前略、校庭にて

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- 校舎を目指す -



前略、校庭にて 
 - 校舎を目指す -




ぼくは物心をつき始めた
多分3歳か4歳児


記憶と言うものが発達途上なので
多分になるが失敬。


カメラ好きな父親と過ごしているので
週末、今日もどこかへ
また連れまわされている


先週は台風だったからな、
今回は先週の分までモデルだぞ
やれやれ。


毎度の事ではあるが、
何かをバックに、何かの環境下で被写体になる予定である、


不自然なシチュエーションをより自然、かつピュアな子供らしいく、偶然的な感情は必然的な表情を演じさせられるモデルは別途料金を貰いたいくらいだな。


先週上陸した台風も去り
あいにく天気も良く、
木々の色彩の変化が目立って来た青空の下で、お金も掛からず、時間も掛からないそれほど遠くない小学校へ歩きで向かう


徒歩15分くらいかな
この位の時間が異様に長く感じるのは子供のぼくくらいかな


家を出て、今の軽自動車がすれ違えるかどうかくらいの道幅をトコトコ歩く


途中の信号機の無い交差点、
この道より広い道の両脇に駄菓子屋さんが、
ウエルカム!と
言わんばかりに無言で誘惑する店構えを横目にまた歩く


日頃お世話になって居る
文房具屋さんを過ぎる
その直ぐ隣は学校の離れのグランド


台風の影響で白線も滲んで
隅の木陰には水たまりが残って居る


途中どこの誰ぞが無理に破り開けた
金網が暗黙の出入り口になってる様だ


そこからは入らず、
グランドを過ぎるとプールがある
もう遣われて居ないのか
底には苔だらけの緑のプールになって居る


中にはどこから来たのか得体の知れない何かが動いてるが気味が悪いから無視して歩くと目的の校舎が見