人生の続きを異世界で!〜天界で鍛えて強くなる〜
限定解放
「無事か、炎姫さん?」
「せっかく抱かれるのなら、ミツキ様がよかったです」
「よしよし、軽口は言えるみてーだな」
ため息をつきながらのソレーユの反応に思うところはあるが、その口ぶりほど軽傷ではないことはすぐにわかった。
「ソレーユ、遅れて悪い」
「いえ、そんな……ミツキ様が私に謝る必要はありません」
むしろ、無理に先行して足を引っ張ってしまったことを恥じ、うつむく。
そんなソレーユにミツキは、障害となる2人の幹部について尋ねる。
「あの2人の幹部についてわかることがあったら教えてくれ」
「は、はい。奥の幹部は骨魔法で中距離から攻撃してきて、骨による防御が得意です。手前の幹部は初見ですが……恐らく、誓約魔法の使い手です」
「誓約魔法?」
「自分に縛りを貸す代わりに、相手にもその縛りを強制させるってやつだったか? 実在したんだな」
「縛りの内容は、素手による攻撃以外通用しない、だと思われます。その証拠にあの幹部は素手しか使いませんし、私の剣も魔法も効きませんでした」
「なるほどな。わかった。ヨハンはソレーユを後方に連れて行ってくれ」
「あいよ」
「待ってください!」
1人で戦おうとするミツキの背に、思わずソレーユは声をかける。
「私はまだやれます。大丈夫です。足だってまだ」
これ以上足を引っ張る真似はしたくない。
その一心で、必死に言葉を重ねる。
「信じてくれ」
「っ!」
まだ言葉続けようとするソレーユにミツキは、優しくその一言だけ伝えた。
信仰する人物から信じろと言われれば、もはや何も言えない。
「ソレーユのおかげで、相手の手の内はわかったからな。楽勝だよ」
「ミツキ様……わかりました。取り乱してしまい、申し訳ありません。緑の騎士、お願いします」
「おう。ミツキ、よろしくな」
「任せとけ」
足に風を纏い、壁となる魔国軍を蹴散らしながらヨハンはソレーユを抱えて後方へと走り去った。
「さて……話を待ってくれるなんて優しいんだな」
「よく言うわねェ。動かさせなかったくせに」
ゴルドもシビアも、隙あらば攻撃しようと機を伺っていた。
だが、攻撃すれば即座に反撃するであろうミツキを前にして、全く動けなかったのだ。
「シビア、標的変更だ」
「わかってるわよォ。油断厳禁ね」
すぐ前には臨戦態勢のシビア、その少し奥に骨魔法を準備したゴルドが構える。
連携もそれなりの幹部2人に対し、ミツキは大剣を地面に突き刺して素手でシビアとの距離を歩いて詰めた。
「あたしと素手でやり合う気?」
「それしか効かないんだろ」
「んふふ、いい度胸ね」
既に2人は目の鼻の先にまで接近している。
ゴルドは様子見をするらしく手を出しておらず、ミツキとシビアの間に一瞬の静寂が流れる。
「んっ!」
動いたのはほぼ同時だった。
ただし、リーチの差から先に届いのはシビアの岩のような拳。
脆弱な人間など一撃で破壊するそれが、ミツキの顔面に打ち込まれる。
「……あらァ」
殴られたミツキの視線は、それでもシビアを捉えていた。
コンマ数秒遅れてシビアの胴に届いたミツキの拳は、メキメキと音を立てながらめり込み、その巨躯を吹き飛ばした。
「ちっ、バカが!」
追撃を防ぐためゴルドがミツキの足元から骨を突き出す。
「鋭いけど、脆いな」
地面から不規則に突き出す骨を見てから避け、蹴り折ってゴルドへと投擲する。
予想外の反撃に、思わずゴルドは仰け反って大袈裟に避けてしまう。
「ぐっ……シビア、生きているか」
「一応ね。けど、ちょっと想定外みたいねェ?」
