吸血鬼(始祖)の異世界建国記

河野原ぺこ@垢停止中

吸血鬼達は慕う

 俺とアクアが吸血鬼達の町へ戻ると、吸血鬼達が各自狩りの準備や畑仕事をしていた。

「あ、始祖様。おはようございます」
「「「おはようございます」」」

 ん?おはよう?あぁ、まだ10時くらいか。

「おはよう。ちょっと話を聞きたいから全員集まってほしいんだけど大丈夫か?」

 俺は武器(商人の護衛が持っていたやつを奪った物)の手入れをしている男性の吸血鬼に聞く。

「分かりました。すぐに全員呼んできます」
「あぁ、助かる」

 男性は走って各自仕事をしている吸血鬼達を呼んで来る。

 ••••••27、28、よし、29人ちゃんと全員居るな。

「お前達に聞きたい事がある。まだ1日しか経っていないがここの生活はどうだ?ほとんどクラーマが勝手に決めてヴァンパイアになったりここに住む事になったけど」

 あ、吸血鬼をヴァンパイアって言った理由は他の種族でも鑑定では漢字で読みは英語にしていたからだ。あんまり深い意味はないぞ。

「私は満足しています。奴隷にされそうになった所を助けて頂いた上に住む場所まで頂いたんですから」
「俺も満足してるぜ。種族変わったけれどそのヴァンパイアのおかげで捕まった時の背中の傷がなくなったんだからな」

 各々が満足している理由を述べていく。
 どうやら全員満足しているらしい。

「そうか。なんか質問したい事はあるか?俺についてとか」
「はい!」

 吸血鬼の子供が手を挙げた。

「はい。そこの君」
「始祖様は何歳ですか?」

 それが最初に来るか〜。まぁ、言ってもいいけど恥ずかしいな。

「俺は1歳だ。女神ソルティアに始祖になるよう言われたからここに居る」

 俺が答えると大人の吸血鬼達が「年も合ってるし神託の通りだ」とか「使徒様だ。すげぇ」とか呟いた。

「俺は女神ソルティアの使いパシリじゃないよ。それと神託ってどんな神託受けたんだ?」
「『新しい種族が誕生したから仲良くやりなさい』と私達の村には神託が下りました」

 神官のような格好をした吸血鬼が答えてくれた。多分、彼女に神託が下り、それを他の者に伝えたのだろう。

「へぇ〜。それじゃあ、他の種族にも伝わってるのか?」
「はい。全種族が始祖様を探しています」
「よく今まで見つからなかったな」
「マスターはダンジョンからほとんど出ていなかったからでは?」

 それもあるだろうな。でも、おかしいな。ここの近くはこの前闇商人がよく通るしすぐに見つかりそうなんだけどな。

「ここら辺はドラゴンやワイバーンの住処の近くなので誰もここに始祖様が現れたと思わなかったのではないでしょうか?」

 そうなのか。危ないから近寄って来ないのか••••••。

「••••••俺達も危ないんじゃないか?」
「はい、危ないです。でも、あのお城は村長の傑作なのであの中に隠れれば多分大丈夫です」

 神官の吸血鬼はヘラヘラしながら言う。同様に周りの吸血鬼達も大丈夫だろみたいな顔をしている。

「••••••あいつ、いったいどんなけ頑丈なやつ造ってんだ」
「見た感じ、魔力でレンガの硬さを10倍ぐらいまでのばしてますね」
「はぁ?」

 10倍?はぁ?俺でも魔力が足りなくて精々100個ぐらいしかできないぞ。

「どうしてそんなに魔力があるんだ?あいつ鑑定してみたけど俺の半分くらいしか魔力がなかったぞ?」
「種類スキルは年齢に比例して強くなるんです。そのため、長寿の人は強いんです」

 え〜。でも、生命力を回復するとしか設定していないような••••••。俺の種族が始祖になっていたりしていたし、色々設定を変えたな。変えたなら教えて欲しかった。

「なるほど、となると今のところドラゴンとワイバーン対策が必要だな」
「そうですね。このどでかい城を見てこっちに飛んで来そうですね」
「多分来ませんよ。来ませんよ〜。ここから巣まで遠いですし」

 おいおい、そう言うフラグになりそうな事をアクアが言うと••••••。
 俺は急いでアクアの口を塞ごうとしたがもう手遅れだった。

「グァァァァァァ!!」

 俺は声の方を見上げた。すると、無数のワイバーンの群れがこちらに向かってやって来た。

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