異世界でひたすらコンティニュー!

双葉カイト

初めてのお友達

 「とりあえず、1回あのクリフトってやつに話しかけてみるか!」


 休憩時間中にやることと言ったら、まずは友達作りだろう。折角チート能力貰ったのに、彼女ないし友達すら出来ないのは、流石に堪えるものがある。


 そうとなれば有言実行!手早くセーブを終えて、彼女の所に行くことにした。


 「あら?誰かと思えば貴方だったとは……。この私に何か用かしら?」


 すると彼女は俺に気づいたのか、あのぬいぐるみと共に振り向いてきた。


 ほんとにあのぬいぐるみはいつ見ても不気味であるが……ここで話したら彼女と絶縁されかねない。


 「あー……そんなに重要な事じゃないんだが……単純にあんたと仲良くなりたいだけなんだ。」


 「ふーん……確かに悪意は無さそうだし信じるわ。それでまずは何から話すの?」


 うわぁ……俺の一番嫌いな質問来たよこれ……。こうゆうやつは、何を答えても気まづくなるから嫌なんだよ……。


 「えーとな……。」


 ここで思い切って彼女の持つぬいぐるみが、なんなのかを聞いてみるのも、いいかもしれない。


 どうせ何回でもコンティニュー出来るから無駄に慎重になる必要なんて無いし。


 「んじゃぁ……率直なことを聞くけど……あんたの持ってるそのぬいぐるみは、一体どんなやつなんだ?」


 「ん?『くーたん』のこと?忠告するとあんまりこの子には深入りしない方がいいわ……。」


 うーん……なんだか深入りしてはいけないと言われても、気になってしょうがないのだ。


 「何でだ?どう見てもただのぬいぐるみにしか見えないんだが……?」


 「何も知らない貴方にはそう見えるだけ……『くーたん』の恐ろしさを知らないからそんなことが言えるのだわ……。」


 しかし彼女は何故か、このぬいぐるみのことを頑なに話そうとしない。


 確かにこのぬいぐるみはひたすら不気味であるが、ここまで危険視するものでも無いだろう。


 「大丈夫だって……たかがぬいぐるみだろー?普通にどうにかなるって!」


 「そう……私は充分に忠告したからね……後悔してももう遅いわよ?」


 なんとか粘った結果、彼女が諦めたのか俺にあのぬいぐるみを渡してきた。


 持ってみた感想としては、特に何も無い。本当にいたって普通のぬいぐるみと同じだからだ。


 しかし、こんな普通のぬいぐるみを何故彼女は恐ろしいものだと言い張っているのだろうか?


 「おーい?クリフトちゃん?恐ろしいって言ってる割には何も無いぞー?」


 「そんなに焦らなくても分かるわよ……もう既に『くーたん』は貴方を殺そうとしてるもの……。」


 はっ?殺す?このぬいぐるみが俺を?


 彼女が言ったことに鼻で笑いながら、改めてぬいぐるみの方を見ると、目が真っ赤になっており何やら異形なオーラを放っている。


 「わっ!?なんだなんだ!?」


 堪らずぬいぐるみを投げ捨てようとしたが、まるで接着剤でくっ付いているみたいに離れないのだ。


 そして、ぬいぐるみから大きな腕が現れたところを最後に意識を失った。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 「っは!?一体なんだったんだあのぬいぐるみは……?」


 次に目が覚めると、スタート地点の夜の部屋になっていた。


 「とりあえず……あのぬいぐるみには二度と関わらないようにしよう。」


 きっとクリフトちゃんは覚えてないだろうが、今度会ったら謝っておこう。


 「よし!早速休み時間のところでロードをするとしますか!」


 決心が着いたところで、栞をピッと破いた。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 「戻ってこれた……まずはここでセーブをしておかないと……。」


 手短にセーブを済ませたあと、俺はクリフトちゃんに再チャレンジすることにした。


 「あら?誰かと思えば貴方だったとは……。この私に何か用かしら?」


 「あー……とりあえず会話でもしようかなって思ってさ〜……。」


 まずここまでは何ともない、問題は次に言う彼女のセリフなのだ。


 「そっか……じゃぁどんな事を話すのかしら?」


 さっきはぬいぐるみについての話題で死んだのだから……今度はそれ以外の話題にしなくてはならない。


 そう諦めかけていた時に、丁度いい安牌なことを思いついた。


 「えーとな……俺はまだここのことそんなに詳しくないからな……出来れば〜……色々教えてくれると嬉しいんだ。」


 そう……それは彼女からこの世界のことについて色々教えてもらうことである。


 こうすれば俺が無理に話題を作らないでいいし、何よりここの世界についてより良く知れるチャンスになれる!


 しかし難点は、ここで彼女に断られてしまった場合にどうしようもなくなってしまう所だ……こればっかりは仕方ない。


 「そう……貴女はここに上京してきた地方者なのね……いいわ、それだったら帰り道に色々教えてあげる。」


 「お……おう!ありがとうな!クリフトちゃん!」


 やったー!!と喜びの叫びを心の中でぐっと堪えながら、なんとか涼しい顔でお礼をした。


 丁度その時に、チャイムが鳴ったので俺は素早く席に座った後、慣れた手つきでセーブをした。


 あとの自己紹介よりも、彼女と一緒に帰ることにとにかく期待が高まっている俺だった。

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