「炎姫に集中しすぎた。止めるぞ」
「そうねェ。それしかないみたい」
起き上がったシビアが前に出たのは変わらないが、その隣にゴルドも並ぶ。
「中距離で戦わなくていいのか?」
「黙れ。人間風情が!」
「もうやられないわよォ」
2人の幹部の実力は、前に戦った幹部のレークインより数段上だ。
そしてどうやら、ここからが本番らしい。
「「魔力解放」」
声が重なり、幹部の切り札である【魔力解放】を使ってきた。
こうなると、2人共倒すのは厳しくなってくるため、狙いを片方に定める。
(あのオカマ口調の方は悪意が見えない……逆に、骨は危険だな)
ゴルドの周囲を包む、おぞましい程の黒いモヤ。
悪意の塊であるそれは巨大で、放置しておくにはあまりにも危険だ。
「ふぅ……行くぞ!」
呼吸を整え、地面が砕けるほど強く蹴ってシビアに肉薄する。
「私狙い、受けて立つわよォ!」
勢いを全て乗せたミツキ蹴りを、右腕を畳んで盾のようにすることで衝撃に体勢を崩しそうになるも、受けきった。
「《骨刺》」
動きの止まったミツキの頭部に向けて、骨を槍のように持ったゴルドの突きが放たれる。
先程と同じく折ろうと左手を迫る骨に当てたが、瞬時に折れないと確信して逸らすことで避けた。
(身体能力の強化と骨の強化……それだけでこんなに変わるのか)
一気に戦いにくくなったが、基本的な動きは変えない。
シビアを中心に攻撃しつつ、ゴルドにも時折拳や蹴りを織り交ぜる。
攻撃自体は悪くないが、その尽くを防がれてだんだんと押され始めた。
特にゴルドの防御に使う骨が堅固で、壊せる気配がない。
「やはり人間はこの程度か!」
「やっと優勢になってきたわねェ」
そんなことを口にしているが、2人の警戒は一切緩まず、油断など微塵もしていない。
やがてミツキは最初に立っていた場所まで押し戻されていた。
「そろそろ決めるわよォ!」
「最大火力の骨魔法を……」
トドメに向け、2人が力を貯めているのがわかる。
仕掛けるならここだ。
「悪いけど、決めるのは俺だ」
そう言って手に取るのは、最初に地面に突き刺していた大剣。
武器を持ったことで狙いが自分とわかったらしく、ゴルドは攻撃から即座に防御へと切り替えた。
(第2権能は後を考えるとなし。《炎天》も使える暇はない……けど、手はある)
あの骨の防御を打ち破るには普通の炎武では火力不足だが、ミツキは他にも方法を思いついていた。
脳裏に浮かぶのは、天界での鍛錬の日々でティアから教えてもらった権能の使い方。
ほかの神の力が籠った物があれば、その神の権能を一時的に使える、というちょっとした知識を教えてもらっていたが、それが役に立つ時が来た。
「権能限定解放」
その言葉に反応するように、右腕のブレスレットが淡く白い光を灯す。
その光は大剣へと移り、白い光を纏った。
「っ!」
「《悪滅》!」
シビアが何かを言いかける前に放たれたのは、光の斬撃。
ゴルドも本能的に危険を察知し、防御用よ骨の強度と数を最大限にまで増やした。
「わざわざ俺を狙うとは、判断を間違えたな、人間!」
脳内には既に、この攻撃を受け止めたあとの完璧なトドメまで見えていた。
思わず口角を吊り上げたゴルドの表情は……光の斬撃が骨をすりぬけるさまを見て固まった。
「判断を間違えたのはお前だよ」
正義を司る神であるティアの技の1つ、《悪滅》。
自分が悪だと定める者に対して、防御不可の斬撃を繰り出す初見殺し、反則的な技だ。
「俺の勝ちだ」
「人間風情が……くそ、くそがァァァァァァァッ!!!」
最後まで人に対する悪意のこもった叫びを上げ、ゴルドの首は切断された。
