死なない奴等の愚行
第88話 何が起こるかな?
再び立ち上がった蒼海の死霊騎士。
だが、檄を飛ばした俺が言うのもなんだが、これ以上戦えるとは思えなかった。
両腕は砕けてしまい失っていて、甲冑の所々に皹が入っている。身動きを少し下だけで、甲冑の皹が広がり、ボロボロと甲冑の一部が海面へと落ちていく。
「ほおっ、立ち上がるか! 見事だなっ!」
「本気のーデュラお爺さんを相手にー凄いわねー」
気付けば俺を挟み込むように、二人が立っていて興味深そうに蒼海の死霊騎士を見ていた。そしてマヤが博士に一つ提案をする。
「博士、少し手を貸してみないー?」
「それは…………面白そうだな!」
「ケルベロスのー言葉に奮起した様子を見るとー、理性がない訳ではなさそうだしねー」
「ああ! そうと決まれば…………よしっ! マヤくん、こんなのはどうだ?」
「ふむ…………なるほどー、それでいきましょー」
マヤが言い出して、博士がその話に乗って彼女に何か提案をする。そして二人の方針が決まったようだ。仲間が戦っている相手を応援するのはどうかと思うが……いや、俺も蒼海の死霊騎士を応援しているけども。
この二人が支援するとなると…………果たしてどうなるのだろうか。
デュラ爺さんは蒼海の死霊騎士が再び立ち上がった事に気付き、少し後退して向き合って愉快そうに笑っていた。
「はっはっはっ! よくぞ立ち上がった! そうでなくては面白くない! さあ、まだまだ俺を楽しませてくれっ!」
「…………」
デュラが嬉しそうに剣を構え、蒼海の死霊騎士は無言でやや腰を落として半身になって臨戦態勢に入る。海流を操っているのか、蒼海の死霊騎士の足下の海面が荒れているように見えた。
満身創痍の状態で、圧倒的な力の差があるデュラとどう戦うのか。
そして、博士とマヤはいったい何をしでかすのか。
ユーリと救出した男性団員は再び観戦を初めて、蒼海の死霊騎士がどれだけデュラと戦っていられるか賭けを始めていた。意外とお金を持っているようでかなりの額を賭けているのに、一気にそちらに意識を持って行かれる。
だって家が買えるくらいの額が飛び出して来たのだから、そりゃ意識の一つや二つ持って行かれても無理もないだろう。不老不死の貯金は侮れない。
「よしっ! やるぞ!」
「はいー」
「え?」
次の瞬間、蒼海の死霊騎士の足下に魔法陣が出現して白い光が包み込む。
いったい何が起ころうとしているのか。そして、なぜ俺の足下に同じような魔法陣があるのか。
「おいっ! ちょっと待て! 何これ? 何が起きてるの?」
「博士、こっちは大丈夫よー」
「調整するから少し待てっ!」
「貴様、何してるんじゃっ!」
いつの間にか博士が船から消え、蒼海の死霊騎士の体に触れて何かをしていた。デュラ爺さんは怒りの声を上げている。博士もろとも斬り捨ててやろうかと思えてしまうほどの剣幕だ。一方で何かをされている蒼海の死霊騎士だが、意外と大人しい。
というか、突然現れた博士に困惑して動けないように見える。
蒼海の死霊騎士が何もしないのを良い事に、複数の魔法陣を体に描いていく。
「……ふむ、元々が同じ人の魂……だから可能か? よし、ここにも……これでよしっ! マヤくんっ! こちらも大丈夫だっ! さあ、始めようじゃないか!」
「はーい、それじゃあ魔法を発動しますー」
「なあ、だからどうして俺の足下にも魔法陣があるの!? って、のおおっ!?」
突然襲い掛かる浮遊感、そして船を飛び出して蒼海の死霊騎士に向かって飛ばされてしまう。何が起きてるのか、どうなってしまうのか……。とりあえず、このままでは蒼海の死霊騎士と衝突する。
ぶつかる、そう思った瞬間だった。蒼海の死霊騎士がばらけた。
「はあっ!?」
とどめを刺しちまった!?
