捨てる人あれば、拾うワン公あり
第5話 ワンワンは目を輝かせます
街に入るのには門番の確認が必要で、街に入ろうと順番待ちをする列は百人ほどいる。だが、一時間も掛からずに街に入る事ができた。身分証を持っていれば、基本はそれを見せるだけで通してくれるらしい。身分証を持たない、あるいは不審を抱いた者に対してのみ街に入れても問題ないか審査をする。
「うう……大変だったのじゃ……」
「仕方ないぜ。身分証がなかったんだから」
そしてレイラは身分を証明するものが何もなかったので、別室に連れて行かれて小一時間審査を受ける事になった。
身分証はない、全身が鎧に覆われていて、ボロ布を繋ぎ合わせた服を着た子供を連れている。これをそのまま街に入れても問題ないと判断しているようなら、街の治安は心配だ。レイラをそのまま街の中に通さなかった事は正しい判断だろう。
幸い設定をしっかり作り込んでいたので、何を聞かれても問題なく答える事ができ、こうして街に入る事ができた。
「それに顔見せろって言われなかったんだろ? 良かったじゃねえか」
「うむ……呪われた鎧で脱げないという設定も用意しておったが、使わずに済んだのう。まあ、それはナエやワンワンのおかげでもあるがのう」
「わうっ? 役に立った?」
ナエとワンワンはレイラとは別室で、彼女に盗賊から助けて貰ったと強調して話をしたのだ。加えてワンワンが「ねえ……レイラちゃんは? まだ街に入れないの?」と不安そうにな声を漏らすので、少なくとも二人がレイラを信頼している事を門番は理解してくれた。
そしてレイラが盗賊と遭遇して荷物を奪われ、二人を助けた事を信じて貰えた。どちらかというと身元の調査をするよりも、盗賊が出没した場所、盗賊の特徴について話を聞かれた時間の方が長かった。
「まあ、思わぬ収穫もあったし良しとするかのう……」
思わぬ収穫。それはジェノスの事だ。盗賊の特徴を聞く過程で、ジェノスの手配書を見せられたのだ。どうやら処刑場から逃げたと判断され、再び元の懸賞金を懸けているとの事。
そして手引きしたと思われるジェノスが首領をしていた強欲の放浪者を見つけ、全員捕縛したらしい。だが、ジェノスの逃走を手助けした訳ではないらしく、何処に逃げたのかまるで手掛かりはないと言う。
「今日の目的は一つ果たす事ができたのう。あとは身分証じゃ……さて、ジェノスは任せると言っておったが……どうしようかのう」
ワンワン達が街の中で過ごす期間は三日間を予定している。そして、一日目、二日目、三日目の予定も既に考えている。
一日目はジェノスについてどうなっているのか、そして奴隷の購入に身分証が必要になるので身分証を作る。そしてワンワンに街を楽しんで貰う事。
二日目は奴隷を購入。これにはナエに行って貰う事になる。レイラが行った方がいいのだが、ワンワンは連れて行けない。そしてワンワンの守護霊なので一定距離を離れられない。その為、ナエに行って貰う事になった。
三日目は必要なもの。廃品回収で得られなかった生活用品を買う予定だ。
「そういえば、あの魔物を売った商人のところには行かないのか? 確か風の羽って店だったよな?」
「まだ、あれでは支払いが足らぬと言っておったが……どうするかのう? 必要以上に関わると面倒な気も……」
「行ってもいいんじゃないか? それに店なら色んなものが置いてあるかもしれないし、必要なものがそこで揃うだろうし」
「むう、一理あるのう。では、身分証を発行してから風の羽に行くとするかのう」
「ああ、そうしようぜ。でも、何処で身分証を作るんだ? ジェノスの話だと色んなギルドがあるみたいじゃねえか」
「そうみたいじゃのう。儂の時とはあまり変わっておらんようで良かった」
