ウイニー王国のワガママ姫
ワガママ姫とイジワル殿下 3
1曲踊り終えた所で戻ろうとすると
「さっきステップが怪しい所があったからもう一回だ」と再び踊らされる。
2曲目が終わると
「応用がなってない」などといい3曲目に入ろうとする。
ダンスは得意だったし身に覚えは全くない。
何のためかは解らないけど、足止めをしているのは明白だった。
「殿下がダンス好きとは、ワタクシ初めて知りましたわ」
と、じとーーっと疑いの目でレイを見る。
よく見ると薄っすらと額に汗が滲んでいる。
「そろそろ教えて下さってもいいんじゃなくて?一体2人して何を企んでいらっしゃるのかしら?」
その言葉にビクッとレイの肩が反応したのを見逃す筈もなく、一気に攻めに出る。
「まさか貴方様があの噂を本当の事にしようなどと企んでダンスに誘っている訳では御座いませんわよね?今なら怒らないで差し上げますから正直におっしゃって下さいな」
微笑を浮かべ冷ややかにレイを見る。
が、レイはこちらを見ようとせずに、思わず明後日の方向を向く。
「いや、俺は、単純に、お前とのダンスを楽しんでいる、だけだぞ?」
明らかに動揺の色が見える。
「そうですか…なら、お兄様を問い詰めることに致しますわ」
と、兄がいた場所まで戻ろうとする。
さらに慌てた様子でレイがガシッと肩を掴んでくる。
「わっバカ!待て待て!お、俺はお前と居たいんだよ!あー…ほら、そのキノコみたいな頭もよく見ると可愛いし?」
レイにカワイイなどと言われるとは、ますます怪しい。
どうもお兄様のもとへ行かせたくないようだ。
こうなるとお兄様にとって都合が悪い事があるのだと確信めいてくる。
「レイにカワイイなどと言われると、鳥肌と虫唾が同時に走りますわね。そんなにワタクシが気になるのでしたら、引きとめずとも、ついて来ればいいではありませんか。ワタクシ、ダンスはもうお腹一杯です」
では殿下、ご機嫌様。と肩に乗っていた手を振り払い、社交辞令の挨拶をし、
その場を去ろうとすると、今度は慌てたように目の前に立ちはだかってきた。
「いやいやいや!アベルが居たんじゃ2人だけで話せないだろう?お互いを知るためには、2人きりで話すのが一番だ!そうだ、ダンスに疲れたなら少しバルコニーに出るか!」
くるっと体を回転させられ、背中をグイグイ押してくる。
「あなたのことなら充分過ぎるくらい知ってるし、これ以上解り合う必要も無いでしょう!?いい加減にして!」
とうとう我慢出来ず、淑女の仮面が取れてしまった。
何とか戻ろうと抵抗してみたが、思いのほか背中を押す力が強い為、
どうしても前に進んでしまう。
その様子に周囲も徐々に不振に思い、ちらちらとこちらを見ているのが判る。
「ほら、抵抗するな。周りの人間が不振がっている。少し休みがてら話すだけだ。何もしない。正直に話してやるから」
観念したとでもいうように耳打ちする。
「何もなくともバルコニーに2人っきりで居る所を見られたら、ますます噂になるでしょう?!」
睨み付けるようにレイを見上げる。
「言いたい奴には言わせとけばいいだろ…俺は別に本当の事を教えなくてもいい訳だが?」
知りたいのはお前だろう。と目で語ってくるので、渋々ついて行くことにする。
「…何かしたら、ブン殴るだけでは済みませんからそのつもりでいらして下さいな」
と、念を押しておく。レイに限ってそんな気は毛頭ないのは判っているので、
あくまで念の為。
ブン殴るって…とレイは苦笑を漏らしていたが、
その事については特に追及する気は無いようだった。
口の悪さはレイの方が上なので何も言えないのだ。
もうすぐそこにバルコニーが見えて来るという所で「あっ…」とレイが声を上げる。
何事かと思いレイの視線の先を追おうとすると、両手で目を塞がれてしまった。
「…何のつもり?」
振り回されっぱなしの私はそろそろ堪忍袋の緒が切れる寸前だった。
いや、もうブチブチにブチ切れてるのかもしれないけれど。
「…いや、バルコニーに出たらわりと冷えるかなと」
目を抑えているレイの手に手袋越しでも、ジワリと熱がこもるのを感じる。
「…それがどうして私の目を塞ぐ理由になるのかしら?それに、今の季節は夜でも暑い位だと思うけど?」
「いや、風邪を引いては大変だからな。こういう日にバカは風邪を引くと聞くし、悪化したら大変だ。戻ろう」
と目隠しをしたまま旋回しようとするので、すっと屈んで避けてやった。
「あっバカ…」とレイは声を上げたけど、
