Door
Door7 アシュトン・レイン
ゴルドスライム討伐完了後。
自分は盾を持った男の人が気になった。
「あの1つ聞きたい事があるんですが?」
見たところ彼はデカイ盾と片手剣からガードであるのは確かだ。
「あぁ?なんだ?」
怖っ!すっごい威圧的なんですけど。
「さっきのスライム、何故自分で倒さなかったんですか?あの時倒せばあなたの手柄になったのに。」
「確かに。あれで倒しても誰も恨みっこなしだと思う。」
アリスも同じ意見だった。
「あんなんで倒しちまったら、お前らの頑張りが無駄になっちまうだろうが。俺ぁそうゆうのが嫌なだけだ。」
真っ直ぐな人だ。こんな人もいるんだな。
「そうですか。」
先程報酬は山分けにしようと言ったら断られた。本当に律儀な人だ。
そして気になるのは何故この人はソロなのか?
ガードはパーティを守る要であり、自身の命をもっとも危険に晒すポジションである。なのでガードをやる人が少ない為、色んなパーティから誘いが多いはず。
この人の腕もまず初心者ではない。
でなければスライムを人の前に弾き飛ばすなんて芸当は中々出来ない。
あの威圧的な態度とかが原因なのか?
だがそれを差し引いても、正直自分達のパーティに欲しい。
「なぁアリス、あの人ウチのパーティにどうだ?」
「パーティに?アタシは別にいいと思うよ。口は悪いけど何か悪い人では無い感じするしね。」
「同じ意見だな。自分も悪い人には見えない。ガードの腕もあると思う。誘ってみるか。」
ソロなのには何か理由があるだろうから、最初はきっと断られる。上手く交渉しないとな。
「あのもし良かったらウチのパーティに入ってくれませんか?ウチはまだ2人しかいないんですけど…」
「パーティか。お前らがいいなら俺ぁ構わねーぜ。」
アレ?めっちゃあっさり決まった。
「ほ 本当ですか!ありがとうございます!自分は芦屋連と言います。」
「アタシはアリス・アインシュタインです。」
「俺はレインだ。ただ礼を言うのはもうちっと後だな。ちゃんと決めるのは城に戻ってからだ。」
ん?どういう意味かその時はさっぱり分からなかった。
城に戻ってきて彼の言ってた事がようやく分かった。
「誰?この人?」
「いや自分にもさっぱり。あのレインさん?」
「あ あのごめんなさい。僕はアシュトンって言うんだ。」
いや、どー見てもレインさんなんだけど。
明らかに言動や態度が弱々しくなってる。
「これって悪魔憑きってやつかな?」
「じ 実はそうなんだ。ごめんなさい。」
「アリス、悪魔憑きってなんだ?」
「悪魔憑きって言うのは、1人の身体に別の何かがいてコロコロ性格が変わったりするから悪魔が取り憑いてるって言われることなの。アタシも初めて見たけどさ。」
なるほどね。自分の世界で言う二重人格だな。初めて見た。
「もしかして悪魔憑きって嫌われてたりする?」
「そうだね。あんま良い噂は聞かないよ。それが原因で殺されちゃったりする人もいるみたいだし。」
「アシュトンさんもそれで今までソロでいたって感じですか?」
「う うん。誘われる事はよくあるんだけど、これ見た途端に皆、気味が悪いって逃げて行くから…」
悲しい顔してる。
アルフレッドでは呪いかなんかだと思ってるんだろう。まぁ地球でも嫌う人はいるだろうから何とも言えないが。
「やっぱり気味悪いよね。パーティの件は無かった事にしても構わないよ。慣れてるから。」
「いや、ウチのパーティにはアシュトンさんが必要なんです。だから改めてよろしくお願いします。」
自分は素直に笑顔で答えた。
「アリスは構わないか?」
「アタシもオッケーだよ。最初はビックリしたけどアシュトンさんはやっぱり悪い人には見えないからさ。」
「ほ 本当に良いの?!」
「はい。自分は向こうの世界から来たんですが、向こうでは悪魔憑きを二重人格って呼んでいて科学的に解明されてるので、悪魔が憑いてるなんてことはないですよ。」
「そ そうだったんだ…ホントに安心したよ。」
アシュトンさんはホッとした様子だった。やっぱりパーティを組まないと天才でもない限りソロには限界がある。
アシュトンさんもそれは分かっていたんだと思う。
「じ じゃあ改めまして僕はアシュトン・レイン。」
アシュトンさんの年齢は20歳、自分達より年上で、赤い髪をしていて2ブロックの髪型をしている。
「そっか、優しい方がアシュトンさんでワイルドな方がレインさんってことね。」
「そうゆう事なんだ。じゃあせっかくだから、僕がハンターをやってる理由を教えてあげるね。」
そのままアシュトンさんは城下町の外れにある年季の入った教会に連れて来られた。
「ここは、教会?」
「そうだね。」
教会に入ると10人くらいの歳様々な子供達がいた。
