デール帝国の不機嫌な王子
プロローグ 2
=====
エイラが次に意識を取り戻したのは、謁見中の事だった。
自分は確かベッドで休んでいた筈なのに、いつの間にかどこかの老貴族と謁見を行っていたのだ。
(これは……夢? …………いいえ、また……頭がボンヤリしていますが、確かにこれは現実…………)
『陛下はーーにーーてーーーーですか?』
「……ええ。勿論知っています」
『ーーーーはーーーーからーーですね』
「ええ。本当に……」
(おかしいです……何故? 話の内容は頭に入って来ないのに、私の意識とは別に応えだけが口から自然と漏れてくるみたい……)
そしてその様子をどこか遠くで眺めているかの様な奇妙な感覚に気がつく。
エイラがエイラ自身をどこからか見下ろしている様なそんな感覚だ。
隣にいる女性はコロコロと笑い、目の前の老貴族と談笑をしている。
近くにいるマウリは困惑した様子で、そのやり取りをただジッと見守っていた。
(この方のお名前は……何だったでしょうか……)
…………思い出せない。記憶を探ろうと首を振るが、目の前の自分は微笑を浮かべ、女性とその老貴族のやり取りを、目を細めて興味深げに話を聞いている。
いよいよもってこのままではいけないと、また薄れゆく意識の中で焦りを感じる。
更に次に意識が戻ったのは自室のベッドの中で、外を見れば月も見当たらない程夜も深くなっている時間だった。
相変わらず香が焚き染められていたが、周りに人が居ないのを確認するとエイラは朦朧とした意識のまま、香を処分するよりも机の引き出しから国璽と羊皮紙を取り出す事を選んだ。
震える手を押さえ、拙い字でこれからの事を書面に記し、ベランダへと、体を支える様に壁づたいに移動する。
ベランダの床に記された幾何学模様に触れ、緊急脱出用の魔法陣を発動させれば、三つ下の階層にある空中庭園へと転移する。
吐き気を押さえながらもなんとか奥へと進んで、空中庭園にある壁泉の裏側のレンガの一部を外し手紙を隠すと、祈りながらまたレンガを元の場所へと戻した。
幼い頃、失踪してしまった兄王と宝探しごっこをしていてマウリに教えて貰った場所のひとつだった。
(信用がおけるのはもうマウリしかいません……どうかマウリがこの書面に気が付きますように)
更に庭園の奥へと進むと大理石で出来た円状の舞台へと歩み寄り、国璽を小さな袋へ入れて首から下げた。
(怖くても、呼ばなくては……背に腹は変えられません)
エイラはこれから呼ぶ存在に恐怖を感じつつも、北の山脈へ向かって祈りを捧げる。
『父なる竜よ……どうか……助けて下さい』
震える声でエイラが祈れば、星空の中より漆黒のドラゴンがこちらの方へと向かってくる。
大きく真っ黒な翼を広げ、ドラゴンは広い庭園の舞台へ降り経つ。
エイラは目の前の存在に怯えながらも、恐る恐る縋るようにドラゴンの背に上った。
「北の……帝国へ……」
エイラが呟けばドラゴンは何も言わずに翼を広げ、その風で四方に散った庭園の花の花弁と共に空へと舞い上がった。
エイラは凍てつくような風が吹く中、胸にしまった国璽を握りしめ、恐怖を感じる余裕もなくドラゴンの背中にしがみつく。
エイラの後方には、どこまでも広がる花畑の中に、天を貫く様にどこまでも高く創られた竜の国の外壁が、エイラの行く末を見守るかの様にどっしりと佇んでいたが、エイラは眼下に広がる花畑を望む前に、ドラゴンの温かな背中の上で限界だった意識を手放した。
『……』
ドラゴンは何も言わず、エイラを落とさないようにゆっくりと北へと向かう。
銀世界の広がる竜の山脈を越えれば、そこはもうデール帝国の領土だ。