自身の身元を証明する証明書を発行するには様々な方法があるが、大きく分けて三つある。街の在住証、ギルドの会員証、貴族の身元保証書だ。
まず街の在住書は、街に住む人に課せられる住人税を納めれば発行されるもの。ただし、こちらの証明書には何処に住居があるのか登録が必要になる。
次にギルドの会員証。基本何でも屋の傭兵ギルド、個人で商いをする人は必ず登録が必要な商人ギルド、薬草などの採取を専門とする採取ギルド、様々なものを近場から遠方まであらゆるところに届ける運送ギルド……といった具合に様々なギルドがある。ギルドに所属すると会員証が発行され、それが身分証となるのだ。
そして貴族の身元保証書は、貴族がその者の身分を保証するというもの。貴族がその者を支援しているという事にもなり、他の身分証より箔がつく。場所によっては優遇される場合もある。
ジェノスが身分証として考えていたのはギルドの会員証だ。それが一番入手しやすい為だ。ちなみにレイラとナエの二人が発行する予定なのだが、どのギルドにするかは各々で考えるようジェノスに言われていた。
ナエは奴隷を購入する時に必要で、レイラは何かあった時に身分証があった方が面倒にならないと思った為だ。
「さて……何処のギルドがいいかのう?」
「傭兵ギルドでいいんじゃねえか? 戦う力があれば、傭兵になれるって聞いたし問題ないだろ?」
「確かにのう。ナエは魔法、儂にはスキルがある。じゃが、治安が良いとはいっても傭兵は基本荒くれ者が多いぞ。絡まれると面倒じゃ」
「なら、何処のギルドがいいんだ…………ん? ワンワンは?」
「のじゃ? のじゃぁぁぁ!? い、いないのじゃ!?」
つい先程まで確かに自分達のそばにいたワンワン。まさか誘拐されたのではとナエとレイラは肝を冷やすが、すぐにワンワンを見つける。
「わぁ! これ何? これ何? 甘い良い匂いがするよ!」
ワンワンはすぐ近くにあった果物を売っている露店で、売られている果物を見ていた。
「「ワンワン!」」
「わうっ?」
二人はワンワンの無事な姿を確認して胸を撫でおろした。
「ワンワン急にいなくなるとびっくりするのじゃ」
「そうだぜ。悪い奴に攫われたのかと思ったぜ」
「わ、わうぅ……ごめんなさい」
いくらワンワンが良い子だとしても幼い子供。初めての街に興奮が抑え切れず、ついふらふらと離れてしまったのだろう。やんわりと注意すると、レイラが露店の店主に頭を下げる。
「すまぬな店主。商売の邪魔をしてしまったかのう?」
「いやいや、気にすんな! それだけうちの果樹園の果物が魅力的だった事だろ? ガッハッハッ! ほれ坊主、一個やろう」
「本当に!? ありがとう!」
豪快に笑う店主の男は、並んでいる桃色の果物を差し出すとワンワンは喜んで受け取る。
ワンワンが見ていた露店はこの桃色の果物のみを売っているらしい。確かに店の前に来ると、果物から発される甘い匂いに思わず頬が緩んでしまう。
嬉しそうに食べるワンワンを見ていた店主だったが、ふとレイラの傍にいるナエに気付いて、もう一つ果物を差し出した。
「坊主の姉ちゃんか? ほれ、お前にもやるよ」
「え、あ、いいのか?」
「いいから食え。取り合いになっても困るからな」
「弟のものを盗る訳ないぜ。まあ……ありがとう、な」
以前、街で暮らしていた時はスラム街で生きていて、街の厄介者。そんな彼女に優しくしてくれる者は皆無だった。慣れない優しさに戸惑いながらもナエは果物を受け取るのだった。
「この果物は……ああ、確かモンモじゃったか?」
「おう、そうだぜ。よく知ってるな。ここら辺では珍しいもんじゃねえが、果肉も皮も柔らかくて遠くに運んでいる内に傷んじまうんだ。前にこの辺に来た事があるのか?」
「街には来た事はないが、この近くでな。三百年以上前の事じゃが……」
「は?」
