死なない奴等の愚行
第143話 まるでラブコメの主人公みたいだ
女三人寄れば姦しいという言葉がある。女でなく、男であっても騒がしいとは思う。イモータルの団員なら一人居ても騒がしくなりそうだ。まあ、そんな事はどうでもよく、問題は三人寄っているところに一人の男が投げ込まれた場合は何と言えばいいのだろうか。
「ケルベロスさん、先程休憩したところに実っていた甘い木の実、良かったら食べる?」
「あの……何か、温かいものでも……」
「バスを使い続けてお疲れですよね? 良ければ私の膝を枕にしてお休みになられますか?」
「…………」
現在、俺は姦しい渦中に居る。シャラの一件があってからというもの、シャラは分かるが、ミーアとリルナも俺に話し掛けて来たりする機会が増えた。バスを降りて休憩すると、三人がこちらに集まって来るという状況だ。
これはいったい……いや、あの夜シャラに迫られた事が原因だろう。
ガルダは俺に惚れて当然とか言ってたけど、まさか二人も……いやいや、あれはさすがにガルダのお世辞だ。シャラが俺に積極的に接するようになったから、それに合わせているに違いない。
「ケルベロスさん……あの三人マジですよ」
「マジなのか……」
ある日の夜。テントの中でガルダに三人が俺に好意を持っている事実を突きつけられた。
衝撃的な事実に思わず俺は両手で顔を覆った。嘘だろ……来たのかモテ期……嬉しい。うん、嬉しいけど実際どうしたらいいのか分からない。
(素直に喜べばいいんじゃないですか)
喜んではいる……だけど戸惑いの方が大きいんだ。
シャラだけでも手一杯だったのに…………どうするのが一番良いだろうか。ここは彼女達の兄のような存在であるガルダに訊くのがいいだろう。
「なあ、ガルダ的にはどうなって欲しい?」
「俺としては…………三人とも受け入れて貰えると……嬉しいです」
「お前凄い事を言うな……」
「いや、だって誰か一人だけなんて可哀想じゃないですか! 俺としてはみんなに幸せになって欲しいんです!」
まあ、ガルダの立場からしたらそうなるか……。でもシャルだけでもどうしようか保留にしていたというのに……そこに二人が増えて…………どうしたらいいかな……。
(三人とも受け入れたらいいじゃないですか。団長なら頼めば三人とも不老不死にしてくれるんじゃないですか?)
そうだろうか……いや、でも三人……三人か……。
ミーア、リルナ、シャラ……こちらとしては素直に嬉しいし、彼女達の気持ちを受け入れたいとも思う。
「だけどな……」
「ケルベロスさんとしては何か三人に引っ掛かる事があるんですか?」
「いや、そういうのはないんだが……」
「じゃあ、いいじゃないですか。一夫多妻というのは珍しくないですし」
「うーん……」
自分の中でどうしても三人と付き合う決断をする決め手が見つからない。だからといって、このまま三人の好意を無視するという気にもなれない。
(とりあえず付き合ってみたらいいじゃないですか。ケルベロスさん、そもそも女性と付き合った事がないでしょうし)
「い、いや! 記憶を失う前はきっと一人や二人……お付き合いしてたし! きっと!」
「突然どうしたんですか!?」
「あ、悪い。サーペントに話しかけられてつい……」
サーペントに言われた事もありだと思う。だけど、このまま行けばハーフモンスターの国まで残り数日……。どんな国か、ガルダ達が生活していけるか、見届けるまでは一緒に居るつもりだ。だが、オッサンから長い間離れる訳にも行かない。どんどん歳をとってしまう。
「どうしたもんかな……」
お手上げとばかりに俺は横になった。その時だった。
「ケルベロスさん……少しお話よろしいですか?」
テントの外から、俺を呼ぶシャラの声がした。
「ケルベロスさん、先程休憩したところに実っていた甘い木の実、良かったら食べる?」
「あの……何か、温かいものでも……」
「バスを使い続けてお疲れですよね? 良ければ私の膝を枕にしてお休みになられますか?」
「…………」
現在、俺は姦しい渦中に居る。シャラの一件があってからというもの、シャラは分かるが、ミーアとリルナも俺に話し掛けて来たりする機会が増えた。バスを降りて休憩すると、三人がこちらに集まって来るという状況だ。
これはいったい……いや、あの夜シャラに迫られた事が原因だろう。
ガルダは俺に惚れて当然とか言ってたけど、まさか二人も……いやいや、あれはさすがにガルダのお世辞だ。シャラが俺に積極的に接するようになったから、それに合わせているに違いない。
「ケルベロスさん……あの三人マジですよ」
「マジなのか……」
ある日の夜。テントの中でガルダに三人が俺に好意を持っている事実を突きつけられた。
衝撃的な事実に思わず俺は両手で顔を覆った。嘘だろ……来たのかモテ期……嬉しい。うん、嬉しいけど実際どうしたらいいのか分からない。
(素直に喜べばいいんじゃないですか)
喜んではいる……だけど戸惑いの方が大きいんだ。
シャラだけでも手一杯だったのに…………どうするのが一番良いだろうか。ここは彼女達の兄のような存在であるガルダに訊くのがいいだろう。
「なあ、ガルダ的にはどうなって欲しい?」
「俺としては…………三人とも受け入れて貰えると……嬉しいです」
「お前凄い事を言うな……」
「いや、だって誰か一人だけなんて可哀想じゃないですか! 俺としてはみんなに幸せになって欲しいんです!」
まあ、ガルダの立場からしたらそうなるか……。でもシャルだけでもどうしようか保留にしていたというのに……そこに二人が増えて…………どうしたらいいかな……。
(三人とも受け入れたらいいじゃないですか。団長なら頼めば三人とも不老不死にしてくれるんじゃないですか?)
そうだろうか……いや、でも三人……三人か……。
ミーア、リルナ、シャラ……こちらとしては素直に嬉しいし、彼女達の気持ちを受け入れたいとも思う。
「だけどな……」
「ケルベロスさんとしては何か三人に引っ掛かる事があるんですか?」
「いや、そういうのはないんだが……」
「じゃあ、いいじゃないですか。一夫多妻というのは珍しくないですし」
「うーん……」
自分の中でどうしても三人と付き合う決断をする決め手が見つからない。だからといって、このまま三人の好意を無視するという気にもなれない。
(とりあえず付き合ってみたらいいじゃないですか。ケルベロスさん、そもそも女性と付き合った事がないでしょうし)
「い、いや! 記憶を失う前はきっと一人や二人……お付き合いしてたし! きっと!」
「突然どうしたんですか!?」
「あ、悪い。サーペントに話しかけられてつい……」
サーペントに言われた事もありだと思う。だけど、このまま行けばハーフモンスターの国まで残り数日……。どんな国か、ガルダ達が生活していけるか、見届けるまでは一緒に居るつもりだ。だが、オッサンから長い間離れる訳にも行かない。どんどん歳をとってしまう。
「どうしたもんかな……」
お手上げとばかりに俺は横になった。その時だった。
「ケルベロスさん……少しお話よろしいですか?」
テントの外から、俺を呼ぶシャラの声がした。
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