人生の続きを異世界で!〜天界で鍛えて強くなる〜
ジュア法国
「いいか、俺らは今からウナアーダに行くために、まずジュア法国に向かう」
「待て待て、なんでお俺たちがヨハンについて行かないといけないんだ」
「タダで情報を渡すわけないだろ。俺の同行者として、お前らが来るのが条件だったんだよ」
「初耳ね」
「うん、聞いてないよ」
「言われてねぇのかよ。あのな、俺はウナアーダに行きたいが、1人じゃ難しい」
「魔国突っ切ればいいんじゃないか?」
「お前はあの幹部と開示したからわかるだろうが、魔族ってのはたとえ同盟相手でも、人間なら平気で殺す奴らなんだよ」
「ああ、そういえば確かに」
言われてみれば、ミツキの戦った魔王軍幹部は悪意に満ちていた。
あれはソレル王国に対してというより、人間に対してのものたったらしい。
「そんなわけで、法国を通ってウナアーダに向かうルートになる。着いてきてくれるか?」
一応聞いてくれるらしく、ミツキたち3人はそれぞれ考える。
「私は正直行きたいと思ってたわ。法国って言うくらいだから、この呪いを解く方法もあるかもだし」
「私はどっちでもいいかなぁ。2人が行くならついていくよ!」
「俺は……前から法国は気になってたしな。行くか」
「決まりな。俺みたいな他国の人間が、この国に長居するのはよくないし、すぐ行くぞ!」
「せめて1時間は準備させろよ」
トントン拍子に話は進み、ミツキたち3人はアランと共にジュア法国に向かうことになった。
ルートはひたすら東に進み、ジュア法国との国境まで到達したら、そこから法国の首都へと向かう。
サクレットに事情を話したところ、本当にヨハンはその条件を出していたらしく、いうのが遅れたのを謝られながら、法国に行くことを許可された。
そして1時間後、王都の正門に4人が集まる。
「道中は馬車のつもりだったが、運良く俺とそこの小さい……」
「ソフィアだよ。名前くらい覚えてよね」
「そう、ソフィアだ。魔法で速度が出せるのが2人いるからな。普通よりずっと速い」
「交代しながら行くんだね」
「そういうことだ。んじゃ、最初は俺からな。多分今日中には着けるだろ」
本来なら1週間はかかる日程だが、ヨハンとソフィアの魔法があればすぐに着く。
ヨハンは風魔法で、ソフィアは磁力魔法でそれぞれ荷台を浮かせ、加速もさせることができる。
「メリア、ジュア法国ってどんな国なんだ?」
「気になってたって言ってのに、何も知らないの?」
「気になってただけだしな。まさか、こんな直ぐに行くことになるとは思わなかったんだよ」
「なら説明してあげるわ」
メリアの説明によると、ジュア法国は少し変わっている国らしい。
なんでも、完全中立国で戦争に参加したのは随分と昔、魔国がソレル王国、ウナアーダ、ジュア法国の3国に対して起こした戦争の時のみだ。
「あと、神を信仰してるわね」
「どんな神を信仰してるんだ?」
「そこまでは知らないわよ」
「行ってからのお楽しみってことか」
「うーん、私は聞いたことかる気がするんだけど……なんだったかなぁ」
思い出そうとソフィアが悩んでいるところで、馬車が止まりヨハンが声をかけてくる。
「交代だ。使い方はわかるよな?」
「まっかせてよ。たくさん進めちゃうからね!」
「そりゃいいな。楽できる」
ソフィアとヨハンが入れ替わり、また馬車が進み出す。
「何の話してたんだよ」
「ジュア法国のことよ。神を信仰してるらしいけど、なんの神なのかってね」
「ヨハンは知ってるか?」
「あー、いや、ウナアーダは基本的に他国に興味がないからな。法国のことはよく知らねぇんだよ」
「なら仕方ないか。見て確かめよう」
「戦いにはならないと思うけどね」
そうして喋りながら、時折ソフィアとヨハンが入れ替わって3時間、4人はジュア法国の国境を通過した。
「簡単に入れるんだな」
「法国に手を出すやつなんて、それこそ魔国か帝国ぐらいなもんだしな。さて、俺はもうちょい寝とくとするか」
