死なない奴等の愚行
第40話 いざ戦場へ!
オッサンに今度戦場に行く時は、俺も連れて行くと言われてから二日後――。
「嫌だっ! お家に帰る!」
「はっはっは、このイモータルこそが、今のお前にとっての家じゃないか」
「何度も死の淵に追いやられる殺伐としたお家なんてごめんだ!」
現在、俺はイモータルの団員と共に戦場へと向かっていて、最後の悪足掻きをしている。
戦場に連れて行かれる事を知り、何度か逃走を図った。だが、ダンを始めとする団員達によって連れ戻されて、二日間みっちり訓練という名の拷問を受けたのだ。
……いやいや。早いって、突然過ぎるって。俺、死ぬ事に慣れる以外の訓練受けてないよ。戦い方なんて全く分からない。こんな状態で戦争に参加しろというのか。確実に味方にとっては邪魔だし、敵にとっては良い的だ。
「ケルベロス、まだ覚悟ができてないのか?」
「いい加減覚悟を決めちまえよ。男だろ?」
「そうですよっ! ケルベロスくんっ! どうせ戦場で戦う時はいつか来るのです! それが早まっただけの事!」
同じ幌馬車に乗るオッサン、ユイカ、博士。この馬車は担当者専用なのだが、俺は初陣という事で同乗している。ダンを含めたこの四人から逃げる事は難しい。覚悟を決めてやるしかないのか……。
「だけど入って分かるけど、あまりにも戦場に行く団員が少なくないか? 半分以上宿屋に残ってるよな?」
担当者はこの場に居る四人以外は宿で待機。それ以外の団員も半分以上が宿で待機している。
正直俺も待機する一人でありたかった。ユーマは待機だ。代わってくれと出発直前まで頼んだが、とうとう最後まで頷いてはくれなかった。あいつに何かあっても絶対に助けてやるもんか。むしろ追い討ちを掛けてトドメを刺してやる。
話が逸れたが、とにかくあまりにも戦場に行く人数が少ない気がした。以前、今回は小競り合いレベルだと聞いていたが問題ないのだろうか。そんな疑問を抱いていると、ダンが答える。
「俺達が全員で仕事をするのは稀なんだ。自慢じゃないが、俺達は一人居るだけでも戦況が引っくり返る戦力になるからな。だから普通の傭兵を雇うより高額にしてるらしい。だから全員ともなると、かなりの額になるんだ」
「だから全員は雇えないから雇う人数を減らしてるのか。でも、そんなに高いんじゃイモータルを雇う奴はあまり居ないんじゃないか?」
「そんな事はない。このイモータルを雇えば少なくても負けはない。言っただろ? 一人居るだけで戦況が引っくり返るって」
自信に満ちた笑みを浮かべるダン。この場に居る全員が同意するように頷いていた。もしかすると、この場のメンツだけでも充分じゃないんだろうか。
だが、何も問題がないという訳ではないらしく、ユイカは溜息を吐く。
「戦うだけならいいんだけどね。いざ私達を雇っても、報酬の支払いを渋る奴が居るんだよ。ぼったくりだってね。まあ、そういった対応は全部サラの役目だけどね。私達は報酬の取り立ての最終手段をこなすだけだ」
「? 最終手段?」
「敵側に寝返る」
「うわあ……」
今まで心強かった味方が、上が金を出し渋ったせいで一斉に敵となってしまう。
「敵に寝返るって……敵も警戒して受け入れないだろ」
「いいや。私達への報酬を出し渋った時の常套手段だし、むしろ歓迎してくれるよ。これで大負けはないってね。報酬を払えば戦争からイモータルは手を引く、報酬を払わないなら敵のままって感じだから、敵としては有難いんだよ」
敵に回したら恐ろしいが、味方となるならこれほど心強いものはないだろう。
そんな話をしている内にイモータルは戦場へと辿り着いたのだった。
はあ……とうとう来ちゃったな……。
「嫌だっ! お家に帰る!」
「はっはっは、このイモータルこそが、今のお前にとっての家じゃないか」
「何度も死の淵に追いやられる殺伐としたお家なんてごめんだ!」
現在、俺はイモータルの団員と共に戦場へと向かっていて、最後の悪足掻きをしている。
戦場に連れて行かれる事を知り、何度か逃走を図った。だが、ダンを始めとする団員達によって連れ戻されて、二日間みっちり訓練という名の拷問を受けたのだ。
……いやいや。早いって、突然過ぎるって。俺、死ぬ事に慣れる以外の訓練受けてないよ。戦い方なんて全く分からない。こんな状態で戦争に参加しろというのか。確実に味方にとっては邪魔だし、敵にとっては良い的だ。
「ケルベロス、まだ覚悟ができてないのか?」
「いい加減覚悟を決めちまえよ。男だろ?」
「そうですよっ! ケルベロスくんっ! どうせ戦場で戦う時はいつか来るのです! それが早まっただけの事!」
同じ幌馬車に乗るオッサン、ユイカ、博士。この馬車は担当者専用なのだが、俺は初陣という事で同乗している。ダンを含めたこの四人から逃げる事は難しい。覚悟を決めてやるしかないのか……。
「だけど入って分かるけど、あまりにも戦場に行く団員が少なくないか? 半分以上宿屋に残ってるよな?」
担当者はこの場に居る四人以外は宿で待機。それ以外の団員も半分以上が宿で待機している。
正直俺も待機する一人でありたかった。ユーマは待機だ。代わってくれと出発直前まで頼んだが、とうとう最後まで頷いてはくれなかった。あいつに何かあっても絶対に助けてやるもんか。むしろ追い討ちを掛けてトドメを刺してやる。
話が逸れたが、とにかくあまりにも戦場に行く人数が少ない気がした。以前、今回は小競り合いレベルだと聞いていたが問題ないのだろうか。そんな疑問を抱いていると、ダンが答える。
「俺達が全員で仕事をするのは稀なんだ。自慢じゃないが、俺達は一人居るだけでも戦況が引っくり返る戦力になるからな。だから普通の傭兵を雇うより高額にしてるらしい。だから全員ともなると、かなりの額になるんだ」
「だから全員は雇えないから雇う人数を減らしてるのか。でも、そんなに高いんじゃイモータルを雇う奴はあまり居ないんじゃないか?」
「そんな事はない。このイモータルを雇えば少なくても負けはない。言っただろ? 一人居るだけで戦況が引っくり返るって」
自信に満ちた笑みを浮かべるダン。この場に居る全員が同意するように頷いていた。もしかすると、この場のメンツだけでも充分じゃないんだろうか。
だが、何も問題がないという訳ではないらしく、ユイカは溜息を吐く。
「戦うだけならいいんだけどね。いざ私達を雇っても、報酬の支払いを渋る奴が居るんだよ。ぼったくりだってね。まあ、そういった対応は全部サラの役目だけどね。私達は報酬の取り立ての最終手段をこなすだけだ」
「? 最終手段?」
「敵側に寝返る」
「うわあ……」
今まで心強かった味方が、上が金を出し渋ったせいで一斉に敵となってしまう。
「敵に寝返るって……敵も警戒して受け入れないだろ」
「いいや。私達への報酬を出し渋った時の常套手段だし、むしろ歓迎してくれるよ。これで大負けはないってね。報酬を払えば戦争からイモータルは手を引く、報酬を払わないなら敵のままって感じだから、敵としては有難いんだよ」
敵に回したら恐ろしいが、味方となるならこれほど心強いものはないだろう。
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はあ……とうとう来ちゃったな……。
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