プログラムコード A

(じと)

Program Code 001「ブレイカー」 -前編-

まっ昼間。

「ふぁあああ〜ぁあ…」
道路に接する公園近くの道端で、バイクに乗った男があくびをしている。
男は公園の方をしばらく眺めると
「…ちょっと二度寝するか」
そう呟き、彼はバイクをひいて、公園のベンチに寝転んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なぁ信介知ってるか?なんか、山道公園の広場でブレイカーの体験ができるイベントやってるらしいぜ」

ここは小学校。
子供たちが勉学に励み、勤しむ場所。
子供達が勉学に励んでいる中、2人の男の子がコソコソ話をしていた。

「なにそれ?ブレイカーになれるの?」

「ああ、コスプレ?らしいけどな
無料だし子供限定らしいから学校終わったら一緒に行こうぜ」

「へぇー面白そう!行くいく!」

「であるからして・・・・・・ってお前らあああちゃんと話を聞けええい」
話を聞かない生徒2人組に、先生はマーカーペンを投げつけた。

「うおおおおおおお」

「先生あぶねーよ!怪我したらどーすんだよ!」
先生の投げたマーカーペンは当たらず空を斬っただけだった。

今喋っていた強気の男の子は新条竜介、前髪が少し逆だっているのが印象的な男の子。
隣で喋っていたもう一人の真面目そうな男の子は、甲崎信介。

「うるさあああい!先生だって…先生だってなぁ!お前らが話を聞いてくれないから心に怪我したんだよお!!(泣)」
先生は生徒みんなの前で、顔を手で覆い隠しながら泣き出した。

何言ってんだこの先生・・・と思いながら眺めていると

「「あーせんせーなかせたー」」
「「いーけないんだーいけないんだー」」
他の生徒達が二人の男子にヤジを飛ばしはじめた。

「えぇ…な、泣かないでよ先生…」

「ごめんって…ちゃんと授業聞くから」
男の子達は戸惑いながらも先生に謝った。

「よぉし!じゃあ問一の問題は信介
問二は竜介だ!!さぁ黒板に書きに来いや!」

  少しポカンとしたあと  
「「…あ、泣くふりしたな先生!!!」」
2人は大きな声で反抗した。


そんなこんなで授業は終わり、生徒達が帰っている中、数人の子供達はとある場所へと向かって行った。

「おお、やっぱり他のやつらもいっぱいいるな」
「そうだね!ならぼう!!」

芝生の生えた広場があり、少し先には塀が見え、その先に公園がある。
公園の反対側、広場の道路に近いところでトラックが止まっており、その近くに大きめのテントが見える。
子供達がそのテントに並んでいるので、そこがコスプレ体験する場所なのだろうとすぐにわかった。


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一人ずつテントの中へ入っていき、自分の番になると、なにやら体格のデカイ大人の人が中へ案内してくれた。 
ゴツい。

「おおーすごい!ほんとのブレイカーのやつみたい」
テントの中には大きな照明とカメラがあり、近くにはブレイカーの衣装があった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃあ頭の部分をつけるよー」

「はーい」

チクッ
「いてっ」
(髪の毛挟んだのかな…?)
何かが刺さるような痛みがあったが、気にせず着替えを続けた。

「じゃあ記念写真撮るよー」
パシャ

楽しいコスプレタイムはすぐに終わった。
まぁ他の子達も結構並んでいたので当たり前かもしれないが。
衣装を脱いで、記念写真を貰ってから外に出ると、友達の竜介が待ってくれていた。

「Nのブレイカーかー、この前ブレイカー24時の特番やってた時、そいつはPって身体に書いてあったな」
おもむろに竜介が、昨日やっていた番組の話をした。

「英語のアルファベットの数いるのかな…?
でもテレビのやつ以外あんまり知らないなぁ」
テレビに写っていたブレイカーには
顔の一部に「P」の文字の様な模様があった。
さっきテントでやったブレイカーのコスプレには、Nの様な文字が頭と身体にあった。

「俺が前ネットで調べたらBとかEもあったなぁ」
どうやら竜介は他のブレイカーのことも知っているようだ。

「へ〜じゃあ本当に全部ありそうだね」
「だな」
好きなものの話をするのが好きだった彼らは、テントの近くで少し談笑していた。
しばらくすると、ある異変に気付く。

「ん?なんかあっちが騒がしくないか?」
おもむろに竜介が呟く。

近くまで寄ってみると、自分達の前に並んでいた少年達が、苦しそうに横たわっていた。

「だ……。…ッッッ!!!!?」

話しかけようとした時、目の前の子供たちの口元から血が出ているのに気付いた。


「血が…!!」

思わず隣にいた信介も言葉が漏れる。

「うっヴぉええっ」
戸惑っているそばから、子供たちはどんどんと血を吐き出していった。

「は、はやく誰か呼ばないと…」
「お、大人の人!さっきの所の…い゙」
ボタッ

…少しの沈黙の後、竜介は自分が血を吐き出したことに気付く。

「…えっ?」
信介も竜介の異変に気付き、息が止まる。

「ヴォエエッ ウッウェッップっ…」
ベチャっ

信じられない量の血を吐き、恐怖からか信介が1歩後ずさりした。

「な…に…何が起きて…」

「ギアアアアアアアアアアァァァッァァ」

「ひっ」
突然、倒れ込んでる少年たちの奥の方から、人間とは思えない不気味な奇声が発せられた。
しばらくすると、奥の方に
ヒタ… ヒタ…
と、化け物が歩いてる姿が見える。

