ウイニー王国のワガママ姫
悩み悩んで今是昨非 1
=====
気がつけば、真っ白い空間で私は一人ネグリジェ姿で佇んでいた。
周りを見渡しても何もない。
不意に何処からか声が聞こえてきた。
心に響くような、そんな声だ。
『ーーーめよ』
「何?誰かいるの?」
『ーーのーとめよ』
声のする方向を探しひたすらそちらへ歩いて行く。
白い空間では進んでいるのかどうかすらわからない。
『ーーいのおとめよ』
徐々に近づいているのが判る。
「誰?誰なの?何処に居るの?」
『運命の乙女よ』
「!」
"運命の乙女"という単語がハッキリと聞こえた瞬間、白い空間に眩い光が走る。
思わず目を瞑り、ゆっくりと開くと、そこに整えられた様な泉と森の木々が出現した。
春の暖かい森の中のような、どこか優しい空気が流れて居てその景色に暫し呆然と見惚れてしまう。
『運命の乙女よ』
ッハっと直ぐそこで声がした事に気がつく。
振り返ると、そこにはツノの生えた蒼白い馬が一頭佇んでいた。
「ユニコーン…?」
『運命の乙女よ、やっと貴方に会うことが出来た』
心に直接響く声、目の前のユニコーン。
まさか、この子が喋っているの?
半信半疑で目をこする。
「貴方が私を呼んだの?運命の乙女って?私はレティ。レティアーナよ。貴方、お名前はあるの?」
『そうだ。我が呼んだ。ずっとずっと呼んでいた。やっと会うことができた。レティ運命の乙女よ』
うーん。会話が成立しているのかいないのか。
おそるおそる近づいてみる。
ユニコーンは少しだけいななくと、自から近づいてきて鼻を摺り寄せてきた。
「ふふっくすぐったいわ。何か私に御用があるのかしら?」
嫌な感じはしない。くすぐったいけど、何となくこれも夢だと感じる。
『レティアーナ。今はまだ実際に貴方に会うことは出来ない。力が弱すぎる。だが覚えておいて欲しい。貴方が見る夢は私を介して見る夢だ。それは未来であり、現在であり、過去でもある。全てが真実とも限らない』
ユニコーンの言葉に私はハッとする。
きっとテディの夢の事を言っているのだ。
「テディは、テディは無事なの?あれはもう起こってしまった事なの?どうする事も、出来ない、の?」
ギュッと胸を掴む。
まだ再開も約束も果たしていないのに、こんな別れ方は嫌だ…
苦しくて、どうしよもなくて、何とも言えない悲鳴のような感情が押し寄せてくる。
ユニコーンは私を慰めるように体を摺り寄せる。
『…あの事態が過去のものなのか、未来のものなのかは私にも判らない。しかし、どちらであっても正しい未来へ修正する事は出来る』
正しい、未来…?
「どういう事?あの夢は正しくないって事?」
『そうだ。あれは歪んだ運命だ。本来ならばあの時点で…命運が尽きる筈が無いのだ』
少しだけ躊躇いがちにユニコーンは言った。
まるで何かを隠すような、そんな言い方に聞こえた。
『…我が此処に居る事で命運が変わってしまった。しかし決して貴方の所為ではない。これは我が主の意思。どうか目が覚めても、レティ、自分を責めないで欲しい。そして覚えておいて欲しい。正しい未来へ導くことが出来るのは貴方か主だけだ。あの夢が、過去であっても、未来であってもーー』
「えっ?」
聞き返す前に目の前がまた、閃光に包まれる。
眩しくて目を閉じた瞬間、私は現に意識を持って行かれる感覚に襲われた。
気がつけば、真っ白い空間で私は一人ネグリジェ姿で佇んでいた。
周りを見渡しても何もない。
不意に何処からか声が聞こえてきた。
心に響くような、そんな声だ。
『ーーーめよ』
「何?誰かいるの?」
『ーーのーとめよ』
声のする方向を探しひたすらそちらへ歩いて行く。
白い空間では進んでいるのかどうかすらわからない。
『ーーいのおとめよ』
徐々に近づいているのが判る。
「誰?誰なの?何処に居るの?」
『運命の乙女よ』
「!」
"運命の乙女"という単語がハッキリと聞こえた瞬間、白い空間に眩い光が走る。
思わず目を瞑り、ゆっくりと開くと、そこに整えられた様な泉と森の木々が出現した。
春の暖かい森の中のような、どこか優しい空気が流れて居てその景色に暫し呆然と見惚れてしまう。
『運命の乙女よ』
ッハっと直ぐそこで声がした事に気がつく。
振り返ると、そこにはツノの生えた蒼白い馬が一頭佇んでいた。
「ユニコーン…?」
『運命の乙女よ、やっと貴方に会うことが出来た』
心に直接響く声、目の前のユニコーン。
まさか、この子が喋っているの?
半信半疑で目をこする。
「貴方が私を呼んだの?運命の乙女って?私はレティ。レティアーナよ。貴方、お名前はあるの?」
『そうだ。我が呼んだ。ずっとずっと呼んでいた。やっと会うことができた。レティ運命の乙女よ』
うーん。会話が成立しているのかいないのか。
おそるおそる近づいてみる。
ユニコーンは少しだけいななくと、自から近づいてきて鼻を摺り寄せてきた。
「ふふっくすぐったいわ。何か私に御用があるのかしら?」
嫌な感じはしない。くすぐったいけど、何となくこれも夢だと感じる。
『レティアーナ。今はまだ実際に貴方に会うことは出来ない。力が弱すぎる。だが覚えておいて欲しい。貴方が見る夢は私を介して見る夢だ。それは未来であり、現在であり、過去でもある。全てが真実とも限らない』
ユニコーンの言葉に私はハッとする。
きっとテディの夢の事を言っているのだ。
「テディは、テディは無事なの?あれはもう起こってしまった事なの?どうする事も、出来ない、の?」
ギュッと胸を掴む。
まだ再開も約束も果たしていないのに、こんな別れ方は嫌だ…
苦しくて、どうしよもなくて、何とも言えない悲鳴のような感情が押し寄せてくる。
ユニコーンは私を慰めるように体を摺り寄せる。
『…あの事態が過去のものなのか、未来のものなのかは私にも判らない。しかし、どちらであっても正しい未来へ修正する事は出来る』
正しい、未来…?
「どういう事?あの夢は正しくないって事?」
『そうだ。あれは歪んだ運命だ。本来ならばあの時点で…命運が尽きる筈が無いのだ』
少しだけ躊躇いがちにユニコーンは言った。
まるで何かを隠すような、そんな言い方に聞こえた。
『…我が此処に居る事で命運が変わってしまった。しかし決して貴方の所為ではない。これは我が主の意思。どうか目が覚めても、レティ、自分を責めないで欲しい。そして覚えておいて欲しい。正しい未来へ導くことが出来るのは貴方か主だけだ。あの夢が、過去であっても、未来であってもーー』
「えっ?」
聞き返す前に目の前がまた、閃光に包まれる。
眩しくて目を閉じた瞬間、私は現に意識を持って行かれる感覚に襲われた。
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