「ん、あれ?」
「どうした、ソフィア」
困惑した声を出して突然馬車を止めたソフィアに、ミツキが顔を出して声をかける。
まだ交代するような時間は経っていないはずだ。
「あそこ、なんか戦ってない?」
「どこだ?」
「あそこだよ、ほらほら」
言われてじっと目を凝らせば、かなり遠くで複数の人影が争っているように見える。
「ほんとだな。見に行くか」
「私も行くわよ。ソフィアとヨハンは留守番よろしくね」
「あいよ」
「気をつけてね!」
法国の領地内での戦闘ということは、ただの小競り合いということではないだろう。
ミツキとメリアは確認のため、走って争いの起きている場所へと向かう。
近づいてわかったが、争っている片方は5人の男女、見た目は普通の人間でかなりの火力の炎魔法で攻撃している。
そのうち1人が、白く鋭い骨に貫かれた。
争っているもう片方は形こそ人に似ているが、その背中からは関節のある八本の骨が突き出しており、それら以外にも地面から骨を突き出させ、男女を追いつめている。
そしてその骨男からは、黒いモヤが大量に吹き出ている。
「手練だな。多分魔国の幹部クラスだ」
「じゃあ狙うのは」
「骨野郎だ」
「了解!」
グンっとメリアが加速し、目の前の相手に夢中になっている骨男へ、奇襲を仕掛ける。
「巫流《波朧》」
「くっ!?」
奇襲にも対応し、骨で防御をとった男だったが、揺らめくメリアの一閃は骨をすり抜け、肩を切り裂いた。
(浅い。追撃は難しいわね。実力差があるし)
深追いすれば、自分がやられる。
悔しくはあるが、通り抜けるように切ったあとはそのまま距離をとる。
「追撃よろしくね」
「おう。第1権能解放」
「貴様ら……邪魔をするな!」
「うおっ」
男が叫ぶと、そこを中心に大量の鋭い骨が地面から突き出す。
咄嗟にミツキは飛び下がり、追撃は防がれた。
「何者だ。この俺に攻撃を仕掛けるとは、余程のバカだろう」
「ソレル王国戦士団のミツキだ」
「同じく、メリア」
「王国、そうか。貴様らを相手にするのは面倒だ、引いてやる」
「名前くらい名乗れよ」
「俺の名か。いいだろう。魔国幹部ゴルド、覚えておけ人間共」
ゴルドは捨て台詞を残すと、警戒しながら素早く撤退した、
「なんで魔国の幹部が……追わないの?」
「一筋縄じゃいかなそうだしな。他に優先することもあるし」
「それもそうね。じゃあ、治療を」
「着きましたけど……一足遅かったようですね」
治療のために近づこうとしたメリアの目の前へ、いつの間にやって来たのか、1人の女性が現れる。
桃色の髪と瞳をしたその女性は、周りを一瞥すると、まず死亡したであろう男性の元へ歩み寄る。
「攻められたと聞きましたが……よくぞ勇敢に戦い、守ってくださいました。ありがとうございます」
そっと男性の手を握りしめ、傷だらけのほかの男女を一人一人見ながら、深く頭を下げる。
次に女性は、ミツキとメリアへと視線を向ける。
「あなた達が助けてくれたようですね。私の同胞を救ってくださり、感謝してもしきれません」
「いやいや、たまたま通り掛かっただけだしな。助けるのは当然だ」
「人が殺されてるところを傍観なんて、趣味が悪いしね」
「お優しいのですね。ですが……申し訳ありません。そちらの女性の方は、死んでいただかなければならないようです」
女性は困ったような顔をして、それが当然のように、敵意も悪意も感じさせず、流れるような動作で腰の2本の剣を引き抜き、メリアの右腕を切断した。
「……は?」
「っ!?」
あまりのことにミツキは反応出来ず、攻撃された本人のメリアは、どうにか体を逸らすのが限界だった。
メリアの腕は切断された瞬間に傷口から触手が伸び、元通りにくっつく。
「おや、やはり……悪いものが取り憑いてるようですね」
「あんた……何者なのよ」
「申し遅れました。私はジュア法国枢機卿、ソレーユと申します。どうかお見知りおきを」
感情の起伏のない声と顔で名乗ったソレーユは、2本の剣を再びメリアに向けて構えた。
