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異世界へ行く準備をする世界~他人を気にせずのびのびと過ごします~

山口五日

第3話 異世界と繋げることにしたそうです

「おおうっ!?」


『ど、どうしたの!? そんなに驚いて?』


「ああ、そうか創造神か。久し振りに話し掛けられてからびっくりした」


 映画なんかは観ているので人の声を聞く事は久し振りではないが、自分の名前が呼ばれる事は完全に想定外の事だったので必要以上に驚いてしまった。


 一人だけの世界を満喫してはいるが、もし異世界にでも言ったらコミュニケーションを取るのが難しくなりそうだ。


「それで今日はどうしたんだ? 何かあったのか……もしかしてとうとう異世界に?」


『いやいや、違うよ。まだ君はそこまで魂が強化されてない。ギリギリ行って欲しい世界に行けるかもしれないけど…………移動だけで折角強化された魂が摩耗しちゃって、向こうじゃ一般人よりも弱体化しちゃうよ』


「それじゃあ、何の用だ?」


『実はより魂の強化を促せるように調整をしようと考えていてね。その事を伝えようと思って、こうして声を掛けたんだよ』


 魂をより強化する為の調整か……今のままでも俺にとっては充分満足できる世界だが、俺を満足させる為の世界ではないからな。


 前に四ヵ月前に話した時も、手を加えていくつもりと創造神は言っていたし、俺は世界を調整する事は別に構わないと思った。ただ……。


『どんな調整をするか聞いておきたい、でしょ?』


「その通りだ。いきなり時間が進むようになって、食料の調達が困難になるのは避けたいところだ」


『そんな事はしないよ。これまでのような生活はできるようにはする。だけど、今回の調整で、これまでの生活は少しだけ難しくなる可能性はある…………もし厳しいようだったら再調整するから! だからとりあえず調整させて貰えないかな?』


「大抵の事は受け入れるつもりだが、調整の詳細を教えてくれないか?」


『ああ、そうだったね。ごめんごめん……えっとね、簡単に説明すると、この世界と異世界を少しだけ繋げようと思うんだ』


 この世界と異世界を繋げる。言われてもそれが何を意味するのかよく分からなかった。


「繋げると……どうなるんだ? 世界を行き来できるようになるのか?」


『いや……向こうからは来れるけど、さっきも言ったようにまだ君は魂がそこまで強化されていない。来るのは向こうからのみ。異世界で人々を脅かす魔物を連れて来るつもりだよ』


 魔物。そう言われてファンタジー小説で登場する、スライム、ゴブリン、オークが頭を過ぎる。あんな感じの魔物がこっちに現れるというのか……。


 スライムやゴブリンとか一番弱い魔物なら……なんとかいけるかもしれない、けど……。


『色々知り合いの神にも相談したんだよ。どうすれば効率よく魂を強化できるかって。それで異世界の仕組みを少し反映させるのがいいって事になったんだよ』


「それでどうして強化できるんだ?」


『行って貰いたい世界はね。命あるものを殺す事で、その生物の魂の一部を自身の魂に吸収するんだ。そうする事で魂が強化されて、強い力が手に入るんだよ』


「ゲームでいう経験値が手に入るって事か……。だけど魂を吸収って……」


 なんとなく命は失っても魂があれば、また別の人生を歩んでいけるイメージがある。魂を吸収したら本当にその存在が消滅してしまうのではないか。


『心配しないでいいよ。言っただろ? 一部って。ほら、際限なく魂が強化できちゃう世界だからさ。死んだ時にある程度、増えた部分を削がないと面倒なんだよ。それで削がれた分が、吸収されるってわけ』


「なるほどな。それなら遠慮なく魔物を倒して魂を強化……と言いたいところだが、俺に倒せるか? 何か特別な能力をくれたりは……」


『ごめん。私の権限で渡せる能力……異世界ではスキルって言われるものだけど、どれも君の魂じゃ耐えられない。渡した瞬間魂が蒸発しちゃう。だからね、代わりに世界の方を色々と調整しといたから!』


 それからより詳しい世界の調整内容を聞いた。


 まず先程言っていた異世界と繋げるというもの。
 これにより生物を殺すと魂の一部を吸収し、自身の魂を強化できるという世界の規則が反映されるようになる。


 そしてこちらに連れて来る魔物は異世界でF~Dランクに指定されている魔物のみ。ランクは魔物の強さによって割り振られるランクらしい。
 ちなみにDランクの魔物は数体のみしか連れて来ないと言う。EとFランクの魔物を倒しまくって、ある程度強化してからDランクに挑んで欲しいと言う。


 Dランク以上の魔物は、俺が居た世界では考えられないほど異常な強さを誇るらしい。
 数体しかいないのなら滅多に遭遇する事はないだろうが、万が一出会ってしまったらすぐに逃げよう。


 そして魔物と戦うにあたって、優遇措置として世界を調整した事が二つあった。


 一つは、絶対に死ぬ事はないという事。


 生命活動を停止した場合、この近くの高級ホテルに転移させられ、完全に傷が癒えた状態で目が覚めると言う。ちなみに、そのホテルには異世界の武器が揃っているので、そのホテルを拠点として使うといいと創造神は言う。


 もう一つは、魔物が建物の中に入らないように制限を掛けたらしい。


 いざという時は建物の中に逃げ込めば、魔物は追って来る事はできない。だから寝込みを襲われる心配はないと言う。


『こんな感じかな? 何か聞きたい事はないかな?』


「いや、特に……何か思いついたら後で質問とかできるか?」


『ごめんね、それはできないんだ。色々厳しくてね、特定の魂と気軽に接触しちゃいけないんだよ。だから次にこうして話せるのは…………たぶん二ヵ月くらい先になるかな?』


「そんな先になるのか……分かった。とりあえずこれ以上質問はないし、死なないなら魔物に挑んでみよう。……あ、一つだけ教えて欲しい。いつから異世界と繋がるのか最後に教えてくれるか?」


『うん。とりあえず拠点になるホテルに着いてからがいいかな……え? どうしたの? うん、うん…………いいっ!? 一ノ瀬君ごめん! 手違いでもう魔物がそっちに送られちゃってるみたい!』


「はあ!?」


 途中、誰かと話すような素振りをしたかと思えば……マジか……。


 何処からか不気味な叫ぶ声が聞こえたのは、決して気のせいではないだろう。

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