だからわたくしはデレたくないんです!

soltier

プロローグ

教会の神聖な雰囲気と、鐘の音、そして沢山の拍手の中、お互いに誓いの指輪をはめる。

神父の言葉に続いて、誓の言葉を交わし、最後に誓のキスを…………

「無理ですよ!絶対にできる自信がありませんよ、、だって、キスなんて」

わたくし、ティアラ・レインリースはベッドの上で今度結婚することを考えて悶えていました。16になったのでかねてから親同士で決められた相手と結婚することになって、まぁ、特にそのことに不満はないのですが。

「お母様、わたくしはどうしたら」

今は亡きお母様の写し絵を見て、返ってこないとわかっていても、問いかけてしまいます。

お母様はとても厳しかったですが、どれもためになることばかりをわたくしに教えてくれました。

「ティアラ、このレッスンは伯爵令嬢としてだけでなく、ティアラのためにもなるのよ。男なんてみんな女を舐めているのよ。だから言い負かされないように知識を身につけなさい」

「ティアラ、ダンスは女の戦闘力と、同じよ、一つのミスも許されないわ。それに、上手く踊れると楽しいわよ」

「ティアラ、男に完全に気を許してはダメよ、好意を明らかにしてもダメ、、好かれてると安心して浮気されることがあるから、、でもそれだけじゃダメなの。愛されないといけないのよ。つまりはそうね、いかに惚れさせるかが大事になるわ、、まぁティアラにはまだ早い話だったかしら」

いつも厳しいことを言っていました。時折挫けそうな時もありました。でも、わたくしは耐え抜きました。わたくしはお母様のような立派な女性になりたかったのです。実際お父様はお母様を愛していましたし、愛人もいませんでした。お兄様やわたくしにも貴族らしいことを教えてくれました。

お母様が亡くなられたのはわたくしがまだ12歳くらいでした。急な病気でした。その時、わたくしはお母様の教えを守り、立派な令嬢、立派な女性になることを誓いました。

日々頑張って努力して、お母様のようになろうと思ってたのに、、うぅ、ドキドキがおさまらない。どうしてこうなってしまったの?

政略結婚が決まったのは14の時でした。お母様が亡くなってからというもの、お父様はこのレインリーン家の繁栄に力を入れていて、(おそらくお母様が何か言ったのでしょう)お兄様は領地経営の勉強を、そしてわたくしは有力貴族との繋がりを作るために政略結婚をすることになりました。
相手はなんと、公爵家長男のアレン・サンノット様でした。わたくしは詳しく知りませんが元々お母様と公爵様の奥様がお友達で、それをきっかけに、仲良くなったとかなんとか、、
とにかくお母様の言われたとおり、余裕のある態度でたち振る舞う。そしてあわよくば惚れさせるということを実戦する時が来たのでした。

決まったことの知らせを聞いてまもなく、アレン様と対面することになりました。

「!?」

見た瞬間になにかに心を貫かれたような感覚になりました。整った顔立ち、綺麗な黒髪、顔を見上げなければ見れない程の身長、、その瞬間からわたくしの心に余裕なんて出来ませんでした。

二人きりで話し合うということで、他には召使いしかいない部屋で、向かい合う。必然的に目が、、あぅ、また目が合って。

「はじめまして、僕はアレン、アレン・サンノット。よろしくお願いします」

あぁ、声までいい。ずるいです。ま、負けていられません。動揺を悟られないようにしなくてはなりませんね。

「お初にお目にかかります。ティアラ・レインリーンでございます。以後お見知りおきを」

完璧、、やりきりました!顔に出てないか不安ですね。

「ティアラ、、」

「!!?」

危ない、びっくりして思わず声をあげるところでした。名前をささやくなんてずるいですよ!

「いい名前ですね」

「あ、ありがとうございます」

その日は挨拶とちょっとした雑談だけで終わりました。外見だけでなく性格までよろしいようで、、あの日から頭からアレン様が離れなくなってしまいました。


時は戻って現在
どう頑張っても結婚式で心がもたないことに気づきました。だってキスですよ?今でも触れただけで心臓が飛び出しそうになるというのに。回数は少ないですけど、何度か会ってて、その度にどんどんアレン様が好きになっていることに自覚してしまうんです。

「お嬢様?お着替えはお済みでしょうか?」

悩んでいたらメイドのユニが迎えにきました。

「いえ、まだです」

「まだ時間はありますが、そろそろお願いします」

「わかりました」

実はユニはわたくしと一緒にサンノット家についてきてくれるんです。わたくしへの配慮だと思うんですけど、ありがたい気持ちと、ユニには申し訳ない気持ちがあります。
わたくしもそろそろ覚悟を決めないといけませんね。
んーっと伸びをして気持ちを切り替えて今日のために用意された服を着る。わたくしの髪色に合わせた白っぽいドレスですね。
髪はユニにやってもらいましょうか。わたくしはユニを呼んで髪をセットしてもらう。

「おはようございます。お嬢様、いよいよ今日ですね。私も緊張してますよ」

「わたくしユニを気にしてる暇もないと思いますが、、辛かったらわたくしに言ってくださいね?なんとかしますから」

「ありがとうございます。といっても持ち場はお嬢様のお世話だと思いますけどね」

セットも終わって、最後の、は大袈裟ですね。しばらく食べられなくなる専属料理人が作る料理を食べる。
あとは迎えが来るのを待つだけですね。


程なくして、迎えの馬車が到着する。これから行くのはサンノット家の領地、、ではなく、王都にある別荘なのです。
アレン様はまだ当主を継いでる訳ではなく、騎士としてお城に勤めています。そのうち領地経営もするということですが、まだまだ現当主様が元気なのでまだ気にしなくてもいいらしいです。レインリーン家とは違いますね。

「お待たせしました」

自然と手が差し出される。笑顔が眩しい。落ち着いて、、余裕を持つのです。

「はい、アレン様」

レインリーンの領地から王都までは大体2日ほどかかってしまうので途中、宿場町に寄って行く。


「予約をしていたサンノットなのだが」

アレン様はわたくしと話したり、親しい貴族と話す時は基本敬語になるけど、目下の人には普通になります。

「それじゃ行きましょうか」

アレン様について行くと、、え?あの、え?どういうことですか!なんでわたくし、アレン様と同じ部屋なの?

「あ、あの、アレン様」

「どうしました?あぁ、荷物は誰かに運ばせるから気にしなくていいですよ」

そういうことではなくてですね?いや、待って、、これは試されてます?
どうせ覚悟は出来てます。かかってこいです。

「あ、お嬢様、お荷物運んでおきましたよ」

「え?」

部屋の中にはユニが待っていた。
アレン様はもちろん、他の部屋に行ってしまいます。

「き、期待なんてしてませんからね?」

「どうしたんですか?お嬢様」

あぁもう!無駄にドキドキしてしまいました。

「もう、疲れました」

「そうですね。馬車は少し揺れますからね」

馬車の揺れより、アレン様がわたくしに話しかけてきて、その度にドキドキさせられたからなんですけど。

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