死なない奴等の愚行
第116話 仕事はしっかり選ぼう。それから、これからの話をしよう
「お前、何やってんだよ?」
ざっくり背中を斬ってやったユーマに呆れた声を投げかける。
「あ、ケルベロスか」
「ああ、そうか、サーペントと融合してんだな」
よく見れば、ユーマと一緒に居たのは見覚えのある、イモータルの団員達だ。いったいこんなところで何をしているんだか……。
尋ねようと声を掛けようとすると、一人だけ青い顔をしている男が居た。イモータルの団員ではない、見た事のない奴だ。
「な、何だ、お前らの知り合いなのか? いきなり斬りかかって来やがって……頭おかしいんじゃねえか?」
「いやいや、俺らにとっては斬るくらいは挨拶だ」
「そうそう、なんせ死ぬ事はねえんだから」
「い、いや……そう言って腕っぷしをアピールしていたから雇ったのは確かだが……こんな出血してちゃ普通死ぬだろ」
「いってぇじゃねえか! 何すんだケルベロスてめえ!」
「ピンピンしてる!?」
先程まで斬られて地面で身悶えていたユーマは、傷が塞がり怒りを露わに、声を荒上げる。そんな姿を見て、ユーマ達を雇ったらしい男はすっかり怯えてしまっていた。どうやら死なないというのは比喩だと思っていたようだ。
「何すんだじゃない。お前ら何やってんだ? こんなところでチンピラまがいな事をして……」
「チンピラ? 誰がチンピラだって言うんだ?」
「だから、お前らが」
「おいおい、何を言ってんだよ。普通に仕事してただけだって―の」
「誰がどう見ても普通にチンピラだったからな…………おい、お前は何処へ行こうとしてるんだ?」
「ひいっ!」
俺とユーマが言い合っている隙に逃げようとしていた男の肩を掴む。このまま逃がす訳にはいかない。
「それで、ユーマ達はどうして雇われてたんだ? 他のみんなは?」
「他の奴等は街の外で野営してる。自由行動が許されていたから、街をふらついてたんだ。ただ、手持ちの金がなくて、稼げる仕事を探してたって訳よ。そんで、たまたまこいつに声を掛けられてさ」
イモータルで仕事を引き受けた訳じゃないのか。まあ、こんな依頼をサラが引き受ける訳はない。よほど金に困っていなければ……。
「少しは仕事を選べよ」
「別に悪い事じゃねえだろ? 買う約束を交わしてた奴隷をしっかり受け取るって仕事だぜ?」
「いや、こっちの女の人が言っていたように売れ残ったらっていう約束だからな。どんな説明を受けたか知らないが、こいつ嘘を吐いてるぞ」
「は? マジか?」
「マジだ。ちなみに俺が、こいつが求めていた奴隷は俺が引き取った。ファントムで奴隷を買って来て欲しいと言われてたからな。人数は多すぎる気もするけど……」
「おいおい、そういう事ならこんな仕事は引き受けられねえよ。おいオッサン、俺ら手を引くわ」
「お、おい、ふざけるなっ! そんな事が許されるとでも痛っ!」
「まあ、落ち着け」
俺は男の肩を掴む力を強めて黙らせた。
ユーマ達がチンピラまがいな事をしていたのは分かった。今度はこいつから、雇い主の事を訊く事にしよう。そうしないと、根本的な解決には…………その前にアレッサとも話をしないとな。
男の肩をしっかり掴んだまま、アレッサの方に目を向ける。
「すまん、こいつらは同じ傭兵団の仲間なんだ。もう店に迷惑をかけないから許してやってくれ」
「そ、それは構いませんが……ただ、お客様はどうしてこちらに?」
「引き取ったハーフモンスター達が、お前の事を心配してたんだ。迷惑を掛けるかもしれないってな」
俺は離れたところで待機していたハーフモンスター達を呼び寄せる。
「アレッサさん良かった……」
アレッサに駆け寄り、安堵の声を漏らすハーフモンスター達。また、アレッサは最初驚いた様子だったが、嬉しそうに顔を綻ばせる。
「あんた達……ありがとう。それに、お客様も……この度はありがとうございました」
「気にしないでくれ。それと今後の事なんだが……」
俺はアレッサと今後の事を相談する事にした。