目の前の光景にフリーズしてしまい、私の耳には入ってこなかった。
バルコニーには、黒髪の若い男性と赤銅色の長い髪の若い女性が、向かい合って立っていた。
「さっきステップが怪しい所があったからもう一回だ」と再び踊らされる。
2曲目が終わると
「応用がなってない」などといい3曲目に入ろうとする。
ダンスは得意だったし身に覚えは全くない。
何のためかは解らないけど、足止めをしているのは明白だった。
「殿下がダンス好きとは、ワタクシ初めて知りましたわ」
と、じとーーっと疑いの目でレイを見る。
よく見ると薄っすらと額に汗が滲んでいる。
「そろそろ教えて下さってもいいんじゃなくて?一体2人して何を企んでいらっしゃるのかしら?」
その言葉にビクッとレイの肩が反応したのを見逃す筈もなく、一気に攻めに出る。
「まさか貴方様があの噂を本当の事にしようなどと企んでダンスに誘っている訳では御座いませんわよね?今なら怒らないで差し上げますから正直におっしゃって下さいな」
微笑を浮かべ冷ややかにレイを見る。
が、レイはこちらを見ようとせずに、思わず明後日の方向を向く。
「いや、俺は、単純に、お前とのダンスを楽しんでいる、だけだぞ?」
明らかに動揺の色が見える。
「そうですか…なら、お兄様を問い詰めることに致しますわ」
と、兄がいた場所まで戻ろうとする。
さらに慌てた様子でレイがガシッと肩を掴んでくる。
「わっバカ!待て待て!お、俺はお前と居たいんだよ!あー…ほら、そのキノコみたいな頭もよく見ると可愛いし?」
レイにカワイイなどと言われるとは、ますます怪しい。
どうもお兄様のもとへ行かせたくないようだ。
こうなるとお兄様にとって都合が悪い事があるのだと確信めいてくる。
「レイにカワイイなどと言われると、鳥肌と虫唾が同時に走りますわね。そんなにワタクシが気になるのでしたら、引きとめずとも、ついて来ればいいではありませんか。ワタクシ、ダンスはもうお腹一杯です」
では殿下、ご機嫌様。と肩に乗っていた手を振り払い、社交辞令の挨拶をし、
その場を去ろうとすると、今度は慌てたように目の前に立ちはだかってきた。
「いやいやいや!アベルが居たんじゃ2人だけで話せないだろう?お互いを知るためには、2人きりで話すのが一番だ!そうだ、ダンスに疲れたなら少しバルコニーに出るか!」
くるっと体を回転させられ、背中をグイグイ押してくる。
「あなたのことなら充分過ぎるくらい知ってるし、これ以上解り合う必要も無いでしょう!?いい加減にして!」
とうとう我慢出来ず、淑女の仮面が取れてしまった。
何とか戻ろうと抵抗してみたが、思いのほか背中を押す力が強い為、
どうしても前に進んでしまう。
その様子に周囲も徐々に不振に思い、ちらちらとこちらを見ているのが判る。
「ほら、抵抗するな。周りの人間が不振がっている。少し休みがてら話すだけだ。何もしない。正直に話してやるから」
観念したとでもいうように耳打ちする。
「何もなくともバルコニーに2人っきりで居る所を見られたら、ますます噂になるでしょう?!」
睨み付けるようにレイを見上げる。
「言いたい奴には言わせとけばいいだろ…俺は別に本当の事を教えなくてもいい訳だが?」
知りたいのはお前だろう。と目で語ってくるので、渋々ついて行くことにする。
「…何かしたら、ブン殴るだけでは済みませんからそのつもりでいらして下さいな」
と、念を押しておく。レイに限ってそんな気は毛頭ないのは判っているので、
あくまで念の為。
ブン殴るって…とレイは苦笑を漏らしていたが、
その事については特に追及する気は無いようだった。
口の悪さはレイの方が上なので何も言えないのだ。
もうすぐそこにバルコニーが見えて来るという所で「あっ…」とレイが声を上げる。
何事かと思いレイの視線の先を追おうとすると、両手で目を塞がれてしまった。
「…何のつもり?」
振り回されっぱなしの私はそろそろ堪忍袋の緒が切れる寸前だった。
いや、もうブチブチにブチ切れてるのかもしれないけれど。
「…いや、バルコニーに出たらわりと冷えるかなと」
目を抑えているレイの手に手袋越しでも、ジワリと熱がこもるのを感じる。
「…それがどうして私の目を塞ぐ理由になるのかしら?それに、今の季節は夜でも暑い位だと思うけど?」
「いや、風邪を引いては大変だからな。こういう日にバカは風邪を引くと聞くし、悪化したら大変だ。戻ろう」
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