Door

ノベルバユーザー369032

Door12 体育祭

2019年6月 (土曜日)

ギーヴルの毒により熱が出て4日経ち、高校3年になって初の行事、体育祭が今日行われる。
向こうのメンバーには休むと伝えておき、こちらも学校を休んでいたのだが、その間花音は部活を休み自分を看病してくれたが、とてつもなく嬉しそうだった。

「おっす、健斗。」
「よぉ蓮。もう大丈夫そうだな。」
「あぁ。4日も休んだしな。それに高校最後のイベントは出ない訳には行かねーしな。」
「おはよう。蓮くんが学校にいない間、マリーがずっとソワソワしてたよ。」
「ま 待て待て、私はそんなにソワソワしてないぞ!」

ふふっと笑いながら自分の横にマリーを押し込む愛花。

「心配かけたなマリー。もう大丈夫だから。」
「そ そうか。無理はしないで体調が悪くなったら直ぐに言ってくれ。」
「あぁ。だけど4日も休んだら流石に元気有り余ってるよ。マリーは今日何やるか分かってるのか?」
「プリントを見てやる種目は分かったが、ルールはまだ分からない事だらけだ。」
「なら後で、分かんないの教えてあげるよ。」
「ありがとう愛花。」

流石にこっちに来て4ヵ月じゃあ体育祭の種目なんて分からないよな。 

「にしても何で今年から、スポーツチャンバラなんて始めたんだ?」
「さぁな。生徒会から意見が上がったらしいけど、何考えてるのか分かんねぇな。」

全学年のクラスごとに男女1名ずつ選抜してトーナメントをやるらしいのだが、
自分達3年B組は女子は剣道部の神谷奏かみやかなで、男子は自分が選抜として選ばれた。

数日前スポーツチャンバラの選抜を決める時の事。男子も剣道部に任せるつもりだったのだか、とある理由で剣道部の相田涼あいだりょうと戦う事になった。
正直最初はマジでやる気は無かった。
だがスポーツチャンバラの優勝賞品により気が変わった。それはフォクシーパークのペアチケットである。それを聞いたマリーのキラキラした目を見たら、やるしかないじゃん…。
ハンターをやってると、どうも相手の動きや勝負の勘が鋭くなるもんでそのまま勝ってしまった。
その後に相田にしつこく剣道部に勧誘されたが、仕方なくハンターをやってる事を話し諦めてもらった。
だがその時、相田に気になる事を言われた。

「お前だったら決勝まで行くだろうけど最後で如月とやる事になるかもな。」
「如月?如月って生徒会長の?」

如月一馬きさらぎかずま、3年A組でメガネを掛けていて、いかにも秀才という言葉が似合う男で生徒会長もやっている。
「あぁ。あいつ小、中って一緒に剣道やってて、けど高校には剣道部にはいらなくてさ。理由は教えてくれなくて3年になったら、生徒会長になるし訳が分からなかったよ。けど、お前の話聞いてもしかしたらあいつもハンターになったんじゃないかと思ってさ。」
「それマジか?!ありえない話ではないけど、なんで生徒会長になったんだ?」
「それが分かんねぇんだよな。ただ俺は小、中で1回も剣道であいつには勝てなかったから相当強いぞ。」

自分以外にこの高校にハンターがいてもおかしくはない。ハンターは必ずギルドに登録しなければならないが、何十万人といる中で一々探したりはしなかったし、アルフレッドにあるギルドはクインローズだけではない。
アルフレッドには4つのギルドがありクインローズは2番目に大きなギルドである。因みに1番目はクインローズの西にあるキングローズにある。
なので例え、うちの高校にハンターがいてもクインローズにいるとは限らない。

「健斗、生徒会からスポーツチャンバラやろうって言い出したのは本当の話か?」
「あぁ、間違いねぇよ。生徒会の奴から聞いたからな。もっとも言い出しっぺは、生徒会長の如月らしいけどな。」
「如月か…」

何が狙いなのかは分からないが、出る以上はやれるとこまでやるしかないか。

ーーーーーーーーー

そして体育祭は始まった。
クラスごとに紅白で別れ、B組は白組になっている。
種目は様々でよくある100m走から始まり綱引き、障害物競走をやり、さらに学年別の男女種目があり女子は騎馬戦、男子は棒倒しとなっている。
女子が騎馬戦をやるってのも中々ハードだな。

騎馬戦は紅組が勝ったのだが、それよりも気になったのがC組にいた水野茜みずのあかね
彼女の身体能力の高さは並じゃない感じがした。さらに騎馬の指揮をとるのも上手かった。
彼女もスポーツチャンバラに出るらしい。
そして彼女は前に、みんなでワックに行った時にフォクシーのオモチャにかぶりついていた子だった。
間違いなくパークのチケット狙ってるな。

「いやぁ負けちゃったよ。」

愛花とマリーが戻って来た。

「おつかれさん。C組強かったな。」
「私はいつの間にかハチマキを取られて何が起きたか分からなかったぞ。」
「水野に取られてたな。」
「そうだったのか。」
「次の棒倒し頑張ってね。」

