人生の続きを異世界で!〜天界で鍛えて強くなる〜
太陽神様
(油断してたのもあるけど……強いな)
大剣を引き抜き、対峙するミツキは相手の力量を測ろうとしていた。
目の前に敵と認識した時の、この緊張感。
前にウナアーダの白と対峙した時の感覚に近い。
「メリア、相手めちゃくちゃ強いぞ」
「わかってるわ。それに、ちょっと変な力もあるみたい。切られた腕の力が落ちてる」
「毒って訳でもないだろうけど……攻撃を受けるのは危険か」
「喋る余裕がおありなのですね。では、まずそれをなくしましょう」
ゆっくりと歩いてくるソレーユの得物は、2本の剣。
1本は順手、1本は逆手で握っている。
「来るぞ」
「今度はちゃんと迎え撃つわよ」
「ゆらり、ゆらり、揺らめくように……細切れにしましょう」
体を不規則に揺らしながら、突然ソレーユが加速した。
狙われたのは、メリアだ。
「巫流《雨突》!」
自分が狙われることはわかっていたのか、すぐに対応して前方への連続突きを放つ。
牽制の意味も込めた、手数の多い技だ。
だが、
「ゆら、ゆら」
ぐにゃりと一瞬歪んだかのように見えたソレーユの剣は、突きを全て弾き、メリアの両腕を肘から切り落とす。
「このっ!」
それでも怯まずに上段蹴りを繰り出すが、またしても不規則な軌道で振り上げられた剣により、足を切断されて防がれた。
「メリアばっか狙ってんじゃねえぞ。炎武《猛炎撃》!」
そこへ既に第1権能を解放させたミツキの炎を纏った大剣が、側面から凄まじい勢いで突き出される。
「ゆらり……炎?」
再び歪んだように体を逸らして避け、1度下がるが、それによりミツキがソレーユとメリアの間に入る形となった。
「怪我は?」
「ないわよ。でも、やっぱり力が落ちてる」
くっついた腕と足を動かしながら、感覚を確かめる。
「炎、炎……普通じゃありませんが……でも……」
「なんかブツブツ言ってるけど」
「気にしなくていいだろ。けど、やっぱり強いな。出し惜しみできそうにない」
「なら私が隙を作って、ミツキが決めなさい」
「隙って……簡単じゃないと思うけどな」
「仲間を信用しないさい。やってやるわ」
「そこまで言うなら……信じるぞ」
本来ならば、狙われているメリアを下げたかったミツキだが、ここまで言われれば仕方ない。
「やっぱり確かめるしか……ええ、ええ、そうしましょう」
「納得してるとこ悪いけど、次はこっちの番よ」
「失礼ですけど……貴女に私を倒す実力があるとは思えません」
「正直に言ってくれるわね。でも、試さないとわからないわよ!」
刀を下げて構え、メリアから走ってソレーユへと仕掛ける。
少し遅れてミツキが追従するように走り出す。
「ゆら、ゆら、捉えられますか?」
「調子に乗ってるわね。巫流《波朧》!」
選んだ技は、最も自信のある揺らめく一閃。
それもゆらりと歪んようにし、避けようとしたソレーユだったが、
「え?」
キィンと甲高い音を立て、防いだ剣を弾かれ体勢を崩された。
避けられる思っていたが、防いだのはほとんど直感。
そのおかげで切られることはなかったが、この状況はまずい。
「私の幻楼に当てますか」
「自信満々の顔が崩れたわね。ミツキ!」
「ああ。炎武《炎天》」
準備していたミツキが、メリアと入れ替わるように前に出る。
大剣に炎が集まり、収束される。
「《昇炎》!」
「やはり……間違いありません。炎舞《焔流し》」
振り上げられた大剣の炎は、天に昇るように火柱が上がる
当たれば燃え尽きるであろうその攻撃を、ソレーユは炎を纏った2本の剣で受け流した。
とはいえ、無傷とはいかなかったのか、衝撃でゴロゴロと後方へ派手に転がった。
「防がれてるわよ」
「完璧に入ったと思ったんだけどな。そういや、さっきのはどうやって当てたんだ?」
「向こうは炎魔法で意図的に剣の長さを歪ませてたの。で、普通の攻撃だと見誤って当たらないから、同じ原理の技で当てたわけ」
「俺には真似出来ないな」
2人は話しながらも、不用意な追撃は仕掛けずソレーユの出方を伺う。
決めに行ったはずのミツキの技を凌がれた。
お互い顔には出さないが、冷や汗が頬を伝っている。
「素晴らしいです。そちらの方、お名前をお聞かせください」
「ん、俺か? ソレル王国戦士団、ミツキだ」
「ミツキ様ですね。やっと……やっとお会いできました」
ソレーユは恍惚とした表情で、ミツキへと歩み寄ってくる。
その手には剣は握られておらず、敵意も感じないが、自然と2人は警戒する。
そんなことは露ほども気にしていないのか、ソレーユは目の前まで来ると、膝をついて深々と頭を下げると、
「我々ジュア法国は、ミツキ様……いえ、太陽神様をお待ちしておりました」
そんな爆弾発言をした。
* * * 
「どうぞミツキ様、お入りください」