「ん? あっ! い、いや何でもないのじゃ! あははは、ワンワン達も気に入ったようだし少し買っていこうかのう。一個いくらじゃ?」
「お、おお、500シェンだ」
「それじゃあ四個買おうかのう。それじゃあ、これで……」
「金貨一枚だから……銀貨九枚と銅貨五枚のお釣りだ。モンモは好きなものを選んでくれ」
金貨が一枚10,000シェン。そして銀貨、銅貨、鉄貨はそれぞれ1,000シェン、100シェン、10シェンとなる。この認識は三百年前と変わっていないようだとレイラは思いながら、ワンワンにも一度お金の遣り取りを覚えさせる為に、買い物を体験させようと考えるのであった。
「ふむ……どれにしようかのう? ワンワン、どれが美味しいと思うかのう?」
「はむんっ? もぐもぐ……ごくんっ! ええっとね……どれも美味しいと思うよ!」
ワンワンが口いっぱいに頬張ったモンモを飲み込むと、満面の笑みを浮かべてそう答えた。
それに対して店主は再び豪快な笑い声を上げる。
「ガッハッハ! その坊主の言う通りだ! うちのモンモはどれも美味いぞ! 分かってるじゃないか! よし、おまけにもう二個モンモをやろう……だが、さっきも言ったように柔らかいから傷みやすい。すぐに食わないなら、おまけじゃなくて、値引きにしてやるぞ。どうする鎧の姉ちゃん?」
「ね、姉ちゃん?」
「ん? 声は幼いが……喋り方や見た目からして、二十代……いっても三十代前半ぐらいかと思ったが違うのか?」
「い、いや! 違くないのじゃ! …………妹扱いに慣れていたから新鮮じゃったもんでな」
「ん? なんか言ったか?」
「何でもないのじゃ。それで儂としては、おまけが嬉しいのう。格納鞄があるから、そのままの状態が保てるしのじゃよ」
「おおっ! 良いもん持ってるな! じゃあ、全部で六個好きなの選んでくれ!」
姉ちゃんと言われるのが新鮮だったレイラは、こうして二個おまけして貰い、六個のモンモを選んで格納鞄にしまう。そしてワンワンとレイラが食べ終わるのを待ってから露店を後にするのだった。
「うう……大変だったのじゃ……」
「仕方ないぜ。身分証がなかったんだから」
そしてレイラは身分を証明するものが何もなかったので、別室に連れて行かれて小一時間審査を受ける事になった。
身分証はない、全身が鎧に覆われていて、ボロ布を繋ぎ合わせた服を着た子供を連れている。これをそのまま街に入れても問題ないと判断しているようなら、街の治安は心配だ。レイラをそのまま街の中に通さなかった事は正しい判断だろう。
幸い設定をしっかり作り込んでいたので、何を聞かれても問題なく答える事ができ、こうして街に入る事ができた。
「それに顔見せろって言われなかったんだろ? 良かったじゃねえか」
「うむ……呪われた鎧で脱げないという設定も用意しておったが、使わずに済んだのう。まあ、それはナエやワンワンのおかげでもあるがのう」
「わうっ? 役に立った?」
ナエとワンワンはレイラとは別室で、彼女に盗賊から助けて貰ったと強調して話をしたのだ。加えてワンワンが「ねえ……レイラちゃんは? まだ街に入れないの?」と不安そうにな声を漏らすので、少なくとも二人がレイラを信頼している事を門番は理解してくれた。
そしてレイラが盗賊と遭遇して荷物を奪われ、二人を助けた事を信じて貰えた。どちらかというと身元の調査をするよりも、盗賊が出没した場所、盗賊の特徴について話を聞かれた時間の方が長かった。
「まあ、思わぬ収穫もあったし良しとするかのう……」
思わぬ収穫。それはジェノスの事だ。盗賊の特徴を聞く過程で、ジェノスの手配書を見せられたのだ。どうやら処刑場から逃げたと判断され、再び元の懸賞金を懸けているとの事。