白い雪に混じり、鬱蒼とした森が侵入者を阻むかのように何処までも続いている。
程なくして、竜の山脈にほど近い場所に村が見えてくると、ドラゴンはそこを目指して森の中へと降り立った。
大きな竹林がドラゴンの四つ足によってバキバキと裂ける音と共になぎ倒され、辺りに大きな空間が出来る。
ドラゴンが人の姿をなし、エイラを抱え地面へと下ろしたタイミングで男が2人、村の方角からこちらへ向かってくるのが見えた。
一人は金髪に緑色の瞳の青年で、もう一人は、闇に溶け込む程真っ黒なフード付きのローブを身に纏い、如何にも怪しい風貌をした人物だった。
「何者だ!」
金髪の青年がドラゴンに問えば、ドラゴンはその青年には目もくれず、隣に居たもう一人の、フードを被った男を舐めるように観察し「フン!」と鼻から息を吐き出した。
『ゼイルの血縁のものか。しかもお前……いや、選り好みしている場合ではないな。この娘をお前に預ける。丁重に扱え。娘に何かあれば我が同胞が黙っていないと思え』
「……判った」
「ライマール様?!」
黒いフードを目深に被ったライマールと呼ばれた青年は、落ち着いた様子でドラゴンに頷く。
フードの下には長く黒い前髪が垂れており、表情は前髪に隠れていてよく見えないが、隙間から金色の瞳がチラリと見えていた。
その容姿は金髪の青年に比べれば幾らか若く見える。
ドラゴンはその瞳を確認すると、さも近寄りたくないと言わんばかりに顔を顰めて後ずさる。
そしてそのまま人からドラゴンの姿へと形を変え、エイラを置いて山脈の方へと消えてしまった。
「ど、ドラゴン!?」
金髪の長い髪の青年が目の前で起こった事に腰を抜かし、緑色の目を大きく見開いてその場で尻餅をつく。
ライマールはドラゴンにも金髪の青年にも目もくれず、地面に横たわったエイラの額にそっと触れ、口元を苦しげに歪めた。
「ライマール様! 危ないですよ!!」
主人の微妙な表情の変化に気づく様子もなく、金髪の青年はライマールの背中に向かって恐る恐る注意を促してくる。
「……少し熱があるな。メル、村へ戻ったら直ぐに解呪の準備だ」
「か、解呪?! ドラゴンに呪われてるんですか?!」
ライマールはその問いには答えず、エイラを横抱きにして歩き出す。
メルと呼ばれた青年は慌てて立ち上がり、慌ただしくその後を追う。
(避けていた結果がコレか……)
ライマールは歯噛みして、抱えたエイラをチラリと見下ろす。
銀に近い、薄い金糸の様な柔らかな髪に、陶磁器の様に滑らかな白い肌のエイラは、昔視た姿とはまるで別人のように生気がない。
死人のような異常な顔色のエイラから、ライマールは目を背けるように前方へと視線を移し、村へと急ぐ。
夜も更ければデール帝国の森は俄かに死霊が活気付き始める。
彼らの気配を追い、避けるようにしてメルと二人、ライマールは夜闇の中を足早に抜けて行った。
=====
二人は村へつくと、村の住人から借りた質素な小屋へとエイラを運ぶ。
ライマールは腰程の高さの大きなテーブルの上にエイラを寝かせると、エイラの胸の辺りに手をかざし、早速呪文の詠唱を始めた。
手の平から僅かばかりに小さな白い光が生まれ、それをじっと見つめていたメルは驚愕の目でエイラとライマールを交互に見やった。
ライマールの紡ぐ呪文の内容を理解すると、メルは慌てて隣の部屋へと急いで向かう。
机の上に無造作に置かれた薬の中から一つを選ぶと、意識のないエイラの口元にそれを運んだ。
エイラが薬を飲み込んだのを確認すれば、メルは薬の入っていた瓶を握り締め、息を呑みながら、エイラの様子をただ黙って注視する。