「待て待て、なんでお俺たちがヨハンについて行かないといけないんだ」
「タダで情報を渡すわけないだろ。俺の同行者として、お前らが来るのが条件だったんだよ」
「初耳ね」
「うん、聞いてないよ」
「言われてねぇのかよ。あのな、俺はウナアーダに行きたいが、1人じゃ難しい」
「魔国突っ切ればいいんじゃないか?」
「お前はあの幹部と開示したからわかるだろうが、魔族ってのはたとえ同盟相手でも、人間なら平気で殺す奴らなんだよ」
「ああ、そういえば確かに」
言われてみれば、ミツキの戦った魔王軍幹部は悪意に満ちていた。
あれはソレル王国に対してというより、人間に対してのものたったらしい。
「そんなわけで、法国を通ってウナアーダに向かうルートになる。着いてきてくれるか?」
一応聞いてくれるらしく、ミツキたち3人はそれぞれ考える。
「私は正直行きたいと思ってたわ。法国って言うくらいだから、この呪いを解く方法もあるかもだし」
「私はどっちでもいいかなぁ。2人が行くならついていくよ!」
「俺は……前から法国は気になってたしな。行くか」
「決まりな。俺みたいな他国の人間が、この国に長居するのはよくないし、すぐ行くぞ!」
「せめて1時間は準備させろよ」
トントン拍子に話は進み、ミツキたち3人はアランと共にジュア法国に向かうことになった。
ルートはひたすら東に進み、ジュア法国との国境まで到達したら、そこから法国の首都へと向かう。
サクレットに事情を話したところ、本当にヨハンはその条件を出していたらしく、いうのが遅れたのを謝られながら、法国に行くことを許可された。
そして1時間後、王都の正門に4人が集まる。
「道中は馬車のつもりだったが、運良く俺とそこの小さい……」
「ソフィアだよ。名前くらい覚えてよね」
「そう、ソフィアだ。魔法で速度が出せるのが2人いるからな。普通よりずっと速い」
「交代しながら行くんだね」
「そういうことだ。んじゃ、最初は俺からな。多分今日中には着けるだろ」
本来なら1週間はかかる日程だが、ヨハンとソフィアの魔法があればすぐに着く。
ヨハンは風魔法で、ソフィアは磁力魔法でそれぞれ荷台を浮かせ、加速もさせることができる。
「メリア、ジュア法国ってどんな国なんだ?」
「気になってたって言ってのに、何も知らないの?」
「気になってただけだしな。まさか、こんな直ぐに行くことになるとは思わなかったんだよ」
「なら説明してあげるわ」
メリアの説明によると、ジュア法国は少し変わっている国らしい。
なんでも、完全中立国で戦争に参加したのは随分と昔、魔国がソレル王国、ウナアーダ、ジュア法国の3国に対して起こした戦争の時のみだ。
「あと、神を信仰してるわね」
「どんな神を信仰してるんだ?」
「そこまでは知らないわよ」
「行ってからのお楽しみってことか」
「うーん、私は聞いたことかる気がするんだけど……なんだったかなぁ」
思い出そうとソフィアが悩んでいるところで、馬車が止まりヨハンが声をかけてくる。
「交代だ。使い方はわかるよな?」
「まっかせてよ。たくさん進めちゃうからね!」
「そりゃいいな。楽できる」
ソフィアとヨハンが入れ替わり、また馬車が進み出す。
「何の話してたんだよ」
「ジュア法国のことよ。神を信仰してるらしいけど、なんの神なのかってね」
「ヨハンは知ってるか?」
「あー、いや、ウナアーダは基本的に他国に興味がないからな。法国のことはよく知らねぇんだよ」
「なら仕方ないか。見て確かめよう」
「戦いにはならないと思うけどね」
そうして喋りながら、時折ソフィアとヨハンが入れ替わって3時間、4人はジュア法国の国境を通過した。
「簡単に入れるんだな」
「法国に手を出すやつなんて、それこそ魔国か帝国ぐらいなもんだしな。さて、俺はもうちょい寝とくとするか」
「ん、あれ?」
「どうした、ソフィア」
困惑した声を出して突然馬車を止めたソフィアに、ミツキが顔を出して声をかける。