そう思ったが、どうやら違うらしい。ばらけてしまった甲冑の体は海面に落ちる事なく、宙で止まっていた。そして再び一つになろうと集まり出す。なぜか、俺の方に。
だが、檄を飛ばした俺が言うのもなんだが、これ以上戦えるとは思えなかった。
両腕は砕けてしまい失っていて、甲冑の所々に皹が入っている。身動きを少し下だけで、甲冑の皹が広がり、ボロボロと甲冑の一部が海面へと落ちていく。
「ほおっ、立ち上がるか! 見事だなっ!」
「本気のーデュラお爺さんを相手にー凄いわねー」
気付けば俺を挟み込むように、二人が立っていて興味深そうに蒼海の死霊騎士を見ていた。そしてマヤが博士に一つ提案をする。
「博士、少し手を貸してみないー?」
「それは…………面白そうだな!」
「ケルベロスのー言葉に奮起した様子を見るとー、理性がない訳ではなさそうだしねー」
「ああ! そうと決まれば…………よしっ! マヤくん、こんなのはどうだ?」
「ふむ…………なるほどー、それでいきましょー」
マヤが言い出して、博士がその話に乗って彼女に何か提案をする。そして二人の方針が決まったようだ。仲間が戦っている相手を応援するのはどうかと思うが……いや、俺も蒼海の死霊騎士を応援しているけども。
この二人が支援するとなると…………果たしてどうなるのだろうか。
デュラ爺さんは蒼海の死霊騎士が再び立ち上がった事に気付き、少し後退して向き合って愉快そうに笑っていた。
「はっはっはっ! よくぞ立ち上がった! そうでなくては面白くない! さあ、まだまだ俺を楽しませてくれっ!」
「…………」
デュラが嬉しそうに剣を構え、蒼海の死霊騎士は無言でやや腰を落として半身になって臨戦態勢に入る。海流を操っているのか、蒼海の死霊騎士の足下の海面が荒れているように見えた。
満身創痍の状態で、圧倒的な力の差があるデュラとどう戦うのか。
そして、博士とマヤはいったい何をしでかすのか。
ユーリと救出した男性団員は再び観戦を初めて、蒼海の死霊騎士がどれだけデュラと戦っていられるか賭けを始めていた。意外とお金を持っているようでかなりの額を賭けているのに、一気にそちらに意識を持って行かれる。
だって家が買えるくらいの額が飛び出して来たのだから、そりゃ意識の一つや二つ持って行かれても無理もないだろう。不老不死の貯金は侮れない。
「よしっ! やるぞ!」
「はいー」
「え?」
次の瞬間、蒼海の死霊騎士の足下に魔法陣が出現して白い光が包み込む。
いったい何が起ころうとしているのか。そして、なぜ俺の足下に同じような魔法陣があるのか。
「おいっ! ちょっと待て! 何これ? 何が起きてるの?」
「博士、こっちは大丈夫よー」
「調整するから少し待てっ!」
「貴様、何してるんじゃっ!」
いつの間にか博士が船から消え、蒼海の死霊騎士の体に触れて何かをしていた。デュラ爺さんは怒りの声を上げている。博士もろとも斬り捨ててやろうかと思えてしまうほどの剣幕だ。一方で何かをされている蒼海の死霊騎士だが、意外と大人しい。
というか、突然現れた博士に困惑して動けないように見える。
蒼海の死霊騎士が何もしないのを良い事に、複数の魔法陣を体に描いていく。
「……ふむ、元々が同じ人の魂……だから可能か? よし、ここにも……これでよしっ! マヤくんっ! こちらも大丈夫だっ! さあ、始めようじゃないか!」
「はーい、それじゃあ魔法を発動しますー」
「なあ、だからどうして俺の足下にも魔法陣があるの!? って、のおおっ!?」
突然襲い掛かる浮遊感、そして船を飛び出して蒼海の死霊騎士に向かって飛ばされてしまう。何が起きてるのか、どうなってしまうのか……。とりあえず、このままでは蒼海の死霊騎士と衝突する。
ぶつかる、そう思った瞬間だった。蒼海の死霊騎士がばらけた。
「はあっ!?」
とどめを刺しちまった!?
そう思ったが、どうやら違うらしい。ばらけてしまった甲冑の体は海面に落ちる事なく、宙で止まっていた。そして再び一つになろうと集まり出す。なぜか、俺の方に。
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