「せっかく抱かれるのなら、ミツキ様がよかったです」
「よしよし、軽口は言えるみてーだな」
ため息をつきながらのソレーユの反応に思うところはあるが、その口ぶりほど軽傷ではないことはすぐにわかった。
「ソレーユ、遅れて悪い」
「いえ、そんな……ミツキ様が私に謝る必要はありません」
むしろ、無理に先行して足を引っ張ってしまったことを恥じ、うつむく。
そんなソレーユにミツキは、障害となる2人の幹部について尋ねる。
「あの2人の幹部についてわかることがあったら教えてくれ」
「は、はい。奥の幹部は骨魔法で中距離から攻撃してきて、骨による防御が得意です。手前の幹部は初見ですが……恐らく、誓約魔法の使い手です」
「誓約魔法?」
「自分に縛りを貸す代わりに、相手にもその縛りを強制させるってやつだったか? 実在したんだな」
「縛りの内容は、素手による攻撃以外通用しない、だと思われます。その証拠にあの幹部は素手しか使いませんし、私の剣も魔法も効きませんでした」
「なるほどな。わかった。ヨハンはソレーユを後方に連れて行ってくれ」
「あいよ」
「待ってください!」
1人で戦おうとするミツキの背に、思わずソレーユは声をかける。
「私はまだやれます。大丈夫です。足だってまだ」
これ以上足を引っ張る真似はしたくない。
その一心で、必死に言葉を重ねる。
「信じてくれ」
「っ!」
まだ言葉続けようとするソレーユにミツキは、優しくその一言だけ伝えた。
信仰する人物から信じろと言われれば、もはや何も言えない。
「ソレーユのおかげで、相手の手の内はわかったからな。楽勝だよ」
「ミツキ様……わかりました。取り乱してしまい、申し訳ありません。緑の騎士、お願いします」
「おう。ミツキ、よろしくな」
「任せとけ」
足に風を纏い、壁となる魔国軍を蹴散らしながらヨハンはソレーユを抱えて後方へと走り去った。
「さて……話を待ってくれるなんて優しいんだな」
「よく言うわねェ。動かさせなかったくせに」
ゴルドもシビアも、隙あらば攻撃しようと機を伺っていた。
だが、攻撃すれば即座に反撃するであろうミツキを前にして、全く動けなかったのだ。
「シビア、標的変更だ」
「わかってるわよォ。油断厳禁ね」
すぐ前には臨戦態勢のシビア、その少し奥に骨魔法を準備したゴルドが構える。
連携もそれなりの幹部2人に対し、ミツキは大剣を地面に突き刺して素手でシビアとの距離を歩いて詰めた。
「あたしと素手でやり合う気?」
「それしか効かないんだろ」
「んふふ、いい度胸ね」
既に2人は目の鼻の先にまで接近している。
ゴルドは様子見をするらしく手を出しておらず、ミツキとシビアの間に一瞬の静寂が流れる。
「んっ!」
動いたのはほぼ同時だった。
ただし、リーチの差から先に届いのはシビアの岩のような拳。
脆弱な人間など一撃で破壊するそれが、ミツキの顔面に打ち込まれる。
「……あらァ」
殴られたミツキの視線は、それでもシビアを捉えていた。
コンマ数秒遅れてシビアの胴に届いたミツキの拳は、メキメキと音を立てながらめり込み、その巨躯を吹き飛ばした。
「ちっ、バカが!」
追撃を防ぐためゴルドがミツキの足元から骨を突き出す。
「鋭いけど、脆いな」
地面から不規則に突き出す骨を見てから避け、蹴り折ってゴルドへと投擲する。
予想外の反撃に、思わずゴルドは仰け反って大袈裟に避けてしまう。
「ぐっ……シビア、生きているか」
「一応ね。けど、ちょっと想定外みたいねェ?」
「炎姫に集中しすぎた。止めるぞ」
「そうねェ。それしかないみたい」
