甲斐犬黒蜜のお使い

牛耳

第81話

ゼ○ス様と話していると空が暗くなった。
見上げると黒田式巨大空中要塞兵器が浮かんでいる。
空中にプロジェクター画像が投影されカミーラお婆様が悪魔っぽい衣装を着て写しだされる。
「こらー!蜜!私も最新式の家電が欲しいぞー!それにすき焼きとしゃぶしゃぶ食べ放題飲み放題に誘わないとは何事か!」
カミーラお婆様の後ろで大福さんと白龍さんも腕を組みながら頷いているわ。
黒蜜おばばと餡子さんが額に手を当てて溜息をついた。
「フフフフッ、ヒッ○コックとやら役者が揃ったようじゃ。カメラを回せ!」
眼を赤く光らせたゼ○ス様が空中要塞兵器を見ながら言った。
どうもカミーラお婆様に連絡したのはゼ○ス様みたい・・・。
眼を赤く光らせながら羽根を広げて舞い上がる天使達。
急いで箒に跨り飛び上がる魔女っ子三人。
3台のカメラで魔女っ子や天使達を撮影するヒッ○コックおじさん。
あっ!ドローンも飛んでる。

ドローンに垂れ幕がぶら下がってるわ。
[秋葉原商工組合協賛・最終セール!!]

緊張感が無いわねぇ・・・。

槍を構えた天使が魔女っ子に攻撃を仕掛ける。
際どい所を躱すバーバ・ヤーガ。
黒蜜おばばの電撃を剣で受け流すミカエルさん。
中々本格的な戦い。

戦いを見ていた紅さん。
「ん?赤い眼の神々と三人の魔女の戦い?先見の魔女の予言書にあった最終戦ってもしかしてこれなんじゃ?」
何だかとても怖い事を言ってるわね・・・。

最終セールが世界の終わりにならなければ良いけど。
空中要塞の下側が開いて爆弾を落とそうとしている。
魔女っ子三人が広範囲破壊魔法の準備をしだした。
ミカエルさんが世界の終わりを告げるラッパを吹こうと口いっぱいに息を吸い出す。
ゼ○ス様は眼を赤く光らせたながら嬉しそうにそれを見てる。

「コラー!街を壊すな〜!アンタ達!お芝居だって事を忘れてるの〜?すき焼きしゃぶしゃぶ食べ放題抜きにするわよ!」
私のこの一言でピタリと戦闘が止まった。

「ごめんなさい蜜ちゃん。何だか熱くなってしまって芝居だって言うのを忘れてました」
ミカエルさんが赤かった眼を普通に戻してペコペコする。
「嫌〜初めて悪役やったら楽しくて我を忘れてしまったのう。ワッハッハハハ」
やっと今、赤い眼を普通に戻したゼ○ス様、結構本気だったんじゃ無いの?全く。
カミーラお婆様、プロジェクター画像で「食べ放題抜きとか勘弁して〜」と泣いている。

「魔女っ子三人!ダメでしょ?あなた達が悪役を止めないで煽っちゃ」
シュンとした魔女っ子三人。
「「「ごめんなさい・・・何だか楽しくってつい」」」

「仕方ないわねぇ、餡子さんとバーバ・ヤーガさんポイントカード持ってさっきみたいに天界の人々とモンスターズを連れて家電量販店に連れて行ってくださいな。撮影スタッフさんこの買い物シーンもCM用にちゃんと撮影して下さいね。紅さんと黒蜜おばばはすき焼きしゃぶしゃぶ食べ放題の店の予約確認して下さいね。あと、地獄の軍団が昼に食べたお寿司食べ放題の店の支払いは大丈夫ですか?」

そんな私を撮影するヒッ○コックおじさん。
「撮影ありがとう。ヒッ○コックおじさん。餡子さん達に着いて行って最新式のハンディカメラでも買ってもらいなさい。その後皆んなで食べ放題よ」
「カーット!世界の破滅を止めた蜜ちゃんのドキュメンタリー映画が撮れて最高の気分だよ。その上に最新式のハンディカメラに神々や地獄の軍団と一緒に我々モンスターズが食べ放題に行けるなんて夢みたいだ。」
ニコニコしながら餡子さん達の後を追って行くヒッ○コックおじさん。

私が世界の破滅を止めた?そんな事有るわけ無いでしょ?。
ん?胸の谷間がモゾモゾするわね?
私の胸の谷間からこの前小さくなって、まだ元に戻して無かった小さい人郎さんが顔を出した。
貴方いつの間にこんな所に隠れてたの?
「蜜〜僕も食べ放題行きたいよ!元の大きさに戻して」
私は溜息をついてから黒蜜おばばに
「すき焼きしゃぶしゃぶ食べ放題、一人追加でーす!」と叫んだ。

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