まだ交代するような時間は経っていないはずだ。
「あそこ、なんか戦ってない?」
「どこだ?」
「あそこだよ、ほらほら」
言われてじっと目を凝らせば、かなり遠くで複数の人影が争っているように見える。
「ほんとだな。見に行くか」
「私も行くわよ。ソフィアとヨハンは留守番よろしくね」
「あいよ」
「気をつけてね!」
法国の領地内での戦闘ということは、ただの小競り合いということではないだろう。
ミツキとメリアは確認のため、走って争いの起きている場所へと向かう。
近づいてわかったが、争っている片方は5人の男女、見た目は普通の人間でかなりの火力の炎魔法で攻撃している。
そのうち1人が、白く鋭い骨に貫かれた。
争っているもう片方は形こそ人に似ているが、その背中からは関節のある八本の骨が突き出しており、それら以外にも地面から骨を突き出させ、男女を追いつめている。
そしてその骨男からは、黒いモヤが大量に吹き出ている。
「手練だな。多分魔国の幹部クラスだ」
「じゃあ狙うのは」
「骨野郎だ」
「了解!」
グンっとメリアが加速し、目の前の相手に夢中になっている骨男へ、奇襲を仕掛ける。
「巫流《波朧》」
「くっ!?」
奇襲にも対応し、骨で防御をとった男だったが、揺らめくメリアの一閃は骨をすり抜け、肩を切り裂いた。
(浅い。追撃は難しいわね。実力差があるし)
深追いすれば、自分がやられる。
悔しくはあるが、通り抜けるように切ったあとはそのまま距離をとる。
「追撃よろしくね」
「おう。第1権能解放」
「貴様ら……邪魔をするな!」
「うおっ」
男が叫ぶと、そこを中心に大量の鋭い骨が地面から突き出す。
咄嗟にミツキは飛び下がり、追撃は防がれた。
「何者だ。この俺に攻撃を仕掛けるとは、余程のバカだろう」
「ソレル王国戦士団のミツキだ」
「同じく、メリア」
「王国、そうか。貴様らを相手にするのは面倒だ、引いてやる」
「名前くらい名乗れよ」
「俺の名か。いいだろう。魔国幹部ゴルド、覚えておけ人間共」
ゴルドは捨て台詞を残すと、警戒しながら素早く撤退した、
「なんで魔国の幹部が……追わないの?」
「一筋縄じゃいかなそうだしな。他に優先することもあるし」
「それもそうね。じゃあ、治療を」
「着きましたけど……一足遅かったようですね」
治療のために近づこうとしたメリアの目の前へ、いつの間にやって来たのか、1人の女性が現れる。
桃色の髪と瞳をしたその女性は、周りを一瞥すると、まず死亡したであろう男性の元へ歩み寄る。
「攻められたと聞きましたが……よくぞ勇敢に戦い、守ってくださいました。ありがとうございます」
そっと男性の手を握りしめ、傷だらけのほかの男女を一人一人見ながら、深く頭を下げる。
次に女性は、ミツキとメリアへと視線を向ける。
「あなた達が助けてくれたようですね。私の同胞を救ってくださり、感謝してもしきれません」
「いやいや、たまたま通り掛かっただけだしな。助けるのは当然だ」
「人が殺されてるところを傍観なんて、趣味が悪いしね」
「お優しいのですね。ですが……申し訳ありません。そちらの女性の方は、死んでいただかなければならないようです」
女性は困ったような顔をして、それが当然のように、敵意も悪意も感じさせず、流れるような動作で腰の2本の剣を引き抜き、メリアの右腕を切断した。
「……は?」
「っ!?」
あまりのことにミツキは反応出来ず、攻撃された本人のメリアは、どうにか体を逸らすのが限界だった。
メリアの腕は切断された瞬間に傷口から触手が伸び、元通りにくっつく。
「おや、やはり……悪いものが取り憑いてるようですね」
「あんた……何者なのよ」
「申し遅れました。私はジュア法国枢機卿、ソレーユと申します。どうかお見知りおきを」
感情の起伏のない声と顔で名乗ったソレーユは、2本の剣を再びメリアに向けて構えた。
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