異世界でひたすらコンティニュー!

双葉カイト

秘められた過去へ

「よし!既に大部分が分かっているなら後は、本筋の彼女の過去について知るだけだ!」


「ふっふっふっ……ここに来る以前とは全く違うお主に成っているな〜。


 そんなに向こうの異世界が気に入ったのかの?」


 そりゃ……前の現実世界と比べて可愛い女の子とか居るし、何より異世界で友達が出来たのが嬉しいからだ。


「まぁな!ここに招待されてなかったら、今頃俺は自分の部屋で、ネトゲとかエロゲ三昧の毎日だったし……なにより将来に対しての希望が持てたのさ……。


 やっぱりどんなに面白いゲームやマンガとかあっても、終わっちまえばそれまでだ……。それで何かが変わった訳じゃない!


 結局……俺は昔の世界では何一つ変えることなんで出来なかったんだ!けど……この能力が有れば!ちっぽけなオレでも何かを変えることが出来るんだからな!」


 つい興奮して自分語りをしていると、ジジイが驚いたような表情で


 「そうかそうか……ダラダラとニートをしていたお主にも、そのような信念があったとは驚きだな……。


 ならお主にも儂の話を聞かせてやるとしようか……。」


 ジジイの昔話?そう言えばこいつのことあんまり分かってなかったな……。


 「そうだな〜……何処から語っていくとしようか?儂が人間だった頃の所からしようかの?」


『人間だった頃から』……つまりこのジジイはかつて人間だったのかよ!?


 「おい!あんた昔は人間だったのか?まずそこから突っ込みたい所なんだが!!」


 しかしジジイは何食わぬ顔で


「あぁ……そう言えばお主にはまだその事を話してなかったのか〜……。まぁええわ、それなら改めて話すとしよう!」


 と言っていたので俺は思わずピカピカ頭をひっぱたいておいた。


「このジジイ!前々から言いたいことあるんだが……そういった重要なことは先に言っておけや!!」


「おおぅ!?お主は相変わらず血の気が多いなぁ……。そんなに神様がホイホイと情報なんて教えていたら、色々と上から説教されるから嫌なんじゃ……。」


 そんな裏事情があるのかよ……。そもそも神様にも階級ってやつがあることに、げんなりするところなのだが……。


 「……な、なんかごめんな……。そっちにも色々な事情があったなんて初めて知ったし……。」


 「気にすることないぞい。もうあれこれ上から沢山怒られてるし、儂もあいつらのことなんて殆ど気にしてないし。


 まぁその事は世界の隅っこに投げといて、無駄話も長くなったし……早速彼女のことを話していくとしようかの!」


 やっとクリフトちゃんのことが聞けるのか……と思うと自然に体が緊張してきた。


 一体彼女は過去にどれだけの心の傷を負ってきたのだろうか……?そして俺はそれを知ってしまったら、彼女は一体どう思うのだろうか……?


 ジジイは一呼吸した後に、


 「……心構えが変わったの……。お主には必要無いとは思うが、一応忠告しておくぞ?


 彼女……『クリフト・ベータ』の過去を知りたいか?言うまでもないが、あいつの過去はお主みたいにやさしくは無いからな?」


 「あのさぁ……俺だって生半可な気持ちで聞いてるわけじゃない!そんな忠告なんてゴミ箱に投げ捨てておけ!」


 正直この場面で、もし昔の俺だったら逃げていたかもしれない……何があるかなんて分からないものに、命なんて賭けられないからだ。


 けれど、今の俺はそんなことをこれっぽっちも考えていない。多分異世界で散々ゲームオーバーになったからだろうけど、死ぬことに抵抗が全く無くなったのである。


 するとジジイは微笑んでいて


 「ふっふっふっ……その答えが聞きたかったの〜。もしここでお主が逃げていたら、儂はあんたに失望していたかもな……。


 心意気はよし!なら後は……進むだけじゃ!」


 とカッコ良く決めた後、何やら魔導書のような分厚い本を取り出した。


「おい?なんだこの分厚い本は?何かの魔法でも唱えるつもりか?」


「まぁな……口で説明するよりもこっちの方がわかりやすいと思っていてな。」


 確かに魔法とかで一気に情報を与えた方が、効率はいいかもしれないが……。


「とにかくお主には、『彼女の過去』に入り込んで貰うぞい。儂がこの本を開くから、お主はそこに手を添えてくれれば大丈夫だ。」


 ジジイは何食わぬ顔でスラスラと言っているが、そんな簡単に『過去』に入り込んで大丈夫なのか?


「なあ?そんな簡単に過去を変えちゃって大丈夫なのか?いくら神様でも出来事を変えちゃうのは、流石にOUTだと思うんだが……。」


 するとジジイはキョトンとした顔で、


 「あー?これは『過去を見る』ことは出来るんだが、『過去を変えること』は全く出来ないんじゃ……。


 だから安心してくれたまえ!どんなに君が向こうでゲームオーバーになっても大丈夫だからな!」


 大丈夫な要素が何処にあるのか分からないが、とりあえず安全そうなので良かった。


「それじゃぁ……試しに入ってみるぜ!習うより慣れろって言うし、まずはお試しだ!」


「頑張ってこい!応援はしているからな!」


 ジジイの嬉しくない応援を貰いつつ、俺はクリフトちゃんの事を知るために、彼女の『過去』へ向かって行った。

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