Door

ノベルバユーザー369032

Door16 フォクシーパーク事前準備

 2019年6月(月曜日)

学校の昼休みに水野と生徒会室に行き、如月と話すことになった。
ソファに座り今までの経緯を話した。

「なるほどな。やはり2人共先生が居たんだな。体育祭で無理矢理スポチャンを通した甲斐があったな。」
「私達を探す為にやったことなの?」
「いや。本来の目的は別にあったんだが、2人を見て異常である事に気づいた。そして、俺と同じ様な体験をしてるのではないか、という仮説にたどり着いた。」
「やっぱり3人同じってことは、偶然じゃないな。」
「そうね。一体何の為にこんなことする必要があるのかしら?」

3人が選ばれた理由はなんだ?共通しているのは年が同じで同じ高校ってことくらいで、今まで全く接点がなく、ついこの間初めて話したばかりだ。

「ドアにしても、俺達にしても、人為的に行われたことだろう。」
「確かに。そういや体育祭の本来の目的ってのは何なんだ。」

如月は当たり前の様に自分達の前にお茶のペットボトルを差し出した。

「あ ありがと。」
「悪いな。」
「気にしなくていい。話が少し長くなるからな。」

如月が自分達の対面に座り、話を続けた。

「最近キングローズとクインローズの周辺でモンスターが異常な行動をしているとギルドから報告があった。」
「そういえばこの間のギアントもそうだったわね。」
「俺も最近飛竜を倒したが、奴も本来縄張りにしている所では無い場所に現れた。」

生態系がおかしくなっている。こんな事が起きるのは相当な奴が現れ始めたってことだ。

「モンスターの生態系を崩している原因はおそらく千年竜。」
「やっぱりそうか。」
「芦屋君は気づいてたの?」
「まぁあくまで予想の範囲でしかなかったけど。モンスターの本来の生態系を崩すほど強大な力って言ったら古代種か天災くらいじゃないか?」

古代種は他にも存在するらしいが、殆ど伝承による言い伝えくらいしかなく、皆伝説上の生物みたいにしか思ってなかった。

「3ヵ月前に1度クインローズ周辺の村に現れてから、その後は消息不明になっていた。だが前回は突如現れたらしく、周りの生態系がおかしくなってはいなかった。」
「今回は前とは何か違うのかしら?」
「その辺は流石に情報が無さすぎて分からんが、それに合わせてギルドは近々大規模な依頼を出すらしい。」
「大規模な依頼?」
「あぁ。キングローズとクインローズの精鋭を集めた、千年竜討伐部隊を作る依頼だ。」

マジか⁈それはかなり大規模だな。

「また凄い依頼ね。内容はどんな感じなの?」
「まだ詳しくは教えてはもらえなかったが少なくとも、Aランク以上がいるパーティに限られるだろう。」
「成る程な。」
「この依頼は人数が必要になる。体育祭を利用したのは、戦力になりそうなハンターを探すのが目的だった。」
「結果Aランクが3人集まった訳ね。」
「だが戦力的には申し分ない。どうだ?依頼が来たら2人は参加するか?」

少しの間が空くと、

「まぁ俺達は参加するな。千年竜とは少し関わりあるから。水野は?」
「そうね。私も参加するわ。き 如月君も受けるのでしょう?」
「あぁ。もちろんだ。」
「決まりだな。」
「何かあれば言ってくれ。できる限り協力はする。」

なんだ、ちゃんと話してみると如月もいい奴じゃないか。
ん?待てよ。これチャンスじゃないか。

「そうだな、早速で悪いが如月に協力して欲しい事があるんだ。」
「ん?なんだ?」
「水野と一緒にフォクシーパークに行って欲しい。」
「は⁈ちょっ!あなたいきなり何言ってるのよ ︎」

やっぱりめちゃくちゃ動揺してるよ。

「まぁ落ち着けって。2人で行く訳じゃなくて自分も行く。Aランクが3人揃ってしかも近いうち、一緒にやばい奴と戦うんだ。だったら今のうちに、仲良くなっといた方が得じゃないか?その方が後々連携も取りやすくなると思ってさ。」

