転生した異世界の女の子達が遺跡並に謎過ぎる件~ステータス、職業、性転換スキルの力で神代遺跡を攻略せよ! 理由? 見つけたのが美少女だったから~

ナギ@にわか

2.ステータスと武器作成

この世界はゲームの様に作られている。
例えば、全ての生き物にはステータスやスキルがあって、ステータスは物理法則を無視するし、スキルがあれば知らないことも出来てしまったりする。
それがこの世界での普通だ。

とりあえず、

「メニュー」

神様からの贈り物、その一。
ステータスやスキルは自由に見られるものでは無い。……けれど、転生、転移者にはおまけとして見られるようにしてくれるらしい。一度日本に渡ったノエルも同じようにそうなっている。

ステータスの項目を開く。

────────────────
名前:ユキ
種族:精霊《愚者Lv1》
第一職業:【選択してください】
第二職業:【選択してください】

ソウル:50/50
マナ:100/100

身体能力:I
〈筋力:1〉
〈敏捷:3〉
〈防御:1〉
〈器用:4〉
〈体力:2〉
〈再生:3〉

魔法性能:H
〈精神:9〉
〈操作:7〉
〈制御:9〉
〈抵抗:7〉

確率系統:H
〈ドロップ:8〉
〈レアドロップ:14〉
〈クリティカル:19〉

◇選択可能職業◇
《平民Lv1》《魔術師見習いLv1》

◇スキル◇
【言語理解】【因子吸収Ⅰ】
【スキル鑑定】【無限収納】
【スキル共有】【性転換】

◇選択可能種族◇
《夜狼族Lv1》
────────────────

ツッコミどころはいくらでもある。
だかしかし、これだけは言わせて欲しい。

「名前が一文字足りてないよ……」
「女の子みたい。ね、本当の名前は?」
「雪人……大雪の日に産まれたからっていう理由だからあながち間違ってないのかも」
「ユキ様……か、ご主人様。どっちがいい?」
「それ以外の選択肢を下さい」
「無い」
「……じゃあ、ご主人様の方で」

ユキ様だと女の子だと思われそう。
今でも女の子と間違われる僕にはあまり嬉しくない。それに、ご主人様と呼ばれるのは悪い気がしないというのもある。

「よし、名前については神様――神が適当だったってことだとしても、精霊ってなに?」
「んと……魔法が得意で、世界が生まれた当初から居る生き物。……ごめんなさい、後は分からない」
「いや、気にしないで。ちょっと気になっただけだから」

種族が違う理由は分かっている。
特典として種族もランダムで変わったらしい。ノエルがそのままなのは自分の意思だそう。

身体能力とかの方は見れば分かるので後回し。

問題はスキル。
【言語理解】【スキル鑑定】【無限収納】辺りは定番とも言えるのでよし。鑑定がスキルだけなのは珍しい気もするけれど。
で、【因子吸収Ⅰ】ってなに?
【スキル共有】って聞いたこともないよ。
一番訳分からないのは、【性転換】だけど。

あって良かった【スキル鑑定】。
念じるだけで発動可能だった。

【言語理解】
・あらゆる言語を理解する。入力、出力、共に可能。基本的には最も慣れた言語として認識される場合が多い。

うん、これは予想通り。
でなければノエルと話せてないだろう。

【無限収納】
・物を無限に収納する。開く度にマナを100消費し、一度物を取り出すか入れると入り口は閉じる。入り口のサイズも無限。

……ん?
今の全魔力が必要なんですけど?
これって、所謂ゴミスキルなのでは?
いや、もしかしたら精霊の僕なら使えるかもしれない。《愚者》って部分に不安はあるけれど。

【スキル共有】
・スキルを常に使用可能になる代償として、全ての職業補正が最低値となる。

おお! これは素直に嬉しい。
最低値になるのは残念だけれど、別の職業で手に入れたスキルをいつでも使えるということなのだから。剣士をしながら魔法使い……魔術師にもなれるという訳である。
訂正したのは職業に《魔術師見習い》があったためだ。