「あのさ、ソレーユさん」
「ソレーユとお呼びください。さん付けなんて、恐れ多いです」
「じゃあソレーユ。この対応はなんなんだ?」
あの後、ヨハンとソフィアも合流した4人はソレーユに案内され、ジュア法国の首都へとやって来ていた。
そこで4人、特にミツキが熱烈な歓迎を受け、広く豪華な一室へと連れてこられている。
「ですから、太陽……ミツキ様を待っておりましたから」
「おい、ミツキ。お前何したんだよ」
「俺の炎魔法が凄いんだってよ。なんでも、ジュア法国は全員が炎魔法の使い手らしいし、憧れみたいなもんらしい」
「はい、その通りです」
恍惚とした表情が崩れそうもないソレーユは、そう言ってミツキの言い分を肯定する。
太陽神様、と呼ばれた時は焦ったが、メリアには後で説明すると約束し、人前では名前で呼んでもらうようにした。
「それにしては大袈裟な気もするが……他国の文化だしな。否定できねぇか」
「ミツキ凄いんだね!」
「そ、そうみたいだな」
若干ひきつった顔をしつつも、ミツキたちは案内された席に座り、対面にソレーユと中年の男性が座る。
「初めまして、ミツキ様と仲間の皆様。私はジュア法国教皇、スールと申します」
「俺らのことは知ってるんですか」
「ソレーユさんから説明を受けましたので。それと、どうか敬語はおやめ下さい」
「えーっと、スール。まずここまで招き入れてくれてありがとう」
「いいえ、同士を助けていただいたようですし、当然です」
「その節は申し訳ありませんでした。私の独断で攻撃してしまい……」
「もういいからさ。それより、お願いがあるんだけど」
「どうぞなんなりと。我々にできることでしたら」
ニコニコ顔のスールの物腰は柔らかく、何を頼んでも受け入れてくれそうな雰囲気だ。
「俺たちはウナアーダに行きたいんだ。そのために、ジュア法国をとおらせてほしい」
「それは難しいです」
「えっ」
断られるとは思っておらず、素っ頓狂な声を出してしまう。
「いえ、ちゃんと理由があるんです。説明をしますので、ソレーユさん、案内をお願いします」
「承知しました。皆さん、少し歩きますが構いませんか?」
「いいよな?」
「俺は問題ないな」
「私もっ!」
「私もいいけど、後で少し話がしたいわ」
「私に、でしょうか。もちろん構いませんよ」
ニコリと笑顔で了解したソレーユに連れられ、4人は忙しなく再び移動を始めた。
大剣を引き抜き、対峙するミツキは相手の力量を測ろうとしていた。
目の前に敵と認識した時の、この緊張感。
前にウナアーダの白と対峙した時の感覚に近い。
「メリア、相手めちゃくちゃ強いぞ」
「わかってるわ。それに、ちょっと変な力もあるみたい。切られた腕の力が落ちてる」
「毒って訳でもないだろうけど……攻撃を受けるのは危険か」
「喋る余裕がおありなのですね。では、まずそれをなくしましょう」
ゆっくりと歩いてくるソレーユの得物は、2本の剣。
1本は順手、1本は逆手で握っている。
「来るぞ」
「今度はちゃんと迎え撃つわよ」
「ゆらり、ゆらり、揺らめくように……細切れにしましょう」
体を不規則に揺らしながら、突然ソレーユが加速した。
狙われたのは、メリアだ。
「巫流《雨突》!」
自分が狙われることはわかっていたのか、すぐに対応して前方への連続突きを放つ。
牽制の意味も込めた、手数の多い技だ。
だが、
「ゆら、ゆら」
ぐにゃりと一瞬歪んだかのように見えたソレーユの剣は、突きを全て弾き、メリアの両腕を肘から切り落とす。
「このっ!」
それでも怯まずに上段蹴りを繰り出すが、またしても不規則な軌道で振り上げられた剣により、足を切断されて防がれた。
「メリアばっか狙ってんじゃねえぞ。炎武《猛炎撃》!」
そこへ既に第1権能を解放させたミツキの炎を纏った大剣が、側面から凄まじい勢いで突き出される。
「ゆらり……炎?」
再び歪んだように体を逸らして避け、1度下がるが、それによりミツキがソレーユとメリアの間に入る形となった。
「怪我は?」
「ないわよ。でも、やっぱり力が落ちてる」
くっついた腕と足を動かしながら、感覚を確かめる。
「炎、炎……普通じゃありませんが……でも……」
「なんかブツブツ言ってるけど」
「気にしなくていいだろ。けど、やっぱり強いな。出し惜しみできそうにない」
「なら私が隙を作って、ミツキが決めなさい」
「隙って……簡単じゃないと思うけどな」
「仲間を信用しないさい。やってやるわ」
「そこまで言うなら……信じるぞ」
本来ならば、狙われているメリアを下げたかったミツキだが、ここまで言われれば仕方ない。
「やっぱり確かめるしか……ええ、ええ、そうしましょう」
「納得してるとこ悪いけど、次はこっちの番よ」
