暁の料理人

グレ坊

希望の渇望

「料理、、、というがこの食材では焼くのが精一杯だろう?」

クリュが総意をまとめて俺に言う

「大丈夫だ。全員、腹いっぱい、、、とは言わねぇが満足させてやるよ。」


みんなも満足と言うから少し安堵しているようだ。

「では早速、準備しようではないか。ジン、君が仕切れ。料理といったのは君なのだからな」

何を当たり前のことを、、と思いながらみんなの視線が俺に向いているから頷いて肯定を示す

「では、まずハリス。お前はさっき案内してもらった食堂で塩をかっぱらって来てくれ。食堂の入ってすぐのところに岩塩が入った袋を見つけた。できるだけ多く持ってきてくれ


「わかったよ。そういうのは得意分野だ」

ハリスは笑顔で頷く。俺、意外とスラム育ちを舐めてたかもな。見つかれば死ぬとは言わないが粛清はあるだろうに。まぁやってくれんだろ。最悪無理でも何とかするしな

「では次に、パシィとルーンはそこら辺の草とかで食べれそうなの持ってきてくんね?あまり量入らないが、、、、そうだな2人が両手で抱えれるくらいでいい。」

「わかったにゃ!」

「りょ」

2人も文句を言わずに行った

「ではではマルタ、エミー、クランはこの肉をそこの鋭利な石で切り刻んでくれ。パシィとルーンが持って帰ってきた草を一掴みくらい入れてその併せて刻んでくれ。どのくらいかわからなかったら聞いてくれ」

「「「わかった」」」


「私は?」

「クリュはそこの大鍋を1回水魔法で洗って水を、、、そうだなこの骨が被るくらいに入れてくれ。そこから火魔法でこの物置にあるマキで火にかけよう。」

「わかったわ」

骨で出汁をとっている間、俺はクリュに魔法を習っていた

「魔力とはなんだ?」

「世界の法則を変える不可視の物質と言われているわ。そして万物には必ず魔力を帯びていると言われている。君も訓練すれば使えるぞ」

「マジで?教えてくんね?」

だが俺は魔力を感じることができず苦戦していた俺に
クリュは俺の胸に触り魔力を流してくれた

「そう、それが循環よ。そうやって魔力を感じることが魔法への1歩よ」

「ジンくん、塩持ってきたよ。これで足りる?」

俺は目を瞑り循環しているところにハリスが声をかける

「ん、あ、ああ。十分だ。ありがとうな」

「肉、叩き終わったぞ。草も一緒に叩いた。」

「そうかありがとう。パシィたちの草はまだあるか?」

「ああ。どうするんだ」

「水洗いして大鍋の中に入れちゃって」

俺はその後塩をミンチに練り込み、だいぶ味の出てきたスープに塩を入れて味を整える

「なんか本職みたいだな」

クリュから俺の作業を見て誰に言うでもなく独り言を発する

「みんなもうすぐできるから、そこの物置からスープ入れれそうな器用意して待っててくれ」

俺の声にみんな頷き、好きなところに座って待っている

次第にいい匂いがしだし、俺は別鍋にとって湯掻いていたつくねを先にみんなのおわんに入れてその後にスープを空いている器でみんなのに注いでいく

「ほら、くっていいぞ」

みんな、恐る恐るスープに口をつけ次第に一気に飲み干した。

いやいや、熱いだろうに

「うん、我ながらいい出来だ」

味は地鶏のような濃厚さに少し鹿のような独特の癖もあるがまぁあの雑草のおかげで見事にマッチしている

少し、大人の味のように感じるが、それでも美味しいと言えるだろう

「美味しいな、、、、、オカワリはあるかい?」

「あ、ああ。だけどスープだけな。つくねは残念ながらない」

「ああ、それでいい。いやぁ、、、久しぶりに美味しい食事だ。わずかこれだけの食材でこれができようとは、、、そもそも骨を水でたくなど初めて見たよ。」

「そう、、、、なのか?」

50年生きたエルフがそういうんだからもしかするとこの世界の料理水準は低いのかもしれんな、、、

他のみんなも思い思いにオカワリしてみな満足気な感じだ

良かった。あんな啖呵切ったから初めて見る食材だとは言えなかったし緊張していたとも言いずらい。このままできるオーラで貫こう

そう決心したんだった。そしてこの瞬間俺は、事実、こいつらのリーダーになったということだ

俺はその後寝るまで教えてもらった循環の方法と基礎魔法の身体強化を試す

だが俺はこの時勘違いしたのだ。
この世界の循環とはただ回すこと
この世界の身体強化とはただ薄く膜を貼る言うな感覚のようなもの

そして俺は現代日本の中高での教育は覚えている。細胞という概念。血脈という循環機能などの知識

だからこそ容易くそして1日かけて俺はこの世界の常識では当てはまらない身体強化を手にしていた。

だがそれは激痛の地獄の始まりだった


みんなが寝に入った頃、俺は身体強化を試していた。そして、試したあと、声が出ないほどの痛み、後で気付いたがこれは急速な肉の細胞分裂、、のようなものだろう

痛みを抑えるためにありったけの身体強化をかける、そして、また痛む、だが身体強化をかけていないと、体が破裂しそうな予感がしてかけずにはいられなかった。

その終わりなきループが終わる頃、体は、心臓は、脳は、肺は、これまで感じたこともないほどの安心感を感じた。

そして、その永遠にも等しいループが終わる頃もう既に夜が明けようとしていた

そして、俺はクリュに起こしてもらうまで起きれなかった

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