死なない奴等の愚行
第107話 ちゃんと買い物をします
それから店の爺さんを怒らせてしまい慌てて外へ出た。
今の店では何も買えなかったが、他のところでも買えるだろう。それにしても、サーペントの言う通り、陸を歩いているから気付かれないなんて……幼い頃から植え付けられた教えって怖いな……。
「あの爺さん、最後までお前をただ似ているだけの甲冑野郎としか思わなかったな」
(そうですね……さすがに私の姿が描かれた絵があった時には驚きました。全くばれませんでしたけどね。まあ、これで蒼海の死霊騎士とはばれない事が分りましたし、安心して買い物を続けましょうか)
「ああ……そうだな。さっきの場所で買えなかったものも別の場所で買わないといけないし…………だけど、かなりの量だ。途中で持ち切れなくなるぞ」
船長から渡されたメモを見てみると、文字で埋め尽くされている。これだけの量だ……何処かで一旦買ったものを置かせて貰わなければ難しい。もしくはもっと人手が欲しいところだ。
「買い物している時には一旦分離するか。そうすれば人手は増えるし」
(……もしくはさきにこれを買いましょう)
「これ?」
俺がメモを握っている手とは逆の手をサーペントが動かして指を差す。そこに書かれていたのは…………奴隷。
「…………奴隷?」
(人手が必要なら、まず先に買った方がいいでしょう)
確かにサーペントの言う通りだ、言う通りなんだが…………そんな気軽に奴隷買って来てなんて普通頼むか、おい。それとも大抵の常識は神に与えられたと思っていたが、そこの部分は抜け落ちているのだろうか。
ちなみに、よく見ると奴隷に関しての補足が書かれている。
『活きのいいの』
「魚か!」
もしかして食うのか? 食う為に奴隷を買って来いと? まいった……いくら奴隷でも食肉にされてしまう運命が待ち受けているなら買えないぞ。
(いや……さすがに食べる為に買うんじゃないと思いますよ)
「そ、そうか……?」
(もし食べるなら、海賊を食べてますよ)
「……確かに」
いくら何でも考えが飛び過ぎたか。だけどいったい奴隷なんて必要なんだろうか? …………よし、考えるのはやめだ、面倒臭い。とりあえず買ってしまおう。どうせ荷物を持つ人手は欲しいのだし。
「よし、奴隷を買いに行くぞ」
(かしこまりました)
俺とサーペントは早速奴隷が売られている奴隷商の店を探す。街の人に聞きながら探したところ、すぐに辿り着く事ができた。
「ここか……なんか奴隷が売られている店というと、薄暗いイメージがあったんだが、意外と明るい…………本当にこの店でいいのか?」
(街の人から聞いた名前と一致しますし、ここで間違いないかと……)
「そうか……」
華美な装飾がされた店構えは正直夜のお店を思わせる。指名をして隣に座らせ一緒にお話をしながら、お酒を楽しむ。そんな店ではないかと思えてならない。
「まあ、入ってみるか……」
とにかく入らないと分からない。
俺は扉に手を掛けて、開けてみる。
「「「「「いらっしゃいませぇー」」」」」
「あ、間違えました」
すぐに扉を閉めた。
……いや、ここは違う。奴隷が売られているとは思えない。
いや、だって、綺麗な沢山のお姉さんが「いらっしゃいませぇー」と声を揃えてお出迎えされたよ。そんな店が奴隷を売っているとは思えない。
(ケルベロスさん、でも今の人達は首輪をつけてましたよ)
「首輪を?」
奴隷である事を示す首輪をつけていたという事は、やはり奴隷を売っている? いや、でも奴隷をテーマにした特殊なお店なのかもしれない。
(とりあえず、もう一度入ってみましょうよ)
「……そうだな。とにかく入って聞いてみるか」
俺は改めて店に入る。
先程と変わらず、沢山の女性が明るい声を揃えて迎えられた。サーペントが言っていたように、確かに首をつけている。
ここで本当に奴隷を売っているのだろうか……。