そして手引きしたと思われるジェノスが首領をしていた強欲の放浪者を見つけ、全員捕縛したらしい。だが、ジェノスの逃走を手助けした訳ではないらしく、何処に逃げたのかまるで手掛かりはないと言う。
「今日の目的は一つ果たす事ができたのう。あとは身分証じゃ……さて、ジェノスは任せると言っておったが……どうしようかのう」
ワンワン達が街の中で過ごす期間は三日間を予定している。そして、一日目、二日目、三日目の予定も既に考えている。
一日目はジェノスについてどうなっているのか、そして奴隷の購入に身分証が必要になるので身分証を作る。そしてワンワンに街を楽しんで貰う事。
二日目は奴隷を購入。これにはナエに行って貰う事になる。レイラが行った方がいいのだが、ワンワンは連れて行けない。そしてワンワンの守護霊なので一定距離を離れられない。その為、ナエに行って貰う事になった。
三日目は必要なもの。廃品回収で得られなかった生活用品を買う予定だ。
「そういえば、あの魔物を売った商人のところには行かないのか? 確か風の羽って店だったよな?」
「まだ、あれでは支払いが足らぬと言っておったが……どうするかのう? 必要以上に関わると面倒な気も……」
「行ってもいいんじゃないか? それに店なら色んなものが置いてあるかもしれないし、必要なものがそこで揃うだろうし」
「むう、一理あるのう。では、身分証を発行してから風の羽に行くとするかのう」
「ああ、そうしようぜ。でも、何処で身分証を作るんだ? ジェノスの話だと色んなギルドがあるみたいじゃねえか」
「そうみたいじゃのう。儂の時とはあまり変わっておらんようで良かった」
自身の身元を証明する証明書を発行するには様々な方法があるが、大きく分けて三つある。街の在住証、ギルドの会員証、貴族の身元保証書だ。
まず街の在住書は、街に住む人に課せられる住人税を納めれば発行されるもの。ただし、こちらの証明書には何処に住居があるのか登録が必要になる。
次にギルドの会員証。基本何でも屋の傭兵ギルド、個人で商いをする人は必ず登録が必要な商人ギルド、薬草などの採取を専門とする採取ギルド、様々なものを近場から遠方まであらゆるところに届ける運送ギルド……といった具合に様々なギルドがある。ギルドに所属すると会員証が発行され、それが身分証となるのだ。
そして貴族の身元保証書は、貴族がその者の身分を保証するというもの。貴族がその者を支援しているという事にもなり、他の身分証より箔がつく。場所によっては優遇される場合もある。
ジェノスが身分証として考えていたのはギルドの会員証だ。それが一番入手しやすい為だ。ちなみにレイラとナエの二人が発行する予定なのだが、どのギルドにするかは各々で考えるようジェノスに言われていた。
ナエは奴隷を購入する時に必要で、レイラは何かあった時に身分証があった方が面倒にならないと思った為だ。
「さて……何処のギルドがいいかのう?」
「傭兵ギルドでいいんじゃねえか? 戦う力があれば、傭兵になれるって聞いたし問題ないだろ?」
「確かにのう。ナエは魔法、儂にはスキルがある。じゃが、治安が良いとはいっても傭兵は基本荒くれ者が多いぞ。絡まれると面倒じゃ」
「なら、何処のギルドがいいんだ…………ん? ワンワンは?」
「のじゃ? のじゃぁぁぁ!? い、いないのじゃ!?」
つい先程まで確かに自分達のそばにいたワンワン。まさか誘拐されたのではとナエとレイラは肝を冷やすが、すぐにワンワンを見つける。
「わぁ! これ何? これ何? 甘い良い匂いがするよ!」
ワンワンはすぐ近くにあった果物を売っている露店で、売られている果物を見ていた。
「「ワンワン!」」
「わうっ?」
二人はワンワンの無事な姿を確認して胸を撫でおろした。
「ワンワン急にいなくなるとびっくりするのじゃ」
「そうだぜ。悪い奴に攫われたのかと思ったぜ」
