ウイニー王国のワガママ姫
気高き花 3【フィオ編】
とうとう言ってしまったと僕は目を瞑って顔を俯ける。
こんな事、裏切り以外の何物でもない。
彼女を巻き込みたく無かったのも本心だが、使えるものは利用するべきだと思ったのも本当の事だ。
僕は悩んだ挙句、結果として中途半端な決断を下す羽目になり、彼女を傷付けるだけ傷付けたのだ。
もっと早い段階で、別の方法があったはずなのに、一緒にいたいという気持ちも重なって指揮官としても彼女の友としても最悪な結果しか生まなかった。
僕の手に添えられた彼女の手が先程よりも力強く負荷をかける。
「リオからピアの話を聞いてから何と無くそんな気はしてたわ」
と、彼女はポツリと呟いた。
目を見開いて顔を上げると、苦笑して彼女は言葉を続ける。
「だって、置いて行くだけならネグドールで出来たことだもの。ノートウォルドに着いてからわざわざ置き去りにしたのはその方がピアが行動を起こす可能性が高いし手っ取り早いからでしょ?テディが帰って来なくて何でだろうって色々考えたけど、ピアの話を聞いて、ああなるほどなぁって」
平然と言う彼女に僕は目を瞬かせる。
「裏切られたとか、騙されたとか思わないんですか?」
んー…と天井を見つめ、レティは答える。
「敵を騙すならまず味方からって言うじゃない?これでも私はレイと一緒に帝王学から兵法まで学んで、更にそこのメルからは普段全く役に立たない様な針金一つで出来る鍵開けの方法なんてものを教えてもらってるし、何よりお父様は外交官よ?駆け引きのいろはなんて社交界に出る前から見聞きし飽きてるわよ!」
それともテディは人を騙す事が趣味なのかしら?と少し意地悪そうに彼女は目を細めて微笑を浮かべる。
彼女の言い分をポカンとして聞いていた僕は、慌ててブンブンと首を横に振ってそれを否定した。
「趣味じゃないです!僕は隠し事が多いですし、騙すことも多いですが必要がなければそんな事したくないです」
そう答えながら、やっぱりレティは強い…と思った。
初めて会った時は純真で真っ直ぐで、僕みたいな人間とは無縁で、汚れた世界なんてきっと知らずに生きてきたんだと眩しくてそれが羨ましいと感じていた。
でもそうじゃなかった。知ってなお真っ直ぐでいようと前を向いてる。
幼い頃、心が折れてしまった僕とは大違いだ。
そんな僕を見てレティは「ほらね」と、クスクス笑った。
「嫌いになる要素なんて一つもないわ。それにね、私は嬉しいのよ」
「嬉しい?」
訝しむ僕ににっこり微笑んで、本当に嬉しそうに彼女は僕にハッキリと言った。
「だって、テディ以外の人は皆私を危険だとか足手まといだとか言って籠の中に閉じ込めようとしか考えないのよ?私の出来る事を信じて手を取ってくれたのはテディだけだもの。辛いことも一杯あったけど、ちゃんと私に背中を預けてくれたわ。だからね」
ーーありがとうテディ
彼女の口から感謝の言葉が紡がれた時、やっぱり僕はレティの事が好きなんだと深く再確認をした。
こんな事、裏切り以外の何物でもない。
彼女を巻き込みたく無かったのも本心だが、使えるものは利用するべきだと思ったのも本当の事だ。
僕は悩んだ挙句、結果として中途半端な決断を下す羽目になり、彼女を傷付けるだけ傷付けたのだ。
もっと早い段階で、別の方法があったはずなのに、一緒にいたいという気持ちも重なって指揮官としても彼女の友としても最悪な結果しか生まなかった。
僕の手に添えられた彼女の手が先程よりも力強く負荷をかける。
「リオからピアの話を聞いてから何と無くそんな気はしてたわ」
と、彼女はポツリと呟いた。
目を見開いて顔を上げると、苦笑して彼女は言葉を続ける。
「だって、置いて行くだけならネグドールで出来たことだもの。ノートウォルドに着いてからわざわざ置き去りにしたのはその方がピアが行動を起こす可能性が高いし手っ取り早いからでしょ?テディが帰って来なくて何でだろうって色々考えたけど、ピアの話を聞いて、ああなるほどなぁって」
平然と言う彼女に僕は目を瞬かせる。
「裏切られたとか、騙されたとか思わないんですか?」
んー…と天井を見つめ、レティは答える。
「敵を騙すならまず味方からって言うじゃない?これでも私はレイと一緒に帝王学から兵法まで学んで、更にそこのメルからは普段全く役に立たない様な針金一つで出来る鍵開けの方法なんてものを教えてもらってるし、何よりお父様は外交官よ?駆け引きのいろはなんて社交界に出る前から見聞きし飽きてるわよ!」
それともテディは人を騙す事が趣味なのかしら?と少し意地悪そうに彼女は目を細めて微笑を浮かべる。
彼女の言い分をポカンとして聞いていた僕は、慌ててブンブンと首を横に振ってそれを否定した。
「趣味じゃないです!僕は隠し事が多いですし、騙すことも多いですが必要がなければそんな事したくないです」
そう答えながら、やっぱりレティは強い…と思った。
初めて会った時は純真で真っ直ぐで、僕みたいな人間とは無縁で、汚れた世界なんてきっと知らずに生きてきたんだと眩しくてそれが羨ましいと感じていた。
でもそうじゃなかった。知ってなお真っ直ぐでいようと前を向いてる。
幼い頃、心が折れてしまった僕とは大違いだ。
そんな僕を見てレティは「ほらね」と、クスクス笑った。
「嫌いになる要素なんて一つもないわ。それにね、私は嬉しいのよ」
「嬉しい?」
訝しむ僕ににっこり微笑んで、本当に嬉しそうに彼女は僕にハッキリと言った。
「だって、テディ以外の人は皆私を危険だとか足手まといだとか言って籠の中に閉じ込めようとしか考えないのよ?私の出来る事を信じて手を取ってくれたのはテディだけだもの。辛いことも一杯あったけど、ちゃんと私に背中を預けてくれたわ。だからね」
ーーありがとうテディ
彼女の口から感謝の言葉が紡がれた時、やっぱり僕はレティの事が好きなんだと深く再確認をした。
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