死なない奴等の愚行
第148話 セーレでもイモータルはイモータル
ハーフモンスターの国、セーレ。国全体に魔法が掛けられていて、外からはただ荒野が広がっているようにしか見えない。外の世界では忌避されるハーフモンスターにとって、この国は楽園と言えるだろう。
そんな楽園を……。
「ケルベロス達が到着したぞぉ!」
「「「「「おおおおおおおおおおおお!」」」」」
イモータルが踏み荒らそうとしていた。
表で飲んでいたオッサンと団員達に導かれて酒場へと入る。すると中では、やはりと言うべきか他の団員達が酒を飲んではしゃいでいた。
酒場の中を見回してみると団員達の抑止力になるサラが居ない。この場に居ないという事はおそらく交渉担当として、宿を取るなり、仕事を取って来るなり、仕事をしているのだろう。
つまり今、この酒場は無法地帯だった。
顔色が青く、泥酔状態よりも酷い状態で床に倒れている者が居れば、その状態から再び起き上がって酒を飲む者が居る。こういう無茶苦茶こそイモータルだろうが、サラには早く戻って来ていただきたい。
「がっはっは! 元気だったかケルベロス!」
「ん? 少し老けたんじゃないの?」
「ふふふっ、一年も離れていないですし、そんな早く老けないですよ…………ごふっ!」
ダン、ユイカ、マリアと久し振りに会い、挨拶を交わす。そしてマリアは相変わらずの病弱っぷりだった。再会早々、吐血し倒れてしまったので、ユイカが横にさせる為に彼女を連れて行く。
「ファントムの奴等と飲んでからだから…………イモータルをどれくらい離れていたんだ?」
「正直、よく覚えてないな。不老不死になってから時間の経過があやふやになっている気がする」
「まだ不老不死になりたてだっていうのに、もう時間の経過があやふやなのかよ。早過ぎるぞ」
まだ若いっていうのに、みたいなノリでダンに笑われる。
だが、本当に時間の経過があやふやだ。それは不老不死になってからの記憶が、一部しかないからかもしれない。いや、意識をすれば思い出せる……と思う。だが、特段記憶に残るような色濃い出来事がなければ、あまり覚えていないのだ。
長く生きていく分、記憶がパンクしないように捨てられていくのだろうか。まあ、三人に告白されてからの記憶は、しっかりと残っているが……。
「あ、悪い。外にみんなを待たせてるんだ」
「ん? ああ、ハーフモンスター達か。団長から話を聞いてるぜ……」
ニヤニヤと面白そうに笑うダン。その様子からオッサンから三人から告白されて悩んでいる事を知っているのだろう。暫く話のネタにされそうだ……まあ、そうした記憶もあっという間に塗り潰されてくれるに違いない。今だけの辛抱だ。
「女三人、男一人に告白されて、もう子供が三人居るんだろう?」
「誰の話!?」
何なんだその混沌な状況は……俺の事なのか? いやいや、その架空の俺に関して色々気になる事があり過ぎる。三人の子供って誰との子だ? 男……ガルダか? まさかガルダとの子じゃないよな? 認知はしているのか架空の俺?