ライマールは呪文を詠唱し続け、時折彼女の様子を伺うように目を開く。
額から汗が滴り落ちればメルが汗を拭おうと布を手に取り手を伸ばし、ライマールは呪文を詠唱しながらもそれを邪魔臭そうに片手で振り払った。
エイラの頬に赤みが増せば、更にメルが薬を飲ませ様子を伺う。
寝食を忘れたかの様にそんな行為が丸三日続き、四日後に漸く小屋から聞こえて来ていた不気味な呪文はピタリと止まった。
血色が良くなり、幾分呼吸が落ち着いたエイラの姿を確認すると、ライマールは崩れ落ちる様に床に座り込む。
同じ様にグッタリした様子のメルが、気力だけでキッチンへと向かいパンを片手に戻ってきた。
「ライマール様、寝る前にパンだけでも……」
「……」
既に反応がない主人を認め、メルはハハハ……と空笑いを漏らす。
溜息を吐き出し、やけくそ気味にライマールの口元にパンを押し付け食事を促せば、起きているのかいないのかわからない状態で、ライマールは差し出されたパンをモグモグと口の中へ頬張った。
おそらくまた寝ながら食べてる……と疲れ切った脳でメルはぼんやりと思う。
研究などに夢中になっている時はこんな事が日常茶飯事のライマールなのだ。
前髪で顔は見えないが、一度だけその状態で声をかけてみたことがあった。
元より無口な主人ではあるが、いつも以上に反応がなかった上に、普段なら全力で抵抗するであろう前髪を上げるという行為をいともあっさり受け入れ、案の定目は閉じた状態だったのだ。
付き合わされるのはだいぶ慣れたが、年をとってからも十七にしては妙に落ち着き払った主の奇行に付き合わされる状態が続くのだろうかと、まだ二十四でありながらメルは老後の事を早くも憂いているのだった。
エイラが次に意識を取り戻したのは、謁見中の事だった。
自分は確かベッドで休んでいた筈なのに、いつの間にかどこかの老貴族と謁見を行っていたのだ。
(これは……夢? …………いいえ、また……頭がボンヤリしていますが、確かにこれは現実…………)
『陛下はーーにーーてーーーーですか?』
「……ええ。勿論知っています」
『ーーーーはーーーーからーーですね』
「ええ。本当に……」
(おかしいです……何故? 話の内容は頭に入って来ないのに、私の意識とは別に応えだけが口から自然と漏れてくるみたい……)
そしてその様子をどこか遠くで眺めているかの様な奇妙な感覚に気がつく。
エイラがエイラ自身をどこからか見下ろしている様なそんな感覚だ。
隣にいる女性はコロコロと笑い、目の前の老貴族と談笑をしている。
近くにいるマウリは困惑した様子で、そのやり取りをただジッと見守っていた。
(この方のお名前は……何だったでしょうか……)
…………思い出せない。記憶を探ろうと首を振るが、目の前の自分は微笑を浮かべ、女性とその老貴族のやり取りを、目を細めて興味深げに話を聞いている。
いよいよもってこのままではいけないと、また薄れゆく意識の中で焦りを感じる。
更に次に意識が戻ったのは自室のベッドの中で、外を見れば月も見当たらない程夜も深くなっている時間だった。
相変わらず香が焚き染められていたが、周りに人が居ないのを確認するとエイラは朦朧とした意識のまま、香を処分するよりも机の引き出しから国璽と羊皮紙を取り出す事を選んだ。
震える手を押さえ、拙い字でこれからの事を書面に記し、ベランダへと、体を支える様に壁づたいに移動する。
ベランダの床に記された幾何学模様に触れ、緊急脱出用の魔法陣を発動させれば、三つ下の階層にある空中庭園へと転移する。
