死なない奴等の愚行
第89話 パワーアップしたからといって、勝てると思ったら大間違いだからな!
前回までのあらすじ!
蒼海の死霊騎士を応援していたら、マヤの魔法で海に向かって飛ばされてしまう。そして、その先には死霊騎士が!?
そして死霊騎士とぶつかる直前にバラバラとなってしまい、ばらけた甲冑の体が俺に向かって来たのだった!
…………とまあ、そんな事がありました。で、バラバラとなった甲冑が俺の方に向かって来てどうなったかというと……取り込まれました。取り込まれたんです。ただいま、蒼海の死霊騎士の中でございます。
「よしっ! アドリブだったが、どうにかいけたみたいどなっ!」
「おいっ! どういう事だっ!」
「どういう事も何も……自分の姿を見れば分かるだろう」
「自分の姿……蒼海の死霊騎士の中」
「そういう事だ」
「訳分からんっ!」
俺、何されちゃったの!?
あと甲冑の中は、ほんのり生温かい!金属なのに!
そういえば砕かれた腕とか、ところどころにあった罅割れが治ってるな! 良かったな青! だから出して!
デュラの爺さんも状況についていけないらしく、首を傾げているが、すぐに剣を構え直して、こちらに殺気を向けて来る。
「よく分からんが……ケルベロス。お前ごと、そいつを斬っていいんだな?」
「いや、よくないけど!?」
「うるせえっ! 戦いに首突っ込んだてめえの責任だ!」
「好きで突っ込んだ訳じゃねえ!」
首どころか全身突っ込んじまったよ畜生!
そう叫んだところで、きっと今のデュラ爺さんは斬り掛かって来るに違いない。今すぐこの場から逃げる手段があるなら教えて欲しい。
(申し訳御座いません。その術を私は存じ上げません)
「いや、気にしなくていい…………ん?」
誰かの声が聞こえて思わず返事をしてしまったが……誰もいないよな?
パニックのあまり幻聴が聞こえるようになったのか……。
(いえ、幻聴ではありません)
「うおっ!?」
やっぱり聞こえる? 誰だ?
(私は、あなた達のいうところの蒼海の死霊騎士です)
蒼海の死霊騎士? お前が?
(はい。私としても状況を理解できないのですが、どうやらケルベロスさんと私は融合させられてしまったようです)
……は?
いや、ちょっと待って、融合?
そういえば蒼海の死霊騎士と俺の足下に同じような魔法陣が現れていた。もしや、あれか?
(それですね)
マジか! あいつら無断で……というか、これ元に戻れるんだよな? 一生甲冑の中なんて嫌だぞ!
(……すみません、私が不甲斐ないばかりに。私が一方的にやられてしまったから、こんなことになっているんですよね?)
いや、お前は謝らなくていいよ。というか思ったよりもちゃんと話しができる相手なんだな。最初からそんなふうに話し掛けてくれれば、こんな事にはならなかっただろうに。
(いえ、その……こんなふうに話せるようになったのは融合してからなんですよ。どうしてか分からないんですが……)
そうなのか? 博士が何か魔法陣を描いていたけど、それが原因かもしれないな。まあ、色々話したい事はあるんだが、とりあえず話しはやめて目の前のデュラ爺さんをどうするか考えよう。
(そうですね……)
デュラ爺さんはいつでも斬り掛かって来そうだった。
まるで首に剣を押し当てられているような錯覚をするほどの、強烈な殺気がデュラ爺さんの全身から放たれている。
「どうすればいいんだよ……」
(………………戦うしかないでしょう)
蒼海の死霊騎士もデュラ爺さんと戦いたくないようで、嫌そうに、絞り出すようにして言葉を発した。だよね、戦いたくないよな。勝てる気がしないもん。なんかパワーアップしたように見えるだろうけど、それでもデュラ爺さんの足下にも及ばないというのが、対面していると嫌でも分かる。
まあ、なんだ……折角だから一撃くらい入れてやるか。このまま一方的にボコボコにされっぱなしじゃ嫌だろ? いや、一撃すら与えられるか分からんが。
(いや……正直、ボコボコにされている時って、朧気にしか覚えてないんですよね。融合のせいなのかもしれせん。でも、ボコボコにされたのは覚えているといえば、覚えているので…………これ以上ボコボコにされないよう頑張りましょう)
こうして、俺と蒼海の死霊騎士は協力してデュラ爺さんに挑むのであった。
蒼海の死霊騎士を応援していたら、マヤの魔法で海に向かって飛ばされてしまう。そして、その先には死霊騎士が!?
