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異世界へ行く準備をする世界~他人を気にせずのびのびと過ごします~

山口五日

第8話 装備を決めました

「剣と盾……基本的な装備に落ち着いたって感じだな」


 ラピスに相談して選んだものは剣と盾という定番の装備。武器の扱いにも慣れていない事から攻撃と防御どちらもできるようにと、このような装備となった。


 どちらも金属でできていて普通であれば盾と剣、どちらか片方だけでも扱いに苦労するだろう。だが、ゴブリンを数匹倒して魂が少しは強化されているので、この程度の重量であれば扱う事ができる。


 そして腕、足、胸に取り付ける軽い鎧も見繕った。さすがに全身を覆う鎧は重過ぎる。


「あ、そうだ。ラピスの武器はどうするんだ?」


「私はこちらにしようと思います」


「おお……凄いの選んだな……」


 ラピスは自身の身の丈の二倍はありそうな大剣を選んだ。大剣の重さに振り回されてしまうんじゃないかと思ったが、その心配はないらしい。


「私はどのような武器でも使う事ができます。僭越ながらマスターが対応しきれずに、接近を許した場合はこちらで振り払います」


 そう言って片手で上下に大剣を振って見せるラピス。ブンブンと風を切る音が聞こえて来た。大丈夫そうだが、敵を振り払う時に俺も斬られやしないかと少し不安だ。


 また宴会場には武器や防具の他に、回復アイテムらしい薬瓶が幾つかあったので、一つ一つラピスに教えて貰う。体力を回復させるもの、弱い毒なら一瞬で解毒するもの、一時的に身体能力を高めるもの……色々とあったので使えそうなものは一通り持って行く事にする。


 こうして魔物との戦いに向けての準備は整った。


 だが、外を見てみると既に日が傾き始めて、間もなく夜になろうとしていた。街灯は点いているので視界は悪くないが、ラピスの話では夜に特化した魔物もいるらしいので今日は外には出ない事にした。


 明日、午前9時頃にホテルを出て魔物と戦おうとラピスと話し、今日は解散……と思ったのだが、彼女はまるでカモの子供のように俺の後をついて来る。


「……明日まで自由行動だぞ?」


「はい、分かっております。自由に行動させていただいております」


「いや、俺の後をついて来てるじゃないか」


「私にとってはこれが自由行動になります」


「…………マジックドールっていうのは、常にマスターと一緒じゃないといけないのか?」


「そういうわけではございません。ですが、戦闘支援型といえど、マスターの事を第一に行動するよう作られております。そして常に一緒にいる事で瞬時にマスターの為に行動できるという考えに至りました。自由に行動しても良いと許可を得ておりますので、現在行動を共にさせていただいております」


「……まあ、いいけど」


 ラピスの事は気にしない事にした。相手は人間ではないのだから気を使う必要はない。というか、前の世界とは、この世界は違う。だから気を使うのは無し、そう決めた。


 それから最上階にある一室を自分の部屋にする事にして、宴会場で選んだ道具はそこに置く。最上階からまた武器などを下ろすのは普通であれば大変だ。だが、ファンタジー世界でとある定番のものがあったので大した苦も無く運ぶ事ができた。


 マジックバック。中は異次元空間をとなっていて無限にものが収納でき、重量は元のマジックバックの重量のまま。収納されたものの時間は停止して、例えば冷たいアイスを入れたら何時間経ってもまるで溶けず、冷たいアイス。取り出す時には、取り出したいものをイメージすれば取り出せる優れものだ。


 俺はこうしたファンタジーに感動するが、ラピスとしては俺にとっては当たり前な、この世界にありふれているものが興味深いようだ。


 部屋に入るなり、テレビや電話に近付いたり、室内をキョロキョロと見回している。


「興味深いですね。先程の大きな広間に、ここまでの通路もそうですが、元の世界にはなかったものが多くあります。ここが異世界である事がよく分かりますね」


「そうか……それにしても部屋まで入って来るとは思わなかった……」


 当たり前のように後に続いて部屋に入って来るラピス。いや、止めなかった俺も悪いが……。


 拒絶しなければ風呂やトイレにまでついて来るのではないだろうか。
 男の姿であれば風呂は別にいいが、ラピスは女性。それも頭に美しいが付く。さすがに風呂を一緒に入るのは遠慮したい。まだ二十半ば……人並みに性欲はあるのだ。理性が決壊しないとは限らない。


 人間ではないにしても、これから一緒に戦ってくれる彼女を性処理の道具として扱いたくはなかった。


「さて……」


 俺は荷物を置いて、部屋の設備を一通り見ると一度部屋を出る事にする。当然ラピスもついて来て、一緒に部屋を出た。


「何処に行くんですか?」


「食堂だ。昼飯を食っていないから、さすがに腹が減った……」


 このホテルには残念ながらコンビニのようにすぐに食べられるものは置いていなかった。だから厨房を探して、そこで調理をする事にする。


 厨房に到着すると、一般家庭ではお目にかかれない大きな冷蔵庫を開けて中身を確認してみる。


「食材は……色々あるな。高そうな食材もあるが、魚とかは面倒だな。米を炊くのもな……パンに、牛乳に卵……」


 俺はフレンチトーストを作る事にした。食パンを見つけたのだが、その包装が有名なパン屋のものだった。これでフレンチトーストを作ったらきっと美味しいだろう。


 そうと決まれば早速調理に取り掛かる。


 まずは卵に牛乳、砂糖で卵液を作る。そこに先程見つけた有名なパン屋の食パンを浸していく。充分に浸したら、フライパンを熱してバターを溶かしたところに、投入し焼いていった。


「よし、できたっと……」


 用意しておいた二枚の皿に、湯気を立てる黄金色の食パンを乗せる。


 バターの匂いが鼻腔をくすぐるフレンチトーストが完成した。

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