棒を持った男は兵隊のような返事をすると、こちらに向き直り指示を出し始めた。
「これからお前達には階段で70階に向かってもらう。妙な動きをすれば……。分かってるよな?」
男は太ももにつけられたホルスターに手を置くとニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
圭介は何か漠然とした疑問を抱きつつ、とりあえず男達に言うことに従うことにした。
ふと窓の外を見ると、すでに海は夕日によってオレンジ色に染められていた。
どこまでも続く広い海に現実を忘れ見入る圭介を現実に引き戻したのは、半泣きで腕にしがみつく亜美だった。
「圭介……。私達どうなっちゃうのかな……」
「大丈夫。どんなことがあってもお前だけは守ってやるから……」
大丈夫の根拠などどこにもなかった。ただ、こう言っておかなければ亜美だけでなく、自分の気も持たないような気がしたのだ。
「さぁ、俺達も行こう」
圭介は亜美に優しく囁きかけると、70階に向かうみんなの背中を追った。
男たちは爆弾が効いていると思っているのか、遅れてくる圭介達を急かすようなことはしなかった。
木刀を持った戦闘服の男が童顔の男からリモコンを乱暴に奪い取ると、
「そんなことをすればカグツチ様の計画が台無しだ。もういい、お前は先に70階に向かえ」
と指示を出した。
タケと呼ばれた男は一瞬戸惑いの表情を浮かべた後、不貞腐れた態度で返事をして階段を上っていった。
まずいことになった。圭介の予想が正しければ、今のリモコンが爆弾のスイッチだ。
そんなものを軽々と押されてしまっては、仮に警察が乗り込んできたとしても人質もろとも自爆されてしまう。
どうしたものか。何か助かる方法はないのか……。
圭介があれこれと思案を巡らせていると、今度は警棒を持った男がこちらに走り寄り
「客と従業員全員を下の階に移動させ、階段を完全に封鎖しました」
と木刀を持つ男に報告した。
「よし、俺達も70階に向かうぞ」
「はい」
警棒を持った男は兵隊のような返事をすると、こちらに向き直り指示を出し始めた。
「これからお前達には階段で70階に向かってもらう。妙な動きをすれば……。分かってるよな?」
男は太ももにつけられたホルスターに手を置くとニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
圭介は何か漠然とした疑問を抱きつつ、とりあえず男達に言うことに従うことにした。
ふと窓の外を見ると、すでに海は夕日によってオレンジ色に染められていた。
どこまでも続く広い海に現実を忘れ見入る圭介を現実に引き戻したのは、半泣きで腕にしがみつく亜美だった。
「圭介……。私達どうなっちゃうのかな……」
「大丈夫。どんなことがあってもお前だけは守ってやるから……」
大丈夫の根拠などどこにもなかった。ただ、こう言っておかなければ亜美だけでなく、自分の気も持たないような気がしたのだ。
「さぁ、俺達も行こう」
圭介は亜美に優しく囁きかけると、70階に向かうみんなの背中を追った。
男たちは爆弾が効いていると思っているのか、遅れてくる圭介達を急かすようなことはしなかった。
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