そして死霊騎士とぶつかる直前にバラバラとなってしまい、ばらけた甲冑の体が俺に向かって来たのだった!
…………とまあ、そんな事がありました。で、バラバラとなった甲冑が俺の方に向かって来てどうなったかというと……取り込まれました。取り込まれたんです。ただいま、蒼海の死霊騎士の中でございます。
「よしっ! アドリブだったが、どうにかいけたみたいどなっ!」
「おいっ! どういう事だっ!」
「どういう事も何も……自分の姿を見れば分かるだろう」
「自分の姿……蒼海の死霊騎士の中」
「そういう事だ」
「訳分からんっ!」
俺、何されちゃったの!?
あと甲冑の中は、ほんのり生温かい!金属なのに!
そういえば砕かれた腕とか、ところどころにあった罅割れが治ってるな! 良かったな青! だから出して!
デュラの爺さんも状況についていけないらしく、首を傾げているが、すぐに剣を構え直して、こちらに殺気を向けて来る。
「よく分からんが……ケルベロス。お前ごと、そいつを斬っていいんだな?」
「いや、よくないけど!?」
「うるせえっ! 戦いに首突っ込んだてめえの責任だ!」
「好きで突っ込んだ訳じゃねえ!」
首どころか全身突っ込んじまったよ畜生!
そう叫んだところで、きっと今のデュラ爺さんは斬り掛かって来るに違いない。今すぐこの場から逃げる手段があるなら教えて欲しい。
(申し訳御座いません。その術を私は存じ上げません)
「いや、気にしなくていい…………ん?」
誰かの声が聞こえて思わず返事をしてしまったが……誰もいないよな?
パニックのあまり幻聴が聞こえるようになったのか……。
(いえ、幻聴ではありません)
「うおっ!?」
やっぱり聞こえる? 誰だ?
(私は、あなた達のいうところの蒼海の死霊騎士です)
蒼海の死霊騎士? お前が?
(はい。私としても状況を理解できないのですが、どうやらケルベロスさんと私は融合させられてしまったようです)
……は?
いや、ちょっと待って、融合?
そういえば蒼海の死霊騎士と俺の足下に同じような魔法陣が現れていた。もしや、あれか?
(それですね)
マジか! あいつら無断で……というか、これ元に戻れるんだよな? 一生甲冑の中なんて嫌だぞ!
(……すみません、私が不甲斐ないばかりに。私が一方的にやられてしまったから、こんなことになっているんですよね?)
いや、お前は謝らなくていいよ。というか思ったよりもちゃんと話しができる相手なんだな。最初からそんなふうに話し掛けてくれれば、こんな事にはならなかっただろうに。
(いえ、その……こんなふうに話せるようになったのは融合してからなんですよ。どうしてか分からないんですが……)
そうなのか? 博士が何か魔法陣を描いていたけど、それが原因かもしれないな。まあ、色々話したい事はあるんだが、とりあえず話しはやめて目の前のデュラ爺さんをどうするか考えよう。
(そうですね……)
デュラ爺さんはいつでも斬り掛かって来そうだった。
まるで首に剣を押し当てられているような錯覚をするほどの、強烈な殺気がデュラ爺さんの全身から放たれている。
「どうすればいいんだよ……」
(………………戦うしかないでしょう)
蒼海の死霊騎士もデュラ爺さんと戦いたくないようで、嫌そうに、絞り出すようにして言葉を発した。だよね、戦いたくないよな。勝てる気がしないもん。なんかパワーアップしたように見えるだろうけど、それでもデュラ爺さんの足下にも及ばないというのが、対面していると嫌でも分かる。
まあ、なんだ……折角だから一撃くらい入れてやるか。このまま一方的にボコボコにされっぱなしじゃ嫌だろ? いや、一撃すら与えられるか分からんが。
(いや……正直、ボコボコにされている時って、朧気にしか覚えてないんですよね。融合のせいなのかもしれせん。でも、ボコボコにされたのは覚えているといえば、覚えているので…………これ以上ボコボコにされないよう頑張りましょう)
こうして、俺と蒼海の死霊騎士は協力してデュラ爺さんに挑むのであった。
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