この声が届くまで、いつまでも叫び続けたい

@tsushi

15.叫びたい、だけどなんて叫べば良いかわからない

家に帰り、鞄を投げ捨て、部屋着に着替えもせずにベッドに横たわる。


いつもと同じ部屋。


いつもと同じ枕。


いつもと同じシーツ。


いつもと同じ匂い。










だけど世界を染める色は、明らかにいつもと違うものだった。












































あんな近くに、あんな経験をした人がいるなんて。












































どうして今まで、気付かなかったのだろう。


どうして今まで、知らないフリをしてきたのだろう。








そう思うだけで、胸が張り裂けそうだった。


かつてないほどの激しい情動が俺を襲った。








叫びたい。




だけど、何て叫べかいいかわからない。
風船が膨らむように、俺の中にガスが溜まっていく。
この風船はいつ割れるのだろうか。
















その時、初めて世界が動いた気がした。

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