ウイニー王国のワガママ姫
知らぬは当人ばかりかな 8
「ほら、またこの世の終わりみたいな顔をしているわ。どう思うかしらクロエ」
人の不幸は蜜の味って誰が言い出したのかしら?
私が真剣に悩んでいると言うのに伯母様は目を輝かせながらにこにこしているし、クロエは呆れたような顔で肩を落としている。
「姫…それは、好きだから嫌われたくないと仰っているようにしか聞こえません」
「そうよねぇ。自分で言っててどうして気がつかないのかしらこの子は。小さい頃から"お父様みたいに素敵な恋をしたい"って散々言ってたっていうのに。いざとなったら逃げ腰だなんてホント困った子だ事」
好きだから嫌われたくない…?
クロエの言葉が頭の中で反響する。
好きだから嫌われたくない。確かにそうだ。でも、誰だって嫌われたくないって思うのが普通なんじゃないかしら?大事なお友達なら尚更…
でももし、例えばダニエルだったら?ダニエルに会いたくないと、嫌いだと言われたら、こんな気持ちになるかしら…
その答えに辿り着いた瞬間、ドクンと大きく心臓が跳ねた。
そして次には「嫌だ」と思って、私は強く首を振ってその気持ちを打ち消そうとした。
私はテディの事が好きなの?本当に?でも、ならどうしてこんなに泣きたくなるのかしら…
テディと同じ気持ちならテディも私みたいに泣きたいって思うのかしら?でも、そんな風には見えなかったわ…私、どこかおかしいんじゃ無いかしら……
指摘され、困惑する私に伯母様は冷めてしまった私のハーブティーを1度下げると、新しいハーブティーを入れ直してくれた。
カモミールの香りが身体を優しく包み込む。
「羨ましいわねぇ〜。私も陛下にそこまでの恋心を抱けたらどんなに幸せだったでしょう。いいこと?レティ。臆病なままでは幸せはやって来ないのよ?殿下の気持ちと、貴女の感じる気持ちがたとえ違うものであっても、貴女は貴女の気持ちを正直に伝えるべきだわ。殿下だってレティと同じように気持ちを伝えるのは怖かったんじゃないのかしら?」
貴女だけ逃げるつもりなの?と伯母様は言う。
テディも同じ?
不意に、ひと月前の辛そうなテディの顔を思い出す。
私に懺悔をした時も、気持ちを告げた時も、テディはずっとこんな気持ちだったのかしら…
『ずっとあいつは待ってた訳だしうやむやにする方が酷ってもんだ』
リオは昨日私にそう言った。
ずっと…ずっと貴方は辛かったの?
ゆっくりお茶を口にして、残りのケーキを食べ終えると「ご馳走様でした」と伯母様に挨拶をする。
「伯母様やクロエの言う通り、私、テディ…フィオディール様の事、その、好き、なのだと思います…でも、やっぱりまだ、自信は無いです。だから私、お手紙書こうと思います」
このひと月滞りがちだったテディへの手紙。きっとまだうまく言葉に出来ないけれど、少しづつでも書いてみようと思う。
返事を待っているテディの為に、何より私の気持ちを確かめる為にも。
赤く染まった目元を隠しながら頼りな気にそう言った私を責めることなく、伯母様は優しい笑みを浮かべて言った。
「レティはレティのペースでいいのよ。逃げさえしなければね」と。
人の不幸は蜜の味って誰が言い出したのかしら?
私が真剣に悩んでいると言うのに伯母様は目を輝かせながらにこにこしているし、クロエは呆れたような顔で肩を落としている。
「姫…それは、好きだから嫌われたくないと仰っているようにしか聞こえません」
「そうよねぇ。自分で言っててどうして気がつかないのかしらこの子は。小さい頃から"お父様みたいに素敵な恋をしたい"って散々言ってたっていうのに。いざとなったら逃げ腰だなんてホント困った子だ事」
好きだから嫌われたくない…?
クロエの言葉が頭の中で反響する。
好きだから嫌われたくない。確かにそうだ。でも、誰だって嫌われたくないって思うのが普通なんじゃないかしら?大事なお友達なら尚更…
でももし、例えばダニエルだったら?ダニエルに会いたくないと、嫌いだと言われたら、こんな気持ちになるかしら…
その答えに辿り着いた瞬間、ドクンと大きく心臓が跳ねた。
そして次には「嫌だ」と思って、私は強く首を振ってその気持ちを打ち消そうとした。
私はテディの事が好きなの?本当に?でも、ならどうしてこんなに泣きたくなるのかしら…
テディと同じ気持ちならテディも私みたいに泣きたいって思うのかしら?でも、そんな風には見えなかったわ…私、どこかおかしいんじゃ無いかしら……
指摘され、困惑する私に伯母様は冷めてしまった私のハーブティーを1度下げると、新しいハーブティーを入れ直してくれた。
カモミールの香りが身体を優しく包み込む。
「羨ましいわねぇ〜。私も陛下にそこまでの恋心を抱けたらどんなに幸せだったでしょう。いいこと?レティ。臆病なままでは幸せはやって来ないのよ?殿下の気持ちと、貴女の感じる気持ちがたとえ違うものであっても、貴女は貴女の気持ちを正直に伝えるべきだわ。殿下だってレティと同じように気持ちを伝えるのは怖かったんじゃないのかしら?」
貴女だけ逃げるつもりなの?と伯母様は言う。
テディも同じ?
不意に、ひと月前の辛そうなテディの顔を思い出す。
私に懺悔をした時も、気持ちを告げた時も、テディはずっとこんな気持ちだったのかしら…
『ずっとあいつは待ってた訳だしうやむやにする方が酷ってもんだ』
リオは昨日私にそう言った。
ずっと…ずっと貴方は辛かったの?
ゆっくりお茶を口にして、残りのケーキを食べ終えると「ご馳走様でした」と伯母様に挨拶をする。
「伯母様やクロエの言う通り、私、テディ…フィオディール様の事、その、好き、なのだと思います…でも、やっぱりまだ、自信は無いです。だから私、お手紙書こうと思います」
このひと月滞りがちだったテディへの手紙。きっとまだうまく言葉に出来ないけれど、少しづつでも書いてみようと思う。
返事を待っているテディの為に、何より私の気持ちを確かめる為にも。
赤く染まった目元を隠しながら頼りな気にそう言った私を責めることなく、伯母様は優しい笑みを浮かべて言った。
「レティはレティのペースでいいのよ。逃げさえしなければね」と。
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