愛花に言われ、

「あぁ、んじゃ行くか。健斗。」
「おぅよ!」

ウチらの相手はA組で如月のいるクラスだ。
自分は瞬発力を生かして攻撃に周り、健斗は守備についた。
そしてスタート位置につき、パンッ!と音が鳴り始まった。
勢いよく走り出すと、向こうからダントツの速さで来るのは、やはり如月だった。すれ違い様にアイツは自分を見てニヤリと笑った。
とりあえず自分が、ジャンプして相手の棒を揺さぶり、後は後続がなぎ倒す作戦だった。
相手の守りの数m手前で思いっきり飛ぶ。相手は意表突かれた様子だった。こっちはハンターやってるから、かなりの跳躍力なもんでね。
自分が思った通りに棒を掴むが、相手の守備が多い事に気付いた。だが後は後続が来ればイケると思った途端パンッと音が鳴った。

「えっ。」

後ろを向くとB組の棒が倒れていた。
しかもたった1人の手によって。如月だった。ウチらは攻撃側の方に人は回してはいたが、それでも1人で倒せるとは思わなかった。

周りがザワザワする中席に戻った。
愛花が早速話しかけてきた。

「A組凄かったね。」
「あぁ、A組というか如月がヤバイ。アイツ本当に向こうに行ってるかもな。」
「じゃあ蓮くんと一緒ってこと?」
「そうだな。まぁ今まで如月に会った事無いから違うギルドかもしれないけど。スポーツチャンバラで最後に当たるのはアイツだろうな。そうなると優勝も厳しいな。」
「何言ってんの!今からそんな弱気じゃダメだよ。頑張って優勝してマリーちゃんとデートするんでしょ。」
「一々そんなこと言わなくていいから!もちろん勝つ気で行くよ。」
「ふふっ。」

意味ありげな感じ出しやがって。
そしてスポーツチャンバラのトーナメントが始まった。
まずは女子からで予想通り優勝は、水野だった。
水野が使っていたのは槍の様な長い武器で、それを相手の動きに合わせカウンターを決める戦い方だった。
あんな戦い方があるとは…正直見ていて勉強になる。
優勝した後に狂気的なオーラを出しながら、ニヤニヤしてたのがちょっと怖いけど。そんなにフォクシー好きなのね。

ウチのクラスの選抜の神谷は準優勝で自分の所に来た。

「いやぁ敗けちゃった。にしても水野さん本当に強かったよ。まるで蓮くん見てるようだったわ。」
「神谷がそんな感じしたって事は同じかもな。」

神谷にも剣道部に勧誘されたので自分の事情は説明している。

「はぁぁ、あたしもハンターやろっかなぁ。」
「やめとけ。自分だってここまでなるのに2年かかったしな。」

そもそも誰でもドアが開く訳じゃないし。

「あはは、冗談冗談。とにかく頑張ってね。」
「おぅ、やるからには勝つよ!」

そして男子のトーナメントが始まった。
案の定自分と如月は勝ち進んで、決勝で当たり試合の時が来た。
自分はもちろん双剣で、そして如月は長めの剣を一本持っていた。
試合の前に2人で少し話す機会があった。

「こうやって話すのは初めてだな。」
「そうだな。お前の試合を見ていて確信した。」
「俺も試合見て思ったよ。」

審判が開始の合図を出す。

「「ハンターだってことが!」」

自分はすぐさま剣をクロスさせた。始まりと同時にもの凄い速さで突きを打って来た如月に対し、先を読み剣をクロスさせ突きを払う。
とにかく速さが尋常じゃない!
そして如月の武器は片手剣や両手剣ではない。ひたすらに突きを打ってくるのでそれを連想させる武器は1つしかない。スピアだ。
この速さで突きを打つ奴は見た事がない。
だが自分も負ける訳には行かない。双剣の強みである手数の多さで素早い突きを払って行く。
しばらくは打ち合いが続いて、ある程度突きのタイミングを見極め勝負に出る。

ここだ!
自分に突きが当たるギリギリまで引きつけた所で、左手にさっきより力を込め思い切り上に払う。剣の根元に当たり如月の左手から離れる。勝てる ︎
左手で払うと同時に、逆手に持ち変えていた右手の剣を、逆手のまま如月に突きを入れようとした時だった。
如月は一連の流れを読んでいた。
払われた逆の手を使い、頭の当たりに浮いた剣を即座に掴みそのまま自分の胸に突きを入れてきた。
2人同時に突きを入れたが、剣のリーチの長い如月の方が先に当たっていた。

負けた。
剣の腕には自信があった。如月にだって勝てると思っていた。とんだ思い上がりだ。

「強いな。久しぶりに敗ける事を意識する程だったぞ。」
「くそっ!」
「後でパークのチケットを渡す。主催した俺が貰う訳にはいかないからな。」

こうして体育祭は終わった。正直、紅白どっちが勝ったのか覚えてなかった。
悔しさが残る体育祭だった。

そして2人の試合見て、微笑む水野の姿もあった。

「Door」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く