「あ、アシュトンおかえり~。」
アシュトンさんに気づいた子供達が一斉に集まって来た。
直ぐに理解した。ココは孤児院だ。
そしてアシュトンさんは孤児院に来る前に買っていた大量の食料を子供達一人一人に渡し始めた。
「ココはアシュトンさんが管理してるんですか?」
「今はそうだね。前はココの神父様が管理していて神父様が亡くなられてからは僕が引き継いでいるんだ。
ココで子供達を育ててくれたのも神父様で、実は僕もココで育てられたんだ。」
「え、じゃあアシュトンさんは親に…」
「僕の親は神父様だよ。それに家族はココにたくさんいるから。」
アシュトンさんは本当に凄い人だ。
これ以上ないってくらいに。
子供達が御飯を食べている時にアシュトンさんに呼ばれて外に出る。
「アレが僕のハンターをやる理由なんだだ。そして僕とレイン2人いるのもココが理由でもあるんだ。」
「2人がいる理由ですか?」
「そう。僕じゃハンターとしてやるのは弱々しくて無理なんだ。けどレインじゃあ孤児院の子供達を怖がらせてしまう。お互い足りないところ補ってるから、僕たちは2人で1人なんだ。」
「2人で1人…」
その言葉は過去にも聞いた事がある。
[いいか、私達は2人のパーティだ。2人で1人にならなければこの世界では生きていけんぞ]
「いい言葉ですね、2人で1人って。正直アシュトンさんが仲間になってくれて本当に良かったと思います。」
「そっか。僕も良かったと思ってるよ。蓮は悪魔なんかじゃないって真っ向から言ってくれた訳だし、アリスもこの世界の人間なのに怖がりもしなかった。
僕たちはそういった人には1人しか会ったことが無かったから。」 
1人?少し気になったが、アシュトンさんは過去を見ている表情をしていた。アシュトンさんも楽な人生では無かったはずだ。
だからこそこれからは毎日笑って過ごせるといいな。
「そういえばこのパーティのリーダーは蓮でいいんだよね?」
「えっ?そうなるんですか?」
「スライム討伐の時アリスに指示してたでしょ。」
「まぁそうですね。ってアシュトンさんはレインさんになってる時も意識あるんですか?」
「そうだよ。自分の時もレインは起きて背中にいる感じなんだ。」
それって凄い事だよな。二重人格って片方は意識無いんじゃなかったっけ。
「じゃあ自分で意識して変わったりも出来るんですか?」
「それは出来ないな。自分は城の中でレインは戦う時に変わるから。」
「成る程。」
「話がずれたけど、スライムの時、咄嗟の出来事に的確に指示出すのは、慣れてるからだよね?蓮って何ランクなの。因み僕はBランクだけど。」
「い 一応…Aランクです。」
「ならなおさらリーダーで決まりだね…ってAランク!!!!」
またこの展開か。
今日のところはこれで帰ることになった。3人になったなら、連携を上手く取れるようになれば大型種に挑むことも出来るだろう。ただ自分は3人以上でパーティを組んだ事がないので果たして連携が上手くいくのか心配だった。
城下町に帰る途中にアシュトンさんから提案があった。
「ねぇ蓮、アリス。せっかくパーティになったんだし敬語は無しにしないか?特に蓮はリーダーな訳だし、一々敬語で指示するのも面倒だろうし。」
「アタシは元々誰に対してもこんな感じだよ。でもキミはもっと砕けた感じの方がいいんじゃない?」
いやアリスは砕け散ってないか。
だが確かに狩りは時に一刻を争う事態もあり得るから、そんな時に敬語なんて使っていられないだろう。
「まぁアリスの意見は無視するとして、アシュトンさんの言う通りですね。」
「でしょ。僕は呼び捨てで構わないから。アリスの意見は無視するとして。」
「そうですね。分かった。じゃあ改めて宜しく。アリス、アシュトン。」
「酷い…アタシの扱いがなんか酷い…」
笑いながら城下町へと帰るなか道から少し離れた森の木の上に、3人を見つめる人影があった事に自分は全く気づかなかった。
自分は盾を持った男の人が気になった。
「あの1つ聞きたい事があるんですが?」
見たところ彼はデカイ盾と片手剣からガードであるのは確かだ。
「あぁ?なんだ?」
怖っ!すっごい威圧的なんですけど。
「さっきのスライム、何故自分で倒さなかったんですか?あの時倒せばあなたの手柄になったのに。」
「確かに。あれで倒しても誰も恨みっこなしだと思う。」
アリスも同じ意見だった。
「あんなんで倒しちまったら、お前らの頑張りが無駄になっちまうだろうが。俺ぁそうゆうのが嫌なだけだ。」
真っ直ぐな人だ。こんな人もいるんだな。
「そうですか。」
先程報酬は山分けにしようと言ったら断られた。本当に律儀な人だ。
そして気になるのは何故この人はソロなのか?