【性転換】
・性別を変更する。変更するのは見た目だけでなく、ステータス、及び精神構造も含まれる。人族などには使用不可。使用すると――

そうだね、普通は性転換なんて出来ないだろうさ。でも、僕は精霊だから出来るんでしょ? 知ってた。
ステータスも変わるっていうのだけ気になるかな。

「ご主人様、【因子吸収Ⅰ】は?」
「いや、うん、分かってるとも」

見て大丈夫なのか心配だっただけ。
よく考えると【性転換】よりも危ない代物かもしれないのだ。

【因子吸収Ⅰ】
・生物の因子を取り込むことで、その特徴を持った生き物に変化することが出来、ステータスも変動する。愚者専用スキル。

……あれ? 予想以上にやばい。
てっきり、モンスターを食べればスキルが手に入るみたいなのだと思っていた。特徴ということは、鳥の因子を取り込めば羽が生えるのだろうか。
まさか鳴き声ではないはず。
夜狼族は……ノエルの唾液?

「ノエルのステータスもリセットされてた?」
「うん。でも、知らないスキルがあった」
「へぇ……見てもいいの?」
「どーぞ」

僕のを見ていたのだからいいのだろうけれど、一応確認はした。嫌われたくないから。

────────────────
名前:ノエル
種族:夜狼族Lv1
第一職業:【選択してください】
第二職業:【選択してください】

生命:120/120
マナ:30/30

身体能力:H
〈筋力:9〉
〈敏捷:9〉
〈防御:7〉
〈器用:5〉
〈体力:6〉
〈再生:4〉

魔法性能:I
〈精神:2〉
〈操作:1〉
〈制御:2〉
〈抵抗:4〉

確率系統:I
〈ドロップ:4〉
〈レアドロップ:6〉
〈クリティカル:8〉

◇選択可能職業◇
《平民Lv1》《メイド見習いLv1》

◇スキル◇
【言語理解】【身体強化Ⅰ】
【下僕Ⅰ】【隠密世界Ⅰ】
────────────────

【身体強化Ⅰ】
・マナで身体能力の項目を強化する技。魔法ではない。数字が高くなるほど強化倍率も上昇する。

【下僕Ⅰ】
・ノエルがユキに忠誠と愛を誓った証。ステータスに補正がかかり、ユキの現在地を把握出来る。スキルレベルと忠誠・愛の強さによって倍率も変わる。ノエル専用スキル。

【隠密世界Ⅰ】
・隠れるのに最適な場所が手に取るように分かり、隠密状態だと見つかりにくくなる。隠密状態での身体能力に補正がかかる。暗殺を行った場合のクリティカル率が跳ね上がる。


見た瞬間から【下僕Ⅰ】が気になって仕方ない。
忠誠はいい。本人が言っていたから。けれど、愛とはいったいどういう事か。トラックの件で惚れるほどチョロインだった、ということ……でいいのか気になる。
けれど、結局聞けずに僕は別の話を振った。

「ソウルと生命で違うんだね」
「……精霊だから?」
「まあ、それしかなさそうな感じだ」

生命がHPなのは分かるけれど、ソウルも同じなら呼び方を変える必要も無い。何かしら違いはあるはずだ。
試す……には度胸がいる。HPかどうかを確認するには自分を傷つけなければいけないのだから。
それに、その為の道具もないので後回しにしよう。断じて怖気付いた訳では無いとここに宣言しておく。

スキル達は神がくれたもので、職業欄の二つ目も同じように神から貰ったもの。正確には、僕が三つになる予定だったものをノエルと二人で分けたらしい。
その理由はこれだ。

【スキル創造】×2

メニューの端で輝く文字。
スキルを二つ作れるというのは分かる。
そして、二つあるのは僕の分とノエルの分だ。ノエルの分を僕に渡した代わりに、僕が職業欄を一つノエルに渡せるよう頼んだ……らしい。
覚えてないけれど、僕ならそうすると思う。

