超能力者 神本くん
2時間目
「くっそ、昨日は変な目にあったぞ、新学期初日からどんな拷問だよ….」
守谷は、赤くなった両膝を手でさすっていた。
「どこに行くの守谷くん」
「うわっ! どこから現れやがった!」
「どこからってずっと足音を消しながら後ろを付いてきたよ」
「なんでそんな事してるんだよ…...上履きを履け! 靴下汚れるだろうが!」
「あんな仕打ちを受けたのに、僕のことを気にするなんて、さすが守谷くん優しさが違うよ!」
「テメェが一回、靴下の中に牛乳入れて乳搾りとか言いながら俺にかけたことまだ覚えてるんだぞ!!!!」
そんなこんなのやり取りをしながら階段を登って行く。
「どこかに向かっているのかい?」
「あぁ? お前から逃れるために屋上で飯食おうと思ってな!」
……そういえばなんで付いてきてんだよ!!
「(君のいるところに僕ありだからね)」
「テレパシー使うなっ! クッソ、今度から教室に縛り付けてやる」
守谷は言い放つと、屋上に向かう足を止めて神本に言い放った。
「テメェとは、教室の惨事を直してきたら一緒に飯食ってやるよ!」
「言ったね、守谷くんその言葉を僕は忘れないよ!」
神本は守谷とは反対側に歩き出した。
「これでゆっくり飯食えるな!」
屋上に着くと、いつもの場所である大きな排気口の煙突の様な物に背を預けて座った。
「ふぅ、4限までにこんなに疲れていて午後の授業なんてまともにつけられるのか?」
「君ならいける! 僕が証人になろう!」
「意味がワカンねぇ事言って現れんな! どこから現れやがった!」
「歩いてくると時間がかかるからね、一度、気体になってこの排気口からさ!」
「なるほどな!」
神本はそっけない返答に対して驚きの表情を浮かべているが気にしない方向性で!
守谷は持ってきていた包みをあけると大きめのタッパーが現れた。
タッパーは外から見ると中に赤いものが入っている事がわかった。
「それはなんだい? まさか、学校に来る前に倒してきた魔物の血肉でも入っているのかい?」
「そんなわけねぇだろ!」
タッパーを開けると、そこにはタッパーいっぱいのトマトが入っていた。
「笑うなよ? 俺はトマトが大好きなんだ!」
神本を見ると、絶望した顔でプルプルと震えている。
「守谷くん?」
「あっ? どうした」
「君もしかして…..ツッコミからボケに変わろうとしているのかい!?」
「何言ってんだお前??」
「僕の魔物の血肉というフレーズの返答としてトマトなんて見せられたら、この後は僕が君に吸・血・鬼・か・っ・!!」
「ってツッコミの流れしかないじゃないか!!」
「お前と俺で、漫才コンビ組んでるわけじゃねぇんだよ!」
意味のわからない神本の会話を聞いていると、屋上につながる扉が開いた。
「ここで何をしている!」
「ゲッ!! 亀井先生かよ、なんでここにいる事がバレたんだ!」
「外の排気管を使って神本が屋上に上がって行くという声が教員室に飛び込んできたからな!」
「キヒヒヒッ…まだまだボケの席は君には譲らないよ!」
「クソ野郎…おまえのボケはダメージがデカいんだよ!!」
「さすが、守谷くんいいツッコミだね!」
「うるせぇっ!!」
「おまえらがうるさいわ! 教員室まで黙ってついてこい!!」
二人は教員室まで連れていかれると、生徒指導室で三人の教員からのお説教を受けた…
「すみませんでした。今後は心を改めて学校生活を送ります」
「男に二言はないなっ! よし、教室に戻ってよし!」
「ありがとうございます」
ガラガラガラ…
説教が終わり、部屋を後にすると…
「一緒に、怒られちゃうなんて、初体験だね(照)」
体をクネクネさせながら話してくる神本に対して怒りのツッコミを食らわせてやった。
傅かし
「クソ野郎がこういう時に限って、あの超・能・力・使わなかったのは、その一言のためかよ…」
「よくわかったね、さすが相・方・だ!」
「誰が相方だよ!」
神本に対しての怒りを覚えながらも教室のドアを開けた。
ガラガラガラ….
扉を開けると、目の前には麻里ちゃんが立っていた。
「報告は受けたわ! 先生に傅かしずいていたそうじゃない! 私、以外に傅かしずくなんていい度胸してるじゃない! これは私からもお説教調教が必要かしら」
「おい! 話が違うぞ! 教室元の状態に戻ってないじゃないか! 麻里ちゃん、ド・S・女・王・様・のままだぞ!」
「あっ、いっけねー! 解除するのてっきり忘れちゃってたよ。テヘペロっ」
「そのネタは、もう古いんだよぉぉぉぉおおお!!!!」
「今日イチのツッコミありがとう!!クヒヒヒヒッ…」
騒音での授業妨害として隣のクラスからのクレームが入り、再度生徒指導室まで連れて行かれる守谷であった。
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