吐き気を押さえながらもなんとか奥へと進んで、空中庭園にある壁泉の裏側のレンガの一部を外し手紙を隠すと、祈りながらまたレンガを元の場所へと戻した。
幼い頃、失踪してしまった兄王と宝探しごっこをしていてマウリに教えて貰った場所のひとつだった。
(信用がおけるのはもうマウリしかいません……どうかマウリがこの書面に気が付きますように)
更に庭園の奥へと進むと大理石で出来た円状の舞台へと歩み寄り、国璽を小さな袋へ入れて首から下げた。
(怖くても、呼ばなくては……背に腹は変えられません)
エイラはこれから呼ぶ存在に恐怖を感じつつも、北の山脈へ向かって祈りを捧げる。
『父なる竜よ……どうか……助けて下さい』
震える声でエイラが祈れば、星空の中より漆黒のドラゴンがこちらの方へと向かってくる。
大きく真っ黒な翼を広げ、ドラゴンは広い庭園の舞台へ降り経つ。
エイラは目の前の存在に怯えながらも、恐る恐る縋るようにドラゴンの背に上った。
「北の……帝国へ……」
エイラが呟けばドラゴンは何も言わずに翼を広げ、その風で四方に散った庭園の花の花弁と共に空へと舞い上がった。
エイラは凍てつくような風が吹く中、胸にしまった国璽を握りしめ、恐怖を感じる余裕もなくドラゴンの背中にしがみつく。
エイラの後方には、どこまでも広がる花畑の中に、天を貫く様にどこまでも高く創られた竜の国の外壁が、エイラの行く末を見守るかの様にどっしりと佇んでいたが、エイラは眼下に広がる花畑を望む前に、ドラゴンの温かな背中の上で限界だった意識を手放した。
『……』
ドラゴンは何も言わず、エイラを落とさないようにゆっくりと北へと向かう。
銀世界の広がる竜の山脈を越えれば、そこはもうデール帝国の領土だ。
白い雪に混じり、鬱蒼とした森が侵入者を阻むかのように何処までも続いている。
程なくして、竜の山脈にほど近い場所に村が見えてくると、ドラゴンはそこを目指して森の中へと降り立った。
大きな竹林がドラゴンの四つ足によってバキバキと裂ける音と共になぎ倒され、辺りに大きな空間が出来る。
ドラゴンが人の姿をなし、エイラを抱え地面へと下ろしたタイミングで男が2人、村の方角からこちらへ向かってくるのが見えた。
一人は金髪に緑色の瞳の青年で、もう一人は、闇に溶け込む程真っ黒なフード付きのローブを身に纏い、如何にも怪しい風貌をした人物だった。
「何者だ!」
金髪の青年がドラゴンに問えば、ドラゴンはその青年には目もくれず、隣に居たもう一人の、フードを被った男を舐めるように観察し「フン!」と鼻から息を吐き出した。
『ゼイルの血縁のものか。しかもお前……いや、選り好みしている場合ではないな。この娘をお前に預ける。丁重に扱え。娘に何かあれば我が同胞が黙っていないと思え』
「……判った」
「ライマール様?!」
黒いフードを目深に被ったライマールと呼ばれた青年は、落ち着いた様子でドラゴンに頷く。
フードの下には長く黒い前髪が垂れており、表情は前髪に隠れていてよく見えないが、隙間から金色の瞳がチラリと見えていた。
その容姿は金髪の青年に比べれば幾らか若く見える。
ドラゴンはその瞳を確認すると、さも近寄りたくないと言わんばかりに顔を顰めて後ずさる。
そしてそのまま人からドラゴンの姿へと形を変え、エイラを置いて山脈の方へと消えてしまった。
「ど、ドラゴン!?」
金髪の長い髪の青年が目の前で起こった事に腰を抜かし、緑色の目を大きく見開いてその場で尻餅をつく。
ライマールはドラゴンにも金髪の青年にも目もくれず、地面に横たわったエイラの額にそっと触れ、口元を苦しげに歪めた。