我ながらいい感じの言い訳じゃないか。

「それは一理ある。しかし俺は構わないが水野はいいのか。他に誘いたいのがいたりしないか?」
「えっ、い いや…そうゆう理由なら私は、全然構わないわよ。」

うわぁ~スッゲ嬉しそうだなぁ。

「なら決まりだな。後はいつにするかだ。」

来週の土曜日なら予定が合わせられるのでその日に決まった。
そして話を終え教室に戻ろうとした時、水野に止められた。

「あなた何であんな事言い出したのよ。急に驚くじゃないのよ。」
「あんな事って?」
「フォクシーパークの事よ。いきなり如月君誘うなんて、先に言いなさいよね。」
「あぁ~、その事ね。でも結果オーライなんだから良かっただろ?」
「まったく。心の準備ってものがあるでしょう。だけど…一応礼は言ってとくわ。ありがと。」
「おぅ。」

まぁ篠宮さんに頼まれたからな。
授業が終わり、帰りにマリーにフォクシーパークの件を伝える事にした。
今日は健斗と愛花は、バイトがあるらしくマリーと2人で帰っていた。

「マリー、来週の土曜日予定あるか?」
「来週の土曜日?その日はバイトが入っていたはずだが、何かあるのか?」

バイトか。ここは母さんに頼んでみるか。

「その日にフォクシーパークに行こうと思ってな。」
「ほ 本当か!あ、だがバイトがあるんだった。」
「そこは任せてくれ。母さんに頼んでみるよ。」
「いいのか?」
「まぁ大丈夫だよ。その日じゃないと他のメンツと合わせられないからな。」
「他にも行く人がいたのか⁈」
「あぁ、ちょっと色々事情があってさ。」
「そうか…他には誰がいるんだ?」
「マリーとは今まで関わりなかった奴なんだけど、体育祭のスポーツチャンバラで優勝したA組の如月と女子の優勝者、水野。あと花音も。」
「花音も来るのか!何でそのような組み合わせになったんだ⁈」

かなり不思議だよな。とりあえずマリーに今までの経緯を話した。
水野達と依頼をこなした事、Aランク3人が意図的に集まった事など、そして千年竜と戦う事を話した時だった。

「千年竜…そんなのと蓮は戦うのか?」
「あぁ、まぁ今回は事前に準備して万全の状態で挑むから…って大丈夫かマリー⁈」

身体が震えている。まだ千年竜のこと話さない方が良かったのか⁈

「思い出したのか?」
「違うんだ。何も思い出せてはいない。だけど怖い…大事な人がいなくなる怖さは知っているんだ。
私はここに来た時、何も分からず周りを見ても知らない事ばかりで、だけど蓮が助けてくれた。ずっと支えてくれた。」

そこまで思ってくれてたのか…

「もし蓮が戻って来なかったら…私は怖い…本当に怖いんだ…」

マリーの目から涙が流れていた。

「蓮…行かないで…くれないか…私は…」

それ以上の言葉が出る前に、自分はマリーの頬に流れる涙を拭い、優しく頭を撫でた。

「マリー、俺は決して死にに行く訳じゃないよ。これは俺の願いの為でもあるんだ。」
「願い?」
「ドアが開くには強い願いが必要だろ。マリーには特別に、俺の願いを教えるよ。」
「蓮の願い…」
「[大切な人を守れる力が欲しい]。これが俺の願いなんだ。」
「大切な人…」

マリーは少し落ち着いたみたいだな。

「そう。最初は母さん、花音、凛を自分が守らなきゃと思って願った事だった。今も願いは変わらないけど、大切な人が増えたんだ。向こうには、アリス、レイン、シャル。こっちには愛花、健斗、そしてマリー。」

マリーは頬を赤らめ下に俯いた。

「大切な人を守りたいという願いの為には、ドアを開けて先に進むしかない。進んで強くなって、またいつも通りマリーの元に帰ってくるよ。」

今度は悲しさから出る涙ではなく、嬉しさから出る涙を流しながら、マリーは、

「分かった…必ず帰ってきてくれ。これは私の願いだ。」
「任せとけ。その願い叶えてみせるよ!」


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