寺生まれのざーさん

ケッキング祖父

くねくね

僕の名前は唐笠竹鉄平からかさだけかねひら。八幡旗高校に通う平凡な男子生徒だ。

先日、八幡旗高校の3年4組で教室内にいた生徒34名が一瞬にして死に絶えるという、凄惨な事件が起きた。犯人は3年4組の担任である桶狭間宗次郎おけはざまそうじろうと、この事件の生き残りである馬場正幸うまばまさゆきといわれている。

今回の事件があって、学校は事態に対処するため臨時的に学校を休校。僕達は受験生とは思えないほどの長い休日を得ることができた。

この休日の間、僕は兄の唐笠竹宗平かさかさだけそうへいとともに、田舎の祖父母の家に訪れた。

流石は田舎と言うだけあってなにもない。暇をもて余した僕と宗平は、祖父母の所有地である田んぼの側をぶらぶらと散歩していた。

「ん?なんだあれ?」
宗平が田んぼのど真ん中を見つめながら言う。
「なにかあったの?」
と僕が聞きながら宗平と同じ方向に目をみやると、遠くに離れていてよく見えないが、

くねくねと動く、しろいなにかがあった。

それをみた瞬間、僕は「あれはくねくねだ。
」と一瞬で理解した。

くねくねとは、有名な怪談に出てくる怪異で、田んぼの真ん中にたっており、ハッキリとその姿を見た者をとたちまち狂わせるという、恐ろしい怪異だ。

まずい。宗平に教えなきゃ。
そう思い宗平に目を戻すも彼は双眼鏡を手に取り、くねくねの姿をハッキリとみてしまっていた。

「うわあああ!!」
助かりたい、自分の兄が狂った姿を見たくない。そう思った僕はくねくねと宗平に背を向け走り出した。

全速力で走っているが、後ろから足音がする。何かが追いかけてくる。くねくねか、宗平かのどちらかだろう。
パニックになった僕は叫びながら走り続ける。目の前には田んぼ。この中に入ってしまえば泥に足をとられ捕まってしまうだろう。

すると僕の目の前の田んぼをかきわけ、一人の男が姿を表した。
英語教師でヘビースモーカー。そして現在殺人の容疑で全国指名手配中の寺生まれ、ざーさんだった。

「なんやぁ?」

煙草を吸いながらそう気だるげに呟く彼の脇を僕は通りすぎる。正直こんなやつどうなってもいいだろう。

後ろから「どん!」と鈍い音がする。

後ろから追いかけてくる者とざーさんがぶつかったのだ。追いかけてきたものがくねくねだった時のことをかんがえ、僕は振り向かない。すると、

「痛いんじゃ糞餓鬼!顔も見たくない!」

激昂したざーさんの声が聞こえる。
その瞬間後ろからまばゆい光が差し、仄かにヤニの臭いがした。驚きのあまりくねくねのことなど忘れて振り向いた僕の目に映るのは、青白く光る拳をふりあげるざーさんと、その光を見て自我を取り戻した自分の兄の姿であった。

「ぼっ僕は…一体なにを…」

そう呟く彼にざーさんは拳を振り落とす。
その瞬間宗平は消失し、光に巻き込まれて僕は片腕を失い、遅れて追いかけてきていたくねくねも死んだ。

その後、ざーさんの力の余波が村一帯の稲を全て焼き尽くしたため、祖父母の住んでいた村は廃村が決定、甚大なる被害をもたらした当の本人はヤニの匂いを残してどこかに消えてしまった。

「寺生まれってすごい。」

誰も居なくなった村と消失した腕の断面を交互に見ながら、僕はそう思った。


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コメント

  • オナ禁マッスル

    ざーさん強すぎる

    0
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