「ライマール様! 危ないですよ!!」
主人の微妙な表情の変化に気づく様子もなく、金髪の青年はライマールの背中に向かって恐る恐る注意を促してくる。
「……少し熱があるな。メル、村へ戻ったら直ぐに解呪の準備だ」
「か、解呪?! ドラゴンに呪われてるんですか?!」
ライマールはその問いには答えず、エイラを横抱きにして歩き出す。
メルと呼ばれた青年は慌てて立ち上がり、慌ただしくその後を追う。
(避けていた結果がコレか……)
ライマールは歯噛みして、抱えたエイラをチラリと見下ろす。
銀に近い、薄い金糸の様な柔らかな髪に、陶磁器の様に滑らかな白い肌のエイラは、昔視た姿とはまるで別人のように生気がない。
死人のような異常な顔色のエイラから、ライマールは目を背けるように前方へと視線を移し、村へと急ぐ。
夜も更ければデール帝国の森は俄かに死霊が活気付き始める。
彼らの気配を追い、避けるようにしてメルと二人、ライマールは夜闇の中を足早に抜けて行った。
=====
二人は村へつくと、村の住人から借りた質素な小屋へとエイラを運ぶ。
ライマールは腰程の高さの大きなテーブルの上にエイラを寝かせると、エイラの胸の辺りに手をかざし、早速呪文の詠唱を始めた。
手の平から僅かばかりに小さな白い光が生まれ、それをじっと見つめていたメルは驚愕の目でエイラとライマールを交互に見やった。
ライマールの紡ぐ呪文の内容を理解すると、メルは慌てて隣の部屋へと急いで向かう。
机の上に無造作に置かれた薬の中から一つを選ぶと、意識のないエイラの口元にそれを運んだ。
エイラが薬を飲み込んだのを確認すれば、メルは薬の入っていた瓶を握り締め、息を呑みながら、エイラの様子をただ黙って注視する。
ライマールは呪文を詠唱し続け、時折彼女の様子を伺うように目を開く。
額から汗が滴り落ちればメルが汗を拭おうと布を手に取り手を伸ばし、ライマールは呪文を詠唱しながらもそれを邪魔臭そうに片手で振り払った。
エイラの頬に赤みが増せば、更にメルが薬を飲ませ様子を伺う。
寝食を忘れたかの様にそんな行為が丸三日続き、四日後に漸く小屋から聞こえて来ていた不気味な呪文はピタリと止まった。
血色が良くなり、幾分呼吸が落ち着いたエイラの姿を確認すると、ライマールは崩れ落ちる様に床に座り込む。
同じ様にグッタリした様子のメルが、気力だけでキッチンへと向かいパンを片手に戻ってきた。
「ライマール様、寝る前にパンだけでも……」
「……」
既に反応がない主人を認め、メルはハハハ……と空笑いを漏らす。
溜息を吐き出し、やけくそ気味にライマールの口元にパンを押し付け食事を促せば、起きているのかいないのかわからない状態で、ライマールは差し出されたパンをモグモグと口の中へ頬張った。
おそらくまた寝ながら食べてる……と疲れ切った脳でメルはぼんやりと思う。
研究などに夢中になっている時はこんな事が日常茶飯事のライマールなのだ。
前髪で顔は見えないが、一度だけその状態で声をかけてみたことがあった。
元より無口な主人ではあるが、いつも以上に反応がなかった上に、普段なら全力で抵抗するであろう前髪を上げるという行為をいともあっさり受け入れ、案の定目は閉じた状態だったのだ。
付き合わされるのはだいぶ慣れたが、年をとってからも十七にしては妙に落ち着き払った主の奇行に付き合わされる状態が続くのだろうかと、まだ二十四でありながらメルは老後の事を早くも憂いているのだった。
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