冷寧である俺は戦争に行かないし、救護手当てもしない。

夢八

バド部である俺は

踊り場でのイザコザの後、
階段を降りて1階へ。
そのまま真っ直ぐ進んで
校舎の外に出る。
今は6月上旬。
まだ気温はさほど高くない。
日本は広い地域で
これから梅雨入りすると
テレビが連日報道しており、
今年の梅雨はとくに
ジメジメした天気が
予想されるという。

「いくか」

スリッパも履き替えずに
アスファルトでできた道へ
そのまま足を運ぶ。
俺は校舎の外に並んだ
部室棟の1番端っこにある、
男子バドミントン部の部活の
ドアを静かに引く。
甲高い音と共に
中に入ると、ドアの方に
体を向け、足を組み
椅子に座ってスマホを
いじっていた彼が
俺に気づいた。

「あれ?陰キャ?
なんで生きとん?」

スマホから顔を上げ、
陽キャが陰キャを
嘲笑うような言い方で
会って早々に俺に
死んだはず発言をした
こいつの名前は
散原ちりはらしょう
俺と同じバドミントン部で
部内で1番のお調子者だが、
バドミントンの腕前は
顧問の折り紙付き。
部内ランキングも
4位でかなりの実力派である。
背も割と高く170㌢㍍程あり、
体つきも大きい。
サッカーをやっていて
ポジションはキーパーだったと
本人から聞いた。
そんな散原は
少しボサついた黒髪に
大きめな黒縁メガネ。
レンズの中からは
黒の瞳が見えている。
理由はよく知らないが、
いつもマスクをしていて
部活中も外さない。

「勝手に俺を殺すな。
地中海に沈めるぞ」

眼には眼を、
歯には歯を、である。
散原の発言に対して
俺も言い返す。
俺はドアを閉めて、
入り口から見て部室の左奥の
椅子の横に荷物を降ろし、
椅子に座った。
ちなみに散原の椅子は
右奥と真ん中の間にある。
分かりやすいように
部室の説明を付け足すと、
少し広いくらいの
部室の奥には5脚の
椅子が並べられていて、
左端が俺、右から2脚目が
散原の席となっている。
勿論これだけではない。
入口の左には練習で使う
シャトルが入った
大きなプラスチックケース、
右の壁には俺達の
5つ上の先輩が授業で
描いたと言われている
お世辞にも上手とは
言えない海の風景の絵、
放送用のスピーカー、
ゴミ箱が置いてある。
さらに真ん中には教室で
使うような机が2つあり、
その机を囲むように椅子が
並べられている。
それらの椅子は
奥の5脚も合わせて
全部で9脚あり、
机の左右に2脚ずつある。
全て俺達2年生の椅子で
男子の1年生の部員はいない。
それぞれがどこに
座っているかは
その都度にするとして、
なぜ部室に散原しか
いないのであろうか。
散原が自分で部室の
鍵を職員室に取りに行き、
他の部員を待っているとは
どうにも考えにくい。

「他のメンバーは?
なんでお前しかいないんだ?」

こういう時は
本人に聞くのが早い。
俺を馬鹿にするだけ
馬鹿にして再びスマホに
顔を落としていた散原に
俺は質問をぶつける。

「ああ、俺が来た時には
もう灯歌とうかが着替えとって、
もう体育館に行った」

俺の質問など散原には
どうでもいいらしい。
今度はスマホから顔を
上げずに散原は答えた。
だが、散原の答えに
俺はやっぱりかと
思わざるを得なかった。
散原の言った灯歌と
いう男は、本名を
風凪かざなぎ灯歌とうかといい、
運動神経抜群で
部内ランキングはトップ。
バドミントンの他に
水泳やサッカー、テニス、
バスケットボール、陸上、
アメフトと、コツを掴めば
何でも出来てしまうという
天才肌の持ち主である。
だが、俺は知っている。
風凪はスポーツの素質が
あるだけなのではなく、
常人には到底分からない
膨大な時間を使って
努力しているということを。
風凪はいつも学校が
終わると、真っ先に鍵を
職員室に取りに行き、
さっさと着替えて
体育館に練習の準備に行く。
更に風凪は、
体育館での練習が終わると、
学校の外周を走り、
夜は地域の中学校や
小学校を毎日転々とする。
おかげでランキングは
いつでもトップに君臨し、
他を受け付けない。
前に1度俺と散原で
ペアを組み、風凪に
2対1の勝負をしたのだが、
僅差で勝つことが出来なかった。
しかし、俺は理解している。
俺と散原の敗因は
コンビネーションの
悪さにあるということを。
でも、それを差し引いても
風凪の強さは異常である。
風凪は自分が強いと
しっかりと分かっている。
それでも、今の自分に
決して満足せずに
自分を高めるために努力する、
そのカッコイイ姿に
俺は密かながら尊敬している。

「なら、俺も着替えて
練習行くかな」

風凪に遅れを取りまいと、
俺は椅子から立ち上がり、
リュックから
練習着を取り出す。
背中に『気持ち』と
書かれた薄水色の
スポーツTシャツである。

「じゃあ俺もいくかなー」

俺が着替え始めたのを
自分の目で確認してから
散原も着替えを始めた。
といっても、いちいち
スマホを確認しながら
着替えているので
俺の方が早く終わる。
待つのは時間の無駄なので
ラケットとシューズを
両手に持って俺は
さっさとドアへ向かう。

「おい!ちょっと待てって。
一緒に行こうや」

1人で歩けないガキが
なんとここにもいた。
しかもそう言う散原は
まだズボンは制服のまま。
こんな輩と仲が良いと
名前も知らない誰かに
勘違いされるのは嫌なので、
俺は散原をガン無視。
風凪の足跡を追うべく、
部室のドアを開けた。



━━━━━━━━━━━━━━━
あとがき


どうも、夢八です。
読んで頂き、感謝します。



文字数が多くなると、
読者の方が疲れてしまうから
あまり多くなり過ぎない方が
いいよと、先輩の作家さんに
教えてもらったので
文字数は多くないです。
同時に内容の進みも
遅くなります。
そこんとこよろしくです。




それでは、アディオス!

「冷寧である俺は戦争に行かないし、救護手当てもしない。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く