悪人ベルト

吉川瑠奈

1話

 オレこと後藤一輝(ごとういつき)は平凡な人生を歩んできた。
 ごくごく普通の保育園に普通の小学校、そして普通の中学、そして今いる自称進学校のクソ高校。
 謎の秘密結社に肉体改造もされてなければ異世界転生にも巻き込まれたり...そんなアブノーマルな日々など専門外。そんな高校3年生である。

 まぁ、こんなつらつらと書き述べた前置きはこれくらいにして本題に移ろう。

 オレは今老人に絡まれている。まぁ老害がはこびっているこの時代に絡まれたりするのは当たり前かもしれないがその老人はひと味もふた味も違った。

「お主にはこの世界が面白いじゃろうか?」

 そう言いながらドクロのような装飾が施されたベルトを渡そうとしてくる。

「こ、これは?」

 クソッいつもの癖でどもってしまったとタジタジしてると

 「世界を変えることができる最強のベルトじゃろうかの」

 フォッフォッと老人らしい笑い声で笑う老人を見てまぁ、乗ってやるか。と思いそのベルトに手を伸ばし触れた時、ワープホールのようなものに吸い込まれてその場から消えた。
 そしてその瞬間からこの世界からオレの存在が消えた。

「な、なんだっ?!」

 目を開けると辺りにはさっきまで視界に入っていたコンクリージャングルの街並みではなく美しい青い空に赤や白、青と言った花が点々と咲いている緑の草原が広がっていた。
 「は?!」

 何も意味が分からず呆然と立ち尽くしていたその時頭の中に直接語りかけるのように先ほど話していた老人の声が響いてきた。

 「お主はあの世界で満足してなかったようじゃから適当な世界に放っておいてみたぞ」

「....は?いや、意味わかんねぇよ!お前何言ってんだよ!」

「だからお主がいた世界ではない世界線に飛ばしただけじゃよ」

 どうだ?いいことしてやっただろ?と言わんばかりのテンションで言ってくる。

「いや、別に俺はそんなこと望んではない!俺にはな口うるさい母に怒ると首を締めてくる父、そして天使のように可愛い妹に生意気だがそこが可愛い弟もいる!」

「じゃがお主がわしの手を取ったことは事実じゃしの〜。それにお主の存在はあちらの世界にはもうないぞ」

「どう言う意味だそれ...」

「そのままの意味じゃよ、お主がたとえあちらの世界に戻ったとしてもお主を知っている者はおらぬしまず、お主の存在は無かったことになっておるぞ」

 フォッフォッと愉快なそうに笑う老害にイラつきながらもなんとか理性を保ち会話をする。

「はぁ、くそがっ。もういい、なら俺はこの世界でどうしたら良い?」

「フォッフォッフォッ。よくぞそれを聞いてきたのぉ、そろそろその言葉が出なかったら念話を切っておったとこじゃったぞ」

 危なっと感じ少し冷や汗をかいた。流石に何も知らない世界に放り出されるのは危ないと感じていたからだ。

「お主に渡したベルトがあるじゃろ、その力があればこの世界でも生きていけるはずじゃ」

「でもってなんだよ、そんな危ない世界なのかここは?」

「まぁお主がいた世界よりかは何倍いや何百倍も危ないじゃろうの。」

「なんでだ?もしかして魔物とか...?」

 やはり年頃の男子、少し期待するとその通りの答えが返ってきた。

「そうじゃ、この世界には魔物も存在するし他にも色々...まぁそんなことはおいおいわかっていくじゃろうからそのベルトの能力だけ教えておこう。」

 次回、明かされるこのベルトの能力とは?!

コメント

  • コング“シルバーバック”

    セリフと地の文の間に行間を入れた方が読みやすくなっていいと思います。

    0
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