ウイニー王国のワガママ姫
約束の深意 4
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全身に倦怠感を感じながら目を開ける。額にも背中にも汗をびっしょりかいていて何だかとても気持ち悪い。
見慣れない天井を不思議に思い、重い体を起こすとやっぱり見慣れない部屋の中だった。
(ここ、何処かしら?)
どうやってここに来たのかと眠る前の記憶を辿ってみる。
ええと、確か……そう、私攫われて、ヘレゼンに船に乗せられて…船が襲われて、それで……
「あれ?私、死んでない……?」
確かに毒を飲んだ筈。凄く苦しかったし凄く怖かったのを覚えてる。
誰かが助けてくれた…?
でも、ここはどこなのかしら。まさか敵の…リン・プ・リエンの国王の城…?
周りをよく見れば豪奢な調度品に、寝ているベッドもかなり高級な物だった。
(どうしよう…折角自害したのにこのままじゃウイニーは…)
「にげ…なくちゃ…」
よろけながらもベッドから出ようとする。どれくらい眠っていたのか判らないけれど、体が思うように動かない。
(でも逃げないと、ウイニーから援軍が来たら取り返しがつかない事になる!)
壁伝いに何とか身体を支えて扉の方へと歩き出す。
不意に外からバタバタと誰かの足音が聞こえ、はたと足を止める。
以前何があったのかを思い出して、私の中から血の気が引いて行くのを感じた。
(私が逃げたら誰かが……)
小さな子供が倒れる姿と男達の悲痛な悲鳴を思い出す。
ガクガクと体が震え、立っていられなくなり恐ろしくなって耳と目を塞いだ。
「いやぁっ!!」
「レティ?!」
(もう嫌だ!!誰かが私の所為で死ぬなんて耐えられない!!どうしたらいいの!?どうしたら誰も傷付かずに済むの!?)
「レティ、落ち着いて。何でこんな所で…誰か!誰か来てよぅ!」
ガタガタと震える私を誰かがそっと抱きしめた。
上を向けば夢であった綺麗な女性が困った顔で扉の方を向いていた。
(誰?)
いつからここに居たんだろうか。優しげに背中をさすってくる彼女の手に妙な安心感を感じて私は落ち着きを取り戻し始めていた。
すると、今度は扉が乱暴に開けられてその音に驚いてまた、身体が自然と強張る。
「どうかしましたか!?」
見知らぬ黒髪の男性に驚いて私は思わず彼女に抱きついた。
「いやっ!!」
「レティ、大丈夫よ。落ち着いて。何もしないわ。ゲイリー!貴方、顔が怖いんだからホルガーかフィオを連れてきなさいよぅ!!」
「なっ……」
黒髪の男性は至極傷ついた顔をして部屋から出て行ってしまった。
「あ…」
(どうしよう。そんなつもりじゃなかったのに…)
「ごめんなさい…」
いなくなってしまった彼に向かってポツリと謝罪の言葉を呟いた。
すると私を抱きしめていた女性が私の頭を慰めるように撫でてきた。
「気にする事ないわよぅ。ゲイリーが悪いんだからぁ。ベッドまで戻れる?きっとすぐに…」
「レティ!!」
何かを言いかけた彼女の言葉を遮るように扉の方から懐かしい声が聞こえてきた。
「ね?」と言う彼女の言葉が耳を通り抜け、私は扉の前で肩で息をしている人物に釘付けになった。
「……テディ?」
何故彼がここに?
驚いて名前を呼べば、おぼつかない足取りでテディは私の元へ一歩一歩歩み寄る。
近くにいた女性が私を離して少し下がるとテディは足早に駆け寄って、縋りつく様に私を思い切り抱きしめてきた。
「レティ!!良かった…本当に……顔を、顔を見せて下さい!夢じゃ無いですよね?ちゃんと生きてますよね?」
何が起こっているのか頭がついていけない。
唖然としていると、目に涙を溜めたテディが私の量頬を掴んでじっと私の目を覗き込んでくる。
瞬きをするのも忘れてテディの目を見ていると、テディはコツンと額を当てて、震えながら深く息を吐き出し目を伏せながら私に言った。
「何か、言ってくれませんか?君が眠っている間、気が気じゃなかったんです。本当に生きてますよね?」
とても近くにあるテディの綺麗な顔に心臓が跳ね上がる。くっつけられた額は熱いし、両手が乗ってる肩も何だかこそばゆい。
「……あ、の」
えっと、何を言ったら良いのかしら…彼が何故目の前に居るのかわからないし、何でこんな事になっているのかも分からない。心臓だってうるさいし、一体何から考えればいいのかしら!?
「レティ」
そっと頬にふれる彼の手が熱いのか私の顔が熱いのかもう良く分からない。テディの頬を一筋の滴が伝うのを見て、私はつられて泣きそうになる。
何故、彼は泣いているのかしら…もしかしてテディが泣いているのは私の所為?
「泣かないでテディ…」
彼の頬に触れようと手を伸ばすと、その手をギュッと握り締められた。
その手にそっとテディは柔らかい唇を落として、また私を抱きしめる。
「戻ってきてくれてありがとう」
掠れる声でいうテディの言葉を、夢でゼイルに言われた言葉と全く同じだわ。とぼんやり思う。
静かに泣き続けるテディの背中を戸惑いつつも私は彼が泣き止むまで撫で続けた。
全身に倦怠感を感じながら目を開ける。額にも背中にも汗をびっしょりかいていて何だかとても気持ち悪い。
見慣れない天井を不思議に思い、重い体を起こすとやっぱり見慣れない部屋の中だった。
(ここ、何処かしら?)