今の店では何も買えなかったが、他のところでも買えるだろう。それにしても、サーペントの言う通り、陸を歩いているから気付かれないなんて……幼い頃から植え付けられた教えって怖いな……。
「あの爺さん、最後までお前をただ似ているだけの甲冑野郎としか思わなかったな」
(そうですね……さすがに私の姿が描かれた絵があった時には驚きました。全くばれませんでしたけどね。まあ、これで蒼海の死霊騎士とはばれない事が分りましたし、安心して買い物を続けましょうか)
「ああ……そうだな。さっきの場所で買えなかったものも別の場所で買わないといけないし…………だけど、かなりの量だ。途中で持ち切れなくなるぞ」
船長から渡されたメモを見てみると、文字で埋め尽くされている。これだけの量だ……何処かで一旦買ったものを置かせて貰わなければ難しい。もしくはもっと人手が欲しいところだ。
「買い物している時には一旦分離するか。そうすれば人手は増えるし」
(……もしくはさきにこれを買いましょう)
「これ?」
俺がメモを握っている手とは逆の手をサーペントが動かして指を差す。そこに書かれていたのは…………奴隷。
「…………奴隷?」
(人手が必要なら、まず先に買った方がいいでしょう)
確かにサーペントの言う通りだ、言う通りなんだが…………そんな気軽に奴隷買って来てなんて普通頼むか、おい。それとも大抵の常識は神に与えられたと思っていたが、そこの部分は抜け落ちているのだろうか。
ちなみに、よく見ると奴隷に関しての補足が書かれている。
『活きのいいの』
「魚か!」
もしかして食うのか? 食う為に奴隷を買って来いと? まいった……いくら奴隷でも食肉にされてしまう運命が待ち受けているなら買えないぞ。
(いや……さすがに食べる為に買うんじゃないと思いますよ)
「そ、そうか……?」
(もし食べるなら、海賊を食べてますよ)
「……確かに」
いくら何でも考えが飛び過ぎたか。だけどいったい奴隷なんて必要なんだろうか? …………よし、考えるのはやめだ、面倒臭い。とりあえず買ってしまおう。どうせ荷物を持つ人手は欲しいのだし。
「よし、奴隷を買いに行くぞ」
(かしこまりました)
俺とサーペントは早速奴隷が売られている奴隷商の店を探す。街の人に聞きながら探したところ、すぐに辿り着く事ができた。
「ここか……なんか奴隷が売られている店というと、薄暗いイメージがあったんだが、意外と明るい…………本当にこの店でいいのか?」
(街の人から聞いた名前と一致しますし、ここで間違いないかと……)
「そうか……」
華美な装飾がされた店構えは正直夜のお店を思わせる。指名をして隣に座らせ一緒にお話をしながら、お酒を楽しむ。そんな店ではないかと思えてならない。
「まあ、入ってみるか……」
とにかく入らないと分からない。
俺は扉に手を掛けて、開けてみる。
「「「「「いらっしゃいませぇー」」」」」
「あ、間違えました」
すぐに扉を閉めた。
……いや、ここは違う。奴隷が売られているとは思えない。
いや、だって、綺麗な沢山のお姉さんが「いらっしゃいませぇー」と声を揃えてお出迎えされたよ。そんな店が奴隷を売っているとは思えない。
(ケルベロスさん、でも今の人達は首輪をつけてましたよ)
「首輪を?」
奴隷である事を示す首輪をつけていたという事は、やはり奴隷を売っている? いや、でも奴隷をテーマにした特殊なお店なのかもしれない。
(とりあえず、もう一度入ってみましょうよ)
「……そうだな。とにかく入って聞いてみるか」
俺は改めて店に入る。
先程と変わらず、沢山の女性が明るい声を揃えて迎えられた。サーペントが言っていたように、確かに首をつけている。
ここで本当に奴隷を売っているのだろうか……。
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