ガードはパーティを守る要であり、自身の命をもっとも危険に晒すポジションである。なのでガードをやる人が少ない為、色んなパーティから誘いが多いはず。
この人の腕もまず初心者ではない。
でなければスライムを人の前に弾き飛ばすなんて芸当は中々出来ない。
あの威圧的な態度とかが原因なのか?
だがそれを差し引いても、正直自分達のパーティに欲しい。
「なぁアリス、あの人ウチのパーティにどうだ?」
「パーティに?アタシは別にいいと思うよ。口は悪いけど何か悪い人では無い感じするしね。」
「同じ意見だな。自分も悪い人には見えない。ガードの腕もあると思う。誘ってみるか。」
ソロなのには何か理由があるだろうから、最初はきっと断られる。上手く交渉しないとな。
「あのもし良かったらウチのパーティに入ってくれませんか?ウチはまだ2人しかいないんですけど…」
「パーティか。お前らがいいなら俺ぁ構わねーぜ。」
アレ?めっちゃあっさり決まった。
「ほ 本当ですか!ありがとうございます!自分は芦屋連と言います。」
「アタシはアリス・アインシュタインです。」
「俺はレインだ。ただ礼を言うのはもうちっと後だな。ちゃんと決めるのは城に戻ってからだ。」
ん?どういう意味かその時はさっぱり分からなかった。
城に戻ってきて彼の言ってた事がようやく分かった。
「誰?この人?」
「いや自分にもさっぱり。あのレインさん?」
「あ あのごめんなさい。僕はアシュトンって言うんだ。」
いや、どー見てもレインさんなんだけど。
明らかに言動や態度が弱々しくなってる。
「これって悪魔憑きってやつかな?」
「じ 実はそうなんだ。ごめんなさい。」
「アリス、悪魔憑きってなんだ?」
「悪魔憑きって言うのは、1人の身体に別の何かがいてコロコロ性格が変わったりするから悪魔が取り憑いてるって言われることなの。アタシも初めて見たけどさ。」
なるほどね。自分の世界で言う二重人格だな。初めて見た。
「もしかして悪魔憑きって嫌われてたりする?」
「そうだね。あんま良い噂は聞かないよ。それが原因で殺されちゃったりする人もいるみたいだし。」
「アシュトンさんもそれで今までソロでいたって感じですか?」
「う うん。誘われる事はよくあるんだけど、これ見た途端に皆、気味が悪いって逃げて行くから…」
悲しい顔してる。
アルフレッドでは呪いかなんかだと思ってるんだろう。まぁ地球でも嫌う人はいるだろうから何とも言えないが。
「やっぱり気味悪いよね。パーティの件は無かった事にしても構わないよ。慣れてるから。」
「いや、ウチのパーティにはアシュトンさんが必要なんです。だから改めてよろしくお願いします。」
自分は素直に笑顔で答えた。
「アリスは構わないか?」
「アタシもオッケーだよ。最初はビックリしたけどアシュトンさんはやっぱり悪い人には見えないからさ。」
「ほ 本当に良いの?!」
「はい。自分は向こうの世界から来たんですが、向こうでは悪魔憑きを二重人格って呼んでいて科学的に解明されてるので、悪魔が憑いてるなんてことはないですよ。」
「そ そうだったんだ…ホントに安心したよ。」
アシュトンさんはホッとした様子だった。やっぱりパーティを組まないと天才でもない限りソロには限界がある。
アシュトンさんもそれは分かっていたんだと思う。
「じ じゃあ改めまして僕はアシュトン・レイン。」
アシュトンさんの年齢は20歳、自分達より年上で、赤い髪をしていて2ブロックの髪型をしている。
「そっか、優しい方がアシュトンさんでワイルドな方がレインさんってことね。」
「そうゆう事なんだ。じゃあせっかくだから、僕がハンターをやってる理由を教えてあげるね。」
そのままアシュトンさんは城下町の外れにある年季の入った教会に連れて来られた。
「ここは、教会?」
「そうだね。」
教会に入ると10人くらいの歳様々な子供達がいた。
「あ、アシュトンおかえり~。」
アシュトンさんに気づいた子供達が一斉に集まって来た。
直ぐに理解した。ココは孤児院だ。