「失礼ですけど……貴女に私を倒す実力があるとは思えません」
「正直に言ってくれるわね。でも、試さないとわからないわよ!」
刀を下げて構え、メリアから走ってソレーユへと仕掛ける。
少し遅れてミツキが追従するように走り出す。
「ゆら、ゆら、捉えられますか?」
「調子に乗ってるわね。巫流《波朧》!」
選んだ技は、最も自信のある揺らめく一閃。
それもゆらりと歪んようにし、避けようとしたソレーユだったが、
「え?」
キィンと甲高い音を立て、防いだ剣を弾かれ体勢を崩された。
避けられる思っていたが、防いだのはほとんど直感。
そのおかげで切られることはなかったが、この状況はまずい。
「私の幻楼に当てますか」
「自信満々の顔が崩れたわね。ミツキ!」
「ああ。炎武《炎天》」
準備していたミツキが、メリアと入れ替わるように前に出る。
大剣に炎が集まり、収束される。
「《昇炎》!」
「やはり……間違いありません。炎舞《焔流し》」
振り上げられた大剣の炎は、天に昇るように火柱が上がる
当たれば燃え尽きるであろうその攻撃を、ソレーユは炎を纏った2本の剣で受け流した。
とはいえ、無傷とはいかなかったのか、衝撃でゴロゴロと後方へ派手に転がった。
「防がれてるわよ」
「完璧に入ったと思ったんだけどな。そういや、さっきのはどうやって当てたんだ?」
「向こうは炎魔法で意図的に剣の長さを歪ませてたの。で、普通の攻撃だと見誤って当たらないから、同じ原理の技で当てたわけ」
「俺には真似出来ないな」
2人は話しながらも、不用意な追撃は仕掛けずソレーユの出方を伺う。
決めに行ったはずのミツキの技を凌がれた。
お互い顔には出さないが、冷や汗が頬を伝っている。
「素晴らしいです。そちらの方、お名前をお聞かせください」
「ん、俺か? ソレル王国戦士団、ミツキだ」
「ミツキ様ですね。やっと……やっとお会いできました」
ソレーユは恍惚とした表情で、ミツキへと歩み寄ってくる。
その手には剣は握られておらず、敵意も感じないが、自然と2人は警戒する。
そんなことは露ほども気にしていないのか、ソレーユは目の前まで来ると、膝をついて深々と頭を下げると、
「我々ジュア法国は、ミツキ様……いえ、太陽神様をお待ちしておりました」
そんな爆弾発言をした。
* * * 
「どうぞミツキ様、お入りください」
「あのさ、ソレーユさん」
「ソレーユとお呼びください。さん付けなんて、恐れ多いです」
「じゃあソレーユ。この対応はなんなんだ?」
あの後、ヨハンとソフィアも合流した4人はソレーユに案内され、ジュア法国の首都へとやって来ていた。
そこで4人、特にミツキが熱烈な歓迎を受け、広く豪華な一室へと連れてこられている。
「ですから、太陽……ミツキ様を待っておりましたから」
「おい、ミツキ。お前何したんだよ」
「俺の炎魔法が凄いんだってよ。なんでも、ジュア法国は全員が炎魔法の使い手らしいし、憧れみたいなもんらしい」
「はい、その通りです」
恍惚とした表情が崩れそうもないソレーユは、そう言ってミツキの言い分を肯定する。
太陽神様、と呼ばれた時は焦ったが、メリアには後で説明すると約束し、人前では名前で呼んでもらうようにした。
「それにしては大袈裟な気もするが……他国の文化だしな。否定できねぇか」
「ミツキ凄いんだね!」
「そ、そうみたいだな」
若干ひきつった顔をしつつも、ミツキたちは案内された席に座り、対面にソレーユと中年の男性が座る。
「初めまして、ミツキ様と仲間の皆様。私はジュア法国教皇、スールと申します」
「俺らのことは知ってるんですか」
「ソレーユさんから説明を受けましたので。それと、どうか敬語はおやめ下さい」
「えーっと、スール。まずここまで招き入れてくれてありがとう」
「いいえ、同士を助けていただいたようですし、当然です」
「その節は申し訳ありませんでした。私の独断で攻撃してしまい……」
「もういいからさ。それより、お願いがあるんだけど」
「どうぞなんなりと。我々にできることでしたら」
ニコニコ顔のスールの物腰は柔らかく、何を頼んでも受け入れてくれそうな雰囲気だ。
「俺たちはウナアーダに行きたいんだ。そのために、ジュア法国をとおらせてほしい」
「それは難しいです」
「えっ」
断られるとは思っておらず、素っ頓狂な声を出してしまう。
「いえ、ちゃんと理由があるんです。説明をしますので、ソレーユさん、案内をお願いします」
「承知しました。皆さん、少し歩きますが構いませんか?」
「いいよな?」
「俺は問題ないな」
「私もっ!」
「私もいいけど、後で少し話がしたいわ」
「私に、でしょうか。もちろん構いませんよ」
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