死なない奴等の愚行
第23話 オッサンは神様を殴る資格があると思う
オッサンの不老不死になった話は続く。
「それで団長は何でもいいから死なないようにして、と言ったそうだ。そしたら神は『死なないようにって……不死って事? ああ、いいよ。でも不死っていうのは辛いよ。何をしても死ねないんだもん。体は老いるし、どんなに瘦せ細って皺くちゃになって歩けなくなってもまだ死ねないからね…………あ、そうだ。じゃあ不老の力もあげよう。そうすれば若さを保ったままで健康なまま生きていける。んーでも、一人でずっと生きていくのも辛いよね。ああ、そうだ。それなら他人に不死と不老の力を与えられるようにしてあげるよ。ちょっと調整するのに時間をちょうだい』なんて事を言われて、団長は気力で十分くらい生き延びた」
団長、あんた半端ないって! よく十分も気力で命をもたせたよ! 俺だったら命と引き換えにしてでも「さっさと助けろや!」って神に殴り掛かっているところだ。
今はなんだか緩いけど昔の団長は忍耐強かったんだな……。
「でも十分じゃ足りなかった。いよいよ死を迎えようとしているのが神にも分かったらしくて『え? ちょっと死ぬの? おいおい、もうちょっと頑張ろうよ。力の調整が終われば不老不死だよ? だから、あと五分は頑張って。五分で終わらせるから!』と言われて更に五分頑張った」
団長おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
気力で死の延長半端ないって! この世の延滞料金いくらだよ!? 俺が払うよ!
団長の命への強い執着心に脱帽だ。俺だったら神を殴る事すらできずに、五分延長なんて言われたら諦めて死んでしまう。
だけど五分無事生き永らえたオッサンはこれでめでたく不老不死に……。
「五分後、神は『あ、ごめん。五分じゃ足りなかった』と言ったの」
「神ゴラァッ!!」
あまりの仕打ちに、神に対しての怒りをとうとう声に出してしまった。
神、お前は何してるんだ? いや、何がしたいんだ? もう不老不死は後回しにして、とりあえず命を助けてやれよ。死んだら不老も不死も意味ないぞ。
「もうこれ以上はもたないと神は判断して調整が不完全なまま力を渡した。その結果、不老の力は与えられても、団長の傍に居ないと力が発揮されなくなったらしい。『ごめんねー。まあ、君自身は完璧に不老不死だからいいよね。じゃあねー』と言って目の前から消えてしまったそうだ」
「俺だったらその後、神を殺す旅に出るな」
「ええ、団長も一発殴らないと気が済まないと思って、暫くは各地の遺跡を回って神を探したそうだ。でも結局神とは再会できてないらしい」
とりあえず神はろくでもない奴である事が分かった。できるだけ関わりたくないものだが、俺の記憶喪失に関して既に神が関わっているかもしれないのか……。
サラはオッサンと神の出会いを話し終えると、マヤに視線を向ける。本当に俺に神が関わっているのかと問い掛けているようだ。
「少なくても団長と同じような存在が関わっているのは間違いないねー。人間では真似ができない魔法よりも高位な…………不老不死と同質の特別な力が使われてるよー。神が関わっているならー、異世界から転移ができたとしても不思議じゃないでしょ」
「異世界ね……。まあ、何処から来たのかは、ひとまず置いておこう。それよりも神が関わっている事を団長にも教えた方がいいかもな。神の手がかりが手に入ったかもしれない。まあ、今は六百年以上前の事なんてどうでもいいかもしれないがな」
俺が戦場に突然現れた事や記憶喪失に神が関わっている……。
そんな御伽噺のような事があるのか……。いや、オッサンの過去の話を聴いた後だと充分にあり得る。『間違って戦場に送ったうえに記憶喪失にしちゃった。ごめんね、でも常識は植え付けておいたし、不老不死の力も貰えたし大丈夫だよねー』とか言っていてもおかしくない。
「それで団長は何でもいいから死なないようにして、と言ったそうだ。そしたら神は『死なないようにって……不死って事? ああ、いいよ。でも不死っていうのは辛いよ。何をしても死ねないんだもん。体は老いるし、どんなに瘦せ細って皺くちゃになって歩けなくなってもまだ死ねないからね…………あ、そうだ。じゃあ不老の力もあげよう。そうすれば若さを保ったままで健康なまま生きていける。んーでも、一人でずっと生きていくのも辛いよね。ああ、そうだ。それなら他人に不死と不老の力を与えられるようにしてあげるよ。ちょっと調整するのに時間をちょうだい』なんて事を言われて、団長は気力で十分くらい生き延びた」
団長、あんた半端ないって! よく十分も気力で命をもたせたよ! 俺だったら命と引き換えにしてでも「さっさと助けろや!」って神に殴り掛かっているところだ。
今はなんだか緩いけど昔の団長は忍耐強かったんだな……。
「でも十分じゃ足りなかった。いよいよ死を迎えようとしているのが神にも分かったらしくて『え? ちょっと死ぬの? おいおい、もうちょっと頑張ろうよ。力の調整が終われば不老不死だよ? だから、あと五分は頑張って。五分で終わらせるから!』と言われて更に五分頑張った」
団長おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
気力で死の延長半端ないって! この世の延滞料金いくらだよ!? 俺が払うよ!
団長の命への強い執着心に脱帽だ。俺だったら神を殴る事すらできずに、五分延長なんて言われたら諦めて死んでしまう。
だけど五分無事生き永らえたオッサンはこれでめでたく不老不死に……。
「五分後、神は『あ、ごめん。五分じゃ足りなかった』と言ったの」
「神ゴラァッ!!」
あまりの仕打ちに、神に対しての怒りをとうとう声に出してしまった。
神、お前は何してるんだ? いや、何がしたいんだ? もう不老不死は後回しにして、とりあえず命を助けてやれよ。死んだら不老も不死も意味ないぞ。
「もうこれ以上はもたないと神は判断して調整が不完全なまま力を渡した。その結果、不老の力は与えられても、団長の傍に居ないと力が発揮されなくなったらしい。『ごめんねー。まあ、君自身は完璧に不老不死だからいいよね。じゃあねー』と言って目の前から消えてしまったそうだ」
「俺だったらその後、神を殺す旅に出るな」
「ええ、団長も一発殴らないと気が済まないと思って、暫くは各地の遺跡を回って神を探したそうだ。でも結局神とは再会できてないらしい」
とりあえず神はろくでもない奴である事が分かった。できるだけ関わりたくないものだが、俺の記憶喪失に関して既に神が関わっているかもしれないのか……。
サラはオッサンと神の出会いを話し終えると、マヤに視線を向ける。本当に俺に神が関わっているのかと問い掛けているようだ。
「少なくても団長と同じような存在が関わっているのは間違いないねー。人間では真似ができない魔法よりも高位な…………不老不死と同質の特別な力が使われてるよー。神が関わっているならー、異世界から転移ができたとしても不思議じゃないでしょ」
「異世界ね……。まあ、何処から来たのかは、ひとまず置いておこう。それよりも神が関わっている事を団長にも教えた方がいいかもな。神の手がかりが手に入ったかもしれない。まあ、今は六百年以上前の事なんてどうでもいいかもしれないがな」
俺が戦場に突然現れた事や記憶喪失に神が関わっている……。
そんな御伽噺のような事があるのか……。いや、オッサンの過去の話を聴いた後だと充分にあり得る。『間違って戦場に送ったうえに記憶喪失にしちゃった。ごめんね、でも常識は植え付けておいたし、不老不死の力も貰えたし大丈夫だよねー』とか言っていてもおかしくない。
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