「わ、わうぅ……ごめんなさい」
いくらワンワンが良い子だとしても幼い子供。初めての街に興奮が抑え切れず、ついふらふらと離れてしまったのだろう。やんわりと注意すると、レイラが露店の店主に頭を下げる。
「すまぬな店主。商売の邪魔をしてしまったかのう?」
「いやいや、気にすんな! それだけうちの果樹園の果物が魅力的だった事だろ? ガッハッハッ! ほれ坊主、一個やろう」
「本当に!? ありがとう!」
豪快に笑う店主の男は、並んでいる桃色の果物を差し出すとワンワンは喜んで受け取る。
ワンワンが見ていた露店はこの桃色の果物のみを売っているらしい。確かに店の前に来ると、果物から発される甘い匂いに思わず頬が緩んでしまう。
嬉しそうに食べるワンワンを見ていた店主だったが、ふとレイラの傍にいるナエに気付いて、もう一つ果物を差し出した。
「坊主の姉ちゃんか? ほれ、お前にもやるよ」
「え、あ、いいのか?」
「いいから食え。取り合いになっても困るからな」
「弟のものを盗る訳ないぜ。まあ……ありがとう、な」
以前、街で暮らしていた時はスラム街で生きていて、街の厄介者。そんな彼女に優しくしてくれる者は皆無だった。慣れない優しさに戸惑いながらもナエは果物を受け取るのだった。
「この果物は……ああ、確かモンモじゃったか?」
「おう、そうだぜ。よく知ってるな。ここら辺では珍しいもんじゃねえが、果肉も皮も柔らかくて遠くに運んでいる内に傷んじまうんだ。前にこの辺に来た事があるのか?」
「街には来た事はないが、この近くでな。三百年以上前の事じゃが……」
「は?」
「ん? あっ! い、いや何でもないのじゃ! あははは、ワンワン達も気に入ったようだし少し買っていこうかのう。一個いくらじゃ?」
「お、おお、500シェンだ」
「それじゃあ四個買おうかのう。それじゃあ、これで……」
「金貨一枚だから……銀貨九枚と銅貨五枚のお釣りだ。モンモは好きなものを選んでくれ」
金貨が一枚10,000シェン。そして銀貨、銅貨、鉄貨はそれぞれ1,000シェン、100シェン、10シェンとなる。この認識は三百年前と変わっていないようだとレイラは思いながら、ワンワンにも一度お金の遣り取りを覚えさせる為に、買い物を体験させようと考えるのであった。
「ふむ……どれにしようかのう? ワンワン、どれが美味しいと思うかのう?」
「はむんっ? もぐもぐ……ごくんっ! ええっとね……どれも美味しいと思うよ!」
ワンワンが口いっぱいに頬張ったモンモを飲み込むと、満面の笑みを浮かべてそう答えた。
それに対して店主は再び豪快な笑い声を上げる。
「ガッハッハ! その坊主の言う通りだ! うちのモンモはどれも美味いぞ! 分かってるじゃないか! よし、おまけにもう二個モンモをやろう……だが、さっきも言ったように柔らかいから傷みやすい。すぐに食わないなら、おまけじゃなくて、値引きにしてやるぞ。どうする鎧の姉ちゃん?」
「ね、姉ちゃん?」
「ん? 声は幼いが……喋り方や見た目からして、二十代……いっても三十代前半ぐらいかと思ったが違うのか?」
「い、いや! 違くないのじゃ! …………妹扱いに慣れていたから新鮮じゃったもんでな」
「ん? なんか言ったか?」
「何でもないのじゃ。それで儂としては、おまけが嬉しいのう。格納鞄があるから、そのままの状態が保てるしのじゃよ」
「おおっ! 良いもん持ってるな! じゃあ、全部で六個好きなの選んでくれ!」
姉ちゃんと言われるのが新鮮だったレイラは、こうして二個おまけして貰い、六個のモンモを選んで格納鞄にしまう。そしてワンワンとレイラが食べ終わるのを待ってから露店を後にするのだった。
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