人生の続きを異世界で!〜天界で鍛えて強くなる〜

水泳お兄さん

フレーリア防衛戦①

 門の周りには既に人が集まっており、皆ざわざわと外を見ている。

「何があったんですか!」

「あ、ああ。学園の生徒か。あれを見てくれ」

 門番が指さす先を見ると、遠くに土煙が上がっている。
 さらに目を凝らせば、それが大量の鎧を着た兵士と魔族であることがわかった。

「魔族と……兵士? どこの兵士だ」

「あの鎧はウナアーダだよ」

「魔国とウナアーダの連合軍ってことか!? 有り得ないだろ!」

 門番が叫ぶのも無理はなく、魔国とその奥にあるウナアーダは敵対していたはずだ。
 王国とウナアーダに挟まれているからこそ魔国も派手は動きをしなかったというのに、その2国が手を組んだなど考えたくもない。

「ひとまず、戦力を集めましょう。フレーリアなら迎え撃てます」

「そ、そうだな。取り乱してすまなかった。私は周囲に呼びかけてこよう!」

「はい。お願いします」

 ミツキの言葉で我に返った門番は、この緊急事態を報せるため走る。

「状況整理だ。まず、あの軍を敵だと仮定して、魔国とウナアーダの連合軍で間違いないか?」

「うん。間違いないと思うよ」

 精霊国家ウナアーダは、王国から魔国を挟んだ北方に位置する大国だ。
 大昔に1人の精霊が建国したとされるこの国は、強い魔力を武具に込める特殊な技術を持っており、非常に高い戦力を持つ。

「でも、どうして突然攻めてきたのかしら」

「王国は今戦力が下がってるから、そこを狙ってきたんじゃないかな」

「だからって安易すぎないか? 魔族が人間と手を組むのも考えにくいんだが」

 ウナアーダは魔国と睨み合いをしているはずで、魔族は人間を毛嫌いしている。
 手を組むとは考えにくい。

「事実は事実よ。とにかく、まずは戦力の確認をしましょう。もうすぐで戦士団が指揮を執るだろうから」

「そうだな。幸いまだ敵は遠いし……」

 余裕もある、そう言おうとしたのだが、遠くからこちらに急接近してくる影が見えた。
 影はどんどん大きくなると、門の前に降り立つ。
 人間の姿をしつつも、角や尻尾がある魔族だ。

「偵察を任されたが、こんなの混乱してる隙に被害を与えた方がいいだろ。ここで名を上げて」

「ま、魔族!?」

「逃げろー!」

「殺されるぞ!」

 まさかもう敵が来るとは思っていなかったようで、野次馬の一般人が混乱して走り回っている。

「うるさい人間だな。さっさと殺し……っ!?」

 魔族が攻撃動作に入った瞬間、大剣が一閃され胴が斬られた。
 何が起こったのかわからないという表情をしながら、魔族は何も言わぬ死体となった。

「た、倒せたぞ!」

「一撃で……」

「落ち着いてください! 敵の侵入は防ぎますから、ゆっくり避難してください!」

 魔族を殺したミツキがそう叫ぶと、混乱していた群衆はたちまち静かになり、少し混乱しながらも避難を開始した。

「ミツキ、大丈夫?」

「ああ。けど、ここも安全じゃない。3人で見張りをしておこう」

「わかったわ」

「りょうかーい!」

 それ以降も魔族は接近してきたが、門でミツキ達が待ち構えているを見ると、踵を返して戻っていった。
 そして5分後、戦士団や衛兵、学園の教師や生徒といった戦力が集まる。