そしてアシュトンさんは孤児院に来る前に買っていた大量の食料を子供達一人一人に渡し始めた。
「ココはアシュトンさんが管理してるんですか?」
「今はそうだね。前はココの神父様が管理していて神父様が亡くなられてからは僕が引き継いでいるんだ。
ココで子供達を育ててくれたのも神父様で、実は僕もココで育てられたんだ。」
「え、じゃあアシュトンさんは親に…」
「僕の親は神父様だよ。それに家族はココにたくさんいるから。」
アシュトンさんは本当に凄い人だ。
これ以上ないってくらいに。
子供達が御飯を食べている時にアシュトンさんに呼ばれて外に出る。
「アレが僕のハンターをやる理由なんだだ。そして僕とレイン2人いるのもココが理由でもあるんだ。」
「2人がいる理由ですか?」
「そう。僕じゃハンターとしてやるのは弱々しくて無理なんだ。けどレインじゃあ孤児院の子供達を怖がらせてしまう。お互い足りないところ補ってるから、僕たちは2人で1人なんだ。」
「2人で1人…」
その言葉は過去にも聞いた事がある。
[いいか、私達は2人のパーティだ。2人で1人にならなければこの世界では生きていけんぞ]
「いい言葉ですね、2人で1人って。正直アシュトンさんが仲間になってくれて本当に良かったと思います。」
「そっか。僕も良かったと思ってるよ。蓮は悪魔なんかじゃないって真っ向から言ってくれた訳だし、アリスもこの世界の人間なのに怖がりもしなかった。
僕たちはそういった人には1人しか会ったことが無かったから。」 
1人?少し気になったが、アシュトンさんは過去を見ている表情をしていた。アシュトンさんも楽な人生では無かったはずだ。
だからこそこれからは毎日笑って過ごせるといいな。
「そういえばこのパーティのリーダーは蓮でいいんだよね?」
「えっ?そうなるんですか?」
「スライム討伐の時アリスに指示してたでしょ。」
「まぁそうですね。ってアシュトンさんはレインさんになってる時も意識あるんですか?」
「そうだよ。自分の時もレインは起きて背中にいる感じなんだ。」
それって凄い事だよな。二重人格って片方は意識無いんじゃなかったっけ。
「じゃあ自分で意識して変わったりも出来るんですか?」
「それは出来ないな。自分は城の中でレインは戦う時に変わるから。」
「成る程。」
「話がずれたけど、スライムの時、咄嗟の出来事に的確に指示出すのは、慣れてるからだよね?蓮って何ランクなの。因み僕はBランクだけど。」
「い 一応…Aランクです。」
「ならなおさらリーダーで決まりだね…ってAランク!!!!」
またこの展開か。
今日のところはこれで帰ることになった。3人になったなら、連携を上手く取れるようになれば大型種に挑むことも出来るだろう。ただ自分は3人以上でパーティを組んだ事がないので果たして連携が上手くいくのか心配だった。
城下町に帰る途中にアシュトンさんから提案があった。
「ねぇ蓮、アリス。せっかくパーティになったんだし敬語は無しにしないか?特に蓮はリーダーな訳だし、一々敬語で指示するのも面倒だろうし。」
「アタシは元々誰に対してもこんな感じだよ。でもキミはもっと砕けた感じの方がいいんじゃない?」
いやアリスは砕け散ってないか。
だが確かに狩りは時に一刻を争う事態もあり得るから、そんな時に敬語なんて使っていられないだろう。
「まぁアリスの意見は無視するとして、アシュトンさんの言う通りですね。」
「でしょ。僕は呼び捨てで構わないから。アリスの意見は無視するとして。」
「そうですね。分かった。じゃあ改めて宜しく。アリス、アシュトン。」
「酷い…アタシの扱いがなんか酷い…」
笑いながら城下町へと帰るなか道から少し離れた森の木の上に、3人を見つめる人影があった事に自分は全く気づかなかった。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント
ノベルバユーザー369032
コメントありがとうございます。ドアの事に関してはおいおい分かってくる事があるのでご愛読頂ければ幸いです。