「なに…あの…化け物…。あれ…テレビでブレイカーと戦ってた奴じゃ…。なんでっ…。これ…これって…。」
目の前にいる化け物を前に、思わず手で口を塞ぐ信介。


いやだああああああああ
ウアアアアアアアアアアアアアアアアア
ぎゃあああああああああっっっ
ここからそう遠くはない場所で、悲鳴が沢山聞こえてくる。

「ブォッヴォエ…。に、げて…こう…」
横たわっている竜介が話しかける。
「で、でもりゅう…」
友達が苦しんでる中、化物が近くで徘徊する恐怖で足がすくんで動けなくなっていた。

「キシャアアアアア」
突然、近ずいて来た化物が、信介に襲ってきた。

「うわっ!!」

ドンッ

と、横にいた竜介が、信介に体当たりをして、遠くへ吹っ飛ばしてくれた。

「はやくいけ!!!!」
つかさず竜介が叫ぶ。
まるでもう自分はダメだと言わんばかりだった。
「……ッ  」
目を塞ぎ、信介は反対の方向へ走った。

「………」
信介が走り去って行ったあと、竜介は少し微笑んだ。
「うっ…ぐっ、ああああああああ」
竜介は近くまで化物が近くに寄った当たりで体全体が軋むように痛みだし、思わず声を張り上げた。

その竜介の叫び声に、思わず振り返ると
…見てしまった。

彼の体が、少しづつ変化していくのを……。

ーーーーーーーーーーーーー

「そろそろ時間かね」
「ええ…実験は失敗。全員怪人化したみたいですね」
テントの隣、トラックの中、怪しく光るディスプレイが並んだ場所で
テントにいたゴツい男と白衣の男が話をしていた。

「適合者はナシ…か…」
「そー………あ!…1人だけいました」
「……連れてこい」
「りょーかい」
片方の白衣の男は、どうやら上官で、目つきの悪いゴツ男が取り巻きの様だ。


ーーーーーーーーーーーーーー

「ンンー!!」
ゴツい男に捕まった信介は、大声で助けを呼ぼうとするが、口をガムテープで塞がれて、助けを呼ぶことがままならなかった。
体も縄で縛られ、身動きも出来ない。


「ま、これだけ仲間もできたんだ
ボスも喜んでくれるだろう」
「いいんですかねこの人数…、大部注目されちゃいますぜ」
「目的は適合者を見つけることだ、どうせ注目された所で、奴らは私たちを見つけられない」

テープで口を塞がれた信介は周りにいる怪人たちを見渡す。
怪人の外見はほぼ同じだが・・・どうやら
信介以外は全員怪人化した様子だった。
周りの怪人の数は、さっき並んでいた子供たちの人数と同じなのだ。
怪人達はギィギィと言うだけで暴れる様子はない。操られてるのだろうか。
僕はこれからどうなるんだろうか・・・。
信介が不安に怯える中、

奥の公園の方からなにやらエンジン音が聞こえてきた。

ブオオォン
ブオオオオオン
ブオオオオオオオオオ

次第に音は大きくなっていく。

ガタッガタン
キキイイイイイイイ

突如塀の上から、バイクに乗った男が現れた。

「誰だ、てめえ」

バイクに乗った男はヘルメットを被っており、顔はよく見えない。

「…ただの一般人だよ」
バイクに降りながら、そのまま言葉を続ける。
「…子供の誘拐みたいなやつを見過ごせるか、その子供を置いていきな」

「じゃないと、通報しちゃうぞ?」
そう言いながらヘルメット男は、携帯を開いて見せびらかす。

「結構結構、奴らが来る前に逃げるだけさ」

「・・・じゃあ俺が捕まえとくか」
パチッと携帯を閉じる。
「面倒くせぇけど」

「面倒なのはこちらの方だよ…」

「「ギイイイイイイイイイィィィィィィ」」
白衣の男が手をヘルメット男の方へ向けると、瞬く間に化物達が囲んでいった。

「やれお前ら」

「チッ!」
男は舌打ちすると、コートの中に手を伸ばし、何かを取り出した。

「…なっ!!??そのベルトは!!」
ヘルメット男の手には、なにやら大きめのベルトが握られていた。

次々と襲い掛かってくる怪人たちを蹴り飛ばしながら、そのベルトを腰につけ
今度はポケットからカードを取りだし、そのままカードをベルトに差し込む

「プログラムコード001」

その言葉を口にすると、

『Program code confirmation』
『Start makeover』

とベルトが反応した。

ピカアアアアアァァァァッッッ

突如ベルトが輝きだし、ヘルメット男の周りを光が覆う。



光が止むと、そこにいたのは、



_________Aの文字の
                          ブレイカーと
                                   呼ばれるものだった。



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