「君たちがここを守っていてくれたのか。ありがとう。私は戦士団隊長サクレット。戦士団として不甲斐ない」

 近づいてきた戦士団の隊長と思われる男性は、ミツキたちに感謝の言葉を述べる。

「いえ、たまたま先に来ただけですから。それより、あの軍は?」

「魔国とウナアーダの連合軍で間違いない。理由は定かではないが、我々はあの敵軍を撃退する必要がある。協力してもらえないだろうか」

「もちろんです」

「学園もあるものね」

「頑張るよー!」

「心強い」

 サクレットは微笑むと、顔を戦士のものへ切り替えて集まっている兵たちを見る。

「戦士団隊長サクレットだ! 敵は魔国、ウナアーダ連合軍。我々は力を合わせフレーリアを死守する! 皆の力を貸してくれ!」

「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」

 この鼓舞は兵の心にも届いたようで、士気が大きく上がる。

「各自戦士団の言葉に従い、配置についてくれ! 絶対にここは落とさせるな!」

 城壁へ上がるための階段が解放され、戦士団の指示に従って皆が配置につく。

「ミツキ、私たちも行きましょう」

「……敵軍は、本当にあの戦力でここを落とすつもりなのか?」

「そうでしょ。何かおかしい?」

「いや、多分無理だと思うんだよ」

 この城郭都市フレーリアは、その名の通り街を囲む高い城壁が特徴だ。
 それに加え、戦士団は集としての戦闘能力が高く防衛戦はお手の物だ。
 学園も教師だけでなく生徒もかなりの実力を持っているため、戦力として大きい。
 これを攻略するには、大々的な戦力が必要になるだろうが、今回の敵軍はそれほどの規模に見えない。

「うーん、相手がフレーリアのことを知らないんじゃない?」

「だといいんだが……ちょっと気になることがあるんだ。別行動してもいいか?」

「あんたがそう言うなら構わないわよ。ここは私に任せなさい」

「私もいるからね!」

「ああ。2人に任せられるなら安心だ。特にメリアは、相手に大将みたいなやつがいたら倒してくれ。頼むぞ」

「わかったわ。ミツキも、一応気をつけなさいよ」

「ああ」

 胸に残る不安を確かめるため、ミツキは1人別行動を開始する。
 城郭都市フレーリア防衛戦が始まった。

 * * *

「うー、メリアと同じところがよかったのに」

 適性から配置を決められた結果、メリアは最前線、ソフィアは城壁上の援護となった。

「いいか、我々の仕事は前線で戦う者達の援護だ。我らの活躍で死者を減らせる。心してかかれ!」

「それもそっか。よし、頑張らなきゃ」

 鼓舞している戦士団の女性の言葉を聞き、ソフィアを少しでも楽にさせるためにも、気合いを入れ直す。

「敵はまだ射程外だ。各自、魔力を貯めて集中しておけ」

「え? あのー……もう攻撃届くと思うけど」

「なんだと? バカを言うな。この城壁から敵軍までどれだけ距離があると思っている。私でも当てるのは不可能に近い」

 敵軍の行進速度は遅く、まだ豆粒程度にしか見えない。

「そうかなぁ」

「そこまで言うなら試すといい」

「うんっ、そうするね。槍を貰っていいかな」

「投擲か? 構わん。自由に使え」

 物資もかき集められており、ソフィアの求める槍は大量にあった。
 そのうち1本を右手に持つと、左手に持った短剣を敵軍に向け、弓矢のように槍を引いていく。
 視力の良いソフィアには、敵軍の顔まではっきりと見えていた。

「変わった姿勢だな」

 いつの間にか戦士団の女性だけでなく、周りの兵士や生徒たちも注目していた。
 だが、それを意に介さないほど集中し、一点を狙って魔力を込めていく。

「弾け!」

 ウゥゥンッと重い風切り音を発しながら放たれた槍は、その場の誰もが視認できない速度で敵軍に吸い込まれ、その先頭から最後尾までにいた魔族を貫いた。

「よしっ」

「当たったのか?」

「よく見ろ、敵が困惑しているぞ!」

「確かに隊列が少し乱れてる。凄いなお嬢ちゃん!」

「驚いた……とんでもない狙撃手だな」

 周りの兵士や生徒はもちろん、不可能だと言っていた女性までもが、信じられないように口を開けている。

「先程は不可能だと決めつけてすまない。知識不足の私を許してくれ」

「気にしないで。この調子で頑張るよ〜」

「よっしゃ、全員このお嬢ちゃんに槍を持ってこい!」

「ありがとっ!」

 大量の槍がソフィアの後ろに運ばれ、それを魔法を使って放つ。
 結局他の魔法や弓が当たるようになるまでに、ソフィア1人で5分の1もの敵軍を撃退した。

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