どうやってここに来たのかと眠る前の記憶を辿ってみる。
ええと、確か……そう、私攫われて、ヘレゼンに船に乗せられて…船が襲われて、それで……
「あれ?私、死んでない……?」
確かに毒を飲んだ筈。凄く苦しかったし凄く怖かったのを覚えてる。
誰かが助けてくれた…?
でも、ここはどこなのかしら。まさか敵の…リン・プ・リエンの国王の城…?
周りをよく見れば豪奢な調度品に、寝ているベッドもかなり高級な物だった。
(どうしよう…折角自害したのにこのままじゃウイニーは…)
「にげ…なくちゃ…」
よろけながらもベッドから出ようとする。どれくらい眠っていたのか判らないけれど、体が思うように動かない。
(でも逃げないと、ウイニーから援軍が来たら取り返しがつかない事になる!)
壁伝いに何とか身体を支えて扉の方へと歩き出す。
不意に外からバタバタと誰かの足音が聞こえ、はたと足を止める。
以前何があったのかを思い出して、私の中から血の気が引いて行くのを感じた。
(私が逃げたら誰かが……)
小さな子供が倒れる姿と男達の悲痛な悲鳴を思い出す。
ガクガクと体が震え、立っていられなくなり恐ろしくなって耳と目を塞いだ。
「いやぁっ!!」
「レティ?!」
(もう嫌だ!!誰かが私の所為で死ぬなんて耐えられない!!どうしたらいいの!?どうしたら誰も傷付かずに済むの!?)
「レティ、落ち着いて。何でこんな所で…誰か!誰か来てよぅ!」
ガタガタと震える私を誰かがそっと抱きしめた。
上を向けば夢であった綺麗な女性が困った顔で扉の方を向いていた。
(誰?)
いつからここに居たんだろうか。優しげに背中をさすってくる彼女の手に妙な安心感を感じて私は落ち着きを取り戻し始めていた。
すると、今度は扉が乱暴に開けられてその音に驚いてまた、身体が自然と強張る。
「どうかしましたか!?」
見知らぬ黒髪の男性に驚いて私は思わず彼女に抱きついた。
「いやっ!!」
「レティ、大丈夫よ。落ち着いて。何もしないわ。ゲイリー!貴方、顔が怖いんだからホルガーかフィオを連れてきなさいよぅ!!」
「なっ……」
黒髪の男性は至極傷ついた顔をして部屋から出て行ってしまった。
「あ…」
(どうしよう。そんなつもりじゃなかったのに…)
「ごめんなさい…」
いなくなってしまった彼に向かってポツリと謝罪の言葉を呟いた。
すると私を抱きしめていた女性が私の頭を慰めるように撫でてきた。
「気にする事ないわよぅ。ゲイリーが悪いんだからぁ。ベッドまで戻れる?きっとすぐに…」
「レティ!!」
何かを言いかけた彼女の言葉を遮るように扉の方から懐かしい声が聞こえてきた。
「ね?」と言う彼女の言葉が耳を通り抜け、私は扉の前で肩で息をしている人物に釘付けになった。
「……テディ?」
何故彼がここに?
驚いて名前を呼べば、おぼつかない足取りでテディは私の元へ一歩一歩歩み寄る。
近くにいた女性が私を離して少し下がるとテディは足早に駆け寄って、縋りつく様に私を思い切り抱きしめてきた。
「レティ!!良かった…本当に……顔を、顔を見せて下さい!夢じゃ無いですよね?ちゃんと生きてますよね?」
何が起こっているのか頭がついていけない。
唖然としていると、目に涙を溜めたテディが私の量頬を掴んでじっと私の目を覗き込んでくる。
瞬きをするのも忘れてテディの目を見ていると、テディはコツンと額を当てて、震えながら深く息を吐き出し目を伏せながら私に言った。
「何か、言ってくれませんか?君が眠っている間、気が気じゃなかったんです。本当に生きてますよね?」
とても近くにあるテディの綺麗な顔に心臓が跳ね上がる。くっつけられた額は熱いし、両手が乗ってる肩も何だかこそばゆい。
「……あ、の」
えっと、何を言ったら良いのかしら…彼が何故目の前に居るのかわからないし、何でこんな事になっているのかも分からない。心臓だってうるさいし、一体何から考えればいいのかしら!?
「レティ」
そっと頬にふれる彼の手が熱いのか私の顔が熱いのかもう良く分からない。テディの頬を一筋の滴が伝うのを見て、私はつられて泣きそうになる。
何故、彼は泣いているのかしら…もしかしてテディが泣いているのは私の所為?
「泣かないでテディ…」
彼の頬に触れようと手を伸ばすと、その手をギュッと握り締められた。
その手にそっとテディは柔らかい唇を落として、また私を抱きしめる。
「戻ってきてくれてありがとう」
掠れる声でいうテディの言葉を、夢でゼイルに言われた言葉と全く同じだわ。とぼんやり思う。
静かに泣き続けるテディの背中を戸惑いつつも私は彼が泣き止むまで撫で続けた。
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