ちなみに、職業欄は初期で一つ。
種族レベル30、60、90で増えるそうだ。ただ、レベルが100以上あるのかは不明なので、一枠増えるのはかなりずるい。

では、スキルでも作りましょうかね。

「といっても、どんなスキルにしたらいいかなんて分からないしなぁ……ノエル、今必要そうなのは?」
「武器が欲しい。それかご飯!」
「はいはい、武器は重要ですねー」

ご飯の部分はスルー。

「むー……」

ノエルが頬を膨らませて拗ねた。美少女がやると可愛いけれど、「ごめん、お詫びするから今は一緒に考えてくれると嬉しいな」と声をかける。

「頭、撫でてくれるっ?」
「うん、もちろん」
「わかった!」

子供っぽいところがまた可愛い。

真面目な話、武器は必要なのだ。
魔物が出てくるかもしれないし、人だとしてもノエルに乱暴をする可能性もある。無いと思いたいけれど、ノエルほどの美少女ならそういうことを考える人種もいる。
楽観視は出来ないだろう。

とりあえずは決まった。
汎用性が高く、僕以外にも使える武器が作れれば助かる。鍛冶はここで出来ないからダメ。魔力を使うものが望ましい。

――スキル創造【武具創造】

《既に【武具創造】は存在します》

おっと? じゃあちょっと変えて、

――スキル創造【武器創造】

《既に【武器創造】は存在します》

なんと!?……綺麗な平城京。
落ち着け、まだ慌てるような時間じゃない。
そうだ、文字は若干変えて、明らかに無さそうな効果のスキルをイメージしよう。散々ゲームをやって来たじゃないか。

――スキル創造【武器作成】

《スキル【武器作成Ⅰ】を取得しました》

「よっし! これで……」

【武器作成Ⅰ】
・スキル保持者の知識に存在するあらゆる武器を作れるようになる。マナ作成の場合は一時間で消滅。材料のみを出す場合は消滅しない。マナ作成の場合、武器の性能は身体能力の器用、魔法性能の数値によって左右される。

なるほど、と試しに開いてみる。
メニューに追加されているようだし。

───────────────
◇作成可能武器種一覧◇

片手剣
ナイフ
───────────────

す・く・な・い!
増えるんだろうけどなんかなぁ、しかも片手剣とナイフって。別に片手剣は要らないような。
試しにナイフをタップすると、いきなり作られる訳ではなくナイフの種類が出てきた。
まあ、木か鉄のナイフしか無かったけれども。
石のナイフが無いのは中々見ない物だからだと思う。

【鉄のナイフをマナ作成しますか?】

いえーす。
あ、一瞬で出来たし。マナの消費は30。
一時間で30ならいい方なのだろうか。よく分からないけれど、異常なほどチートじゃなくて良かった。扱いに困りそうだし。
ついでに言っておくと、材料を作成すると桁が変わるっていう。具体的には400くらい。

「ノエルから見てこのナイフはどう?」
「たぶん、普通。悪くは無いけどよくもない」
「そっか。まあ、最初だから仕方ないってことで」

もうひとつ創れるけど……また今度。
それよりも、今はここから外に出ないといけない。遺跡の中だから雨は降らないけれど、食糧はすぐに無くなる。

「行くの?」
「うん。いつまでもここには居られないからさ」

立ち上がったノエルは綺麗なまま。
いや、容姿の話ではなく服の方。僕もノエルも、ボロボロで血だらけになったはずなのに元の服で汚れも前のまま。生き返ったことに比べれば些細なことだけれど。

「それじゃ、どっちに――」
「ご主人様っ!」

焦りの混じった声と共に視界が掻き回される。どういうこと? どうすればいい?

「くっ……」

激痛を感じて初めて気づいた。僕の体が吹き飛ばされたのだと。けれど、トラックの時程ではない。

痛む体を起こし、敵を睨みつける。
こんなに早く、ナイフが必要になるとは思わなかった。さて、戦う為の自己暗示をかけようか。

切っ先を敵に向けて、宣言。

「  お前を殺す  」

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