この声が届くまで、いつまでも叫び続けたい

@tsushi

19.絶望か、希望か

ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。


























息の乱れを整える余裕などない。


























ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。








残酷なまでの恐怖が、俺の体中の細胞を駆り立てる。
殺される。


今逃げ切らなければ、俺は確実に殺される。
そうでなくても、もし最後までいってしまったら俺は自ら命を絶つだろう。


駐車場の出口を塞いでいるロープを飛び越えようと、全力でジャンプする。
しかし恐怖のためかその足取りは重く、足の先がひっかかる。
目の前の地面に打ち付けられ、顔面に衝撃が走る。
それでも逃げ続けなければならない。


誰かが叫んだ気がする。
女性の声だ。
しかし、そんなものに構っているわけにはいかない。


逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げるんだ!


既に痛覚など存在しない。
あるのは恐怖と絶望、そしてかすかな希望の欠片。


黒い影が見える。
奴が来た。
決して捕まってはならない。
もう振り返る余裕すらない。
俺は一直線に、全速力で駅前の交番を目指した。




















絶望か希望か、この一瞬に全てが託された。

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