ダンの口から飛び出した俺の状況に衝撃を受けながら、その架空の俺の事が少し気になってしまう。それにしても、これはどっちだ……。オッサンが悪いのか、それともダンが酷い聞き間違いをしたのか……。
そんな事を悩んでいると、傍で飲んでいた他の団員が声を上げる。
「ああ? 俺は男の三人の妻を無理矢理奪ったって聞いたぞ」
「私は子供を人質に、あんなことやこんなことをさせたって」
「いやいや。奴隷だったのを買い取って、ハーフモンスターだからセーレのお偉いさんに高く売りつけられると」
「俺、血も涙もないクソ野郎だな!」
その他にも色々な発言が出て来たが、どれも俺が下劣な行いをした事になっている。
どうやらオッサンよりも、聞いた団員達に問題があるようだ。酒を飲み過ぎてなのか、不老不死だから記憶が曖昧になってしまったのか……。
俺が正しい事情を説明しようとしたところ、オッサンが先に口を開く。
「いや、そうじゃない。奴隷商の主を脅して奴隷を奪ったはいいものの、男と子供は要らないと後になって気付いたんだ。ただ、適当に捨てるのは、さすがに心が痛むから、セーレまで来たんだよな?」
「やっぱり元凶あんたか!」
団員達の下劣な俺に関する発言の根底には、オッサンの発言があった。
そんな楽園を……。
「ケルベロス達が到着したぞぉ!」
「「「「「おおおおおおおおおおおお!」」」」」
イモータルが踏み荒らそうとしていた。
表で飲んでいたオッサンと団員達に導かれて酒場へと入る。すると中では、やはりと言うべきか他の団員達が酒を飲んではしゃいでいた。
酒場の中を見回してみると団員達の抑止力になるサラが居ない。この場に居ないという事はおそらく交渉担当として、宿を取るなり、仕事を取って来るなり、仕事をしているのだろう。
つまり今、この酒場は無法地帯だった。
顔色が青く、泥酔状態よりも酷い状態で床に倒れている者が居れば、その状態から再び起き上がって酒を飲む者が居る。こういう無茶苦茶こそイモータルだろうが、サラには早く戻って来ていただきたい。
「がっはっは! 元気だったかケルベロス!」
「ん? 少し老けたんじゃないの?」
「ふふふっ、一年も離れていないですし、そんな早く老けないですよ…………ごふっ!」
ダン、ユイカ、マリアと久し振りに会い、挨拶を交わす。そしてマリアは相変わらずの病弱っぷりだった。再会早々、吐血し倒れてしまったので、ユイカが横にさせる為に彼女を連れて行く。
「ファントムの奴等と飲んでからだから…………イモータルをどれくらい離れていたんだ?」
「正直、よく覚えてないな。不老不死になってから時間の経過があやふやになっている気がする」
「まだ不老不死になりたてだっていうのに、もう時間の経過があやふやなのかよ。早過ぎるぞ」
まだ若いっていうのに、みたいなノリでダンに笑われる。
だが、本当に時間の経過があやふやだ。それは不老不死になってからの記憶が、一部しかないからかもしれない。いや、意識をすれば思い出せる……と思う。だが、特段記憶に残るような色濃い出来事がなければ、あまり覚えていないのだ。
長く生きていく分、記憶がパンクしないように捨てられていくのだろうか。まあ、三人に告白されてからの記憶は、しっかりと残っているが……。
「あ、悪い。外にみんなを待たせてるんだ」
「ん? ああ、ハーフモンスター達か。団長から話を聞いてるぜ……」
ニヤニヤと面白そうに笑うダン。その様子からオッサンから三人から告白されて悩んでいる事を知っているのだろう。暫く話のネタにされそうだ……まあ、そうした記憶もあっという間に塗り潰されてくれるに違いない。今だけの辛抱だ。
「女三人、男一人に告白されて、もう子供が三人居るんだろう?」
「誰の話!?」
何なんだその混沌な状況は……俺の事なのか? いやいや、その架空の俺に関して色々気になる事があり過ぎる。三人の子供って誰との子だ? 男……ガルダか? まさかガルダとの子じゃないよな? 認知はしているのか架空の俺?
ダンの口から飛び出した俺の状況に衝撃を受けながら、その架空の俺の事が少し気になってしまう。それにしても、これはどっちだ……。オッサンが悪いのか、それともダンが酷い聞き間違いをしたのか……。
そんな事を悩んでいると、傍で飲んでいた他の団員が声を上げる。
「ああ? 俺は男の三人の妻を無理矢理奪ったって聞いたぞ」
「私は子供を人質に、あんなことやこんなことをさせたって」
「いやいや。奴隷だったのを買い取って、ハーフモンスターだからセーレのお偉いさんに高く売りつけられると」
「俺、血も涙もないクソ野郎だな!」
その他にも色々な発言が出て来たが、どれも俺が下劣な行いをした事になっている。
どうやらオッサンよりも、聞いた団員達に問題があるようだ。酒を飲み過ぎてなのか、不老不死だから記憶が曖昧になってしまったのか……。
俺が正しい事情を説明しようとしたところ、オッサンが先に口を開く。
「いや、そうじゃない。奴隷商の主を脅して奴隷を奪ったはいいものの、男と子供は要らないと後になって気付いたんだ。ただ、適当に捨てるのは、さすがに心が痛むから、セーレまで来たんだよな?」
「やっぱり元凶あんたか!」
団員達の下劣な俺に関する発言の根底には、オッサンの発言があった。
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