ちょうどユーマ達も居るのだから、手伝って貰おう。
ざっくり背中を斬ってやったユーマに呆れた声を投げかける。
「あ、ケルベロスか」
「ああ、そうか、サーペントと融合してんだな」
よく見れば、ユーマと一緒に居たのは見覚えのある、イモータルの団員達だ。いったいこんなところで何をしているんだか……。
尋ねようと声を掛けようとすると、一人だけ青い顔をしている男が居た。イモータルの団員ではない、見た事のない奴だ。
「な、何だ、お前らの知り合いなのか? いきなり斬りかかって来やがって……頭おかしいんじゃねえか?」
「いやいや、俺らにとっては斬るくらいは挨拶だ」
「そうそう、なんせ死ぬ事はねえんだから」
「い、いや……そう言って腕っぷしをアピールしていたから雇ったのは確かだが……こんな出血してちゃ普通死ぬだろ」
「いってぇじゃねえか! 何すんだケルベロスてめえ!」
「ピンピンしてる!?」
先程まで斬られて地面で身悶えていたユーマは、傷が塞がり怒りを露わに、声を荒上げる。そんな姿を見て、ユーマ達を雇ったらしい男はすっかり怯えてしまっていた。どうやら死なないというのは比喩だと思っていたようだ。
「何すんだじゃない。お前ら何やってんだ? こんなところでチンピラまがいな事をして……」
「チンピラ? 誰がチンピラだって言うんだ?」
「だから、お前らが」
「おいおい、何を言ってんだよ。普通に仕事してただけだって―の」
「誰がどう見ても普通にチンピラだったからな…………おい、お前は何処へ行こうとしてるんだ?」
「ひいっ!」
俺とユーマが言い合っている隙に逃げようとしていた男の肩を掴む。このまま逃がす訳にはいかない。
「それで、ユーマ達はどうして雇われてたんだ? 他のみんなは?」
「他の奴等は街の外で野営してる。自由行動が許されていたから、街をふらついてたんだ。ただ、手持ちの金がなくて、稼げる仕事を探してたって訳よ。そんで、たまたまこいつに声を掛けられてさ」
イモータルで仕事を引き受けた訳じゃないのか。まあ、こんな依頼をサラが引き受ける訳はない。よほど金に困っていなければ……。
「少しは仕事を選べよ」
「別に悪い事じゃねえだろ? 買う約束を交わしてた奴隷をしっかり受け取るって仕事だぜ?」
「いや、こっちの女の人が言っていたように売れ残ったらっていう約束だからな。どんな説明を受けたか知らないが、こいつ嘘を吐いてるぞ」
「は? マジか?」
「マジだ。ちなみに俺が、こいつが求めていた奴隷は俺が引き取った。ファントムで奴隷を買って来て欲しいと言われてたからな。人数は多すぎる気もするけど……」
「おいおい、そういう事ならこんな仕事は引き受けられねえよ。おいオッサン、俺ら手を引くわ」
「お、おい、ふざけるなっ! そんな事が許されるとでも痛っ!」
「まあ、落ち着け」
俺は男の肩を掴む力を強めて黙らせた。
ユーマ達がチンピラまがいな事をしていたのは分かった。今度はこいつから、雇い主の事を訊く事にしよう。そうしないと、根本的な解決には…………その前にアレッサとも話をしないとな。
男の肩をしっかり掴んだまま、アレッサの方に目を向ける。
「すまん、こいつらは同じ傭兵団の仲間なんだ。もう店に迷惑をかけないから許してやってくれ」
「そ、それは構いませんが……ただ、お客様はどうしてこちらに?」
「引き取ったハーフモンスター達が、お前の事を心配してたんだ。迷惑を掛けるかもしれないってな」
俺は離れたところで待機していたハーフモンスター達を呼び寄せる。
「アレッサさん良かった……」
アレッサに駆け寄り、安堵の声を漏らすハーフモンスター達。また、アレッサは最初驚いた様子だったが、嬉しそうに顔を綻ばせる。
「あんた達……ありがとう。それに、お客様も……この度はありがとうございました」
「気にしないでくれ。それと今後の事なんだが……」
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