起き上がったシビアが前に出たのは変わらないが、その隣にゴルドも並ぶ。
「中距離で戦わなくていいのか?」
「黙れ。人間風情が!」
「もうやられないわよォ」
2人の幹部の実力は、前に戦った幹部のレークインより数段上だ。
そしてどうやら、ここからが本番らしい。
「「魔力解放」」
声が重なり、幹部の切り札である【魔力解放】を使ってきた。
こうなると、2人共倒すのは厳しくなってくるため、狙いを片方に定める。
(あのオカマ口調の方は悪意が見えない……逆に、骨は危険だな)
ゴルドの周囲を包む、おぞましい程の黒いモヤ。
悪意の塊であるそれは巨大で、放置しておくにはあまりにも危険だ。
「ふぅ……行くぞ!」
呼吸を整え、地面が砕けるほど強く蹴ってシビアに肉薄する。
「私狙い、受けて立つわよォ!」
勢いを全て乗せたミツキ蹴りを、右腕を畳んで盾のようにすることで衝撃に体勢を崩しそうになるも、受けきった。
「《骨刺》」
動きの止まったミツキの頭部に向けて、骨を槍のように持ったゴルドの突きが放たれる。
先程と同じく折ろうと左手を迫る骨に当てたが、瞬時に折れないと確信して逸らすことで避けた。
(身体能力の強化と骨の強化……それだけでこんなに変わるのか)
一気に戦いにくくなったが、基本的な動きは変えない。
シビアを中心に攻撃しつつ、ゴルドにも時折拳や蹴りを織り交ぜる。
攻撃自体は悪くないが、その尽くを防がれてだんだんと押され始めた。
特にゴルドの防御に使う骨が堅固で、壊せる気配がない。
「やはり人間はこの程度か!」
「やっと優勢になってきたわねェ」
そんなことを口にしているが、2人の警戒は一切緩まず、油断など微塵もしていない。
やがてミツキは最初に立っていた場所まで押し戻されていた。
「そろそろ決めるわよォ!」
「最大火力の骨魔法を……」
トドメに向け、2人が力を貯めているのがわかる。
仕掛けるならここだ。
「悪いけど、決めるのは俺だ」
そう言って手に取るのは、最初に地面に突き刺していた大剣。
武器を持ったことで狙いが自分とわかったらしく、ゴルドは攻撃から即座に防御へと切り替えた。
(第2権能は後を考えるとなし。《炎天》も使える暇はない……けど、手はある)
あの骨の防御を打ち破るには普通の炎武では火力不足だが、ミツキは他にも方法を思いついていた。
脳裏に浮かぶのは、天界での鍛錬の日々でティアから教えてもらった権能の使い方。
ほかの神の力が籠った物があれば、その神の権能を一時的に使える、というちょっとした知識を教えてもらっていたが、それが役に立つ時が来た。
「権能限定解放」
その言葉に反応するように、右腕のブレスレットが淡く白い光を灯す。
その光は大剣へと移り、白い光を纏った。
「っ!」
「《悪滅》!」
シビアが何かを言いかける前に放たれたのは、光の斬撃。
ゴルドも本能的に危険を察知し、防御用よ骨の強度と数を最大限にまで増やした。
「わざわざ俺を狙うとは、判断を間違えたな、人間!」
脳内には既に、この攻撃を受け止めたあとの完璧なトドメまで見えていた。
思わず口角を吊り上げたゴルドの表情は……光の斬撃が骨をすりぬけるさまを見て固まった。
「判断を間違えたのはお前だよ」
正義を司る神であるティアの技の1つ、《悪滅》。
自分が悪だと定める者に対して、防御不可の斬撃を繰り出す初見殺し、反則的な技だ。
「俺の勝ちだ」
「人間風情が……くそ、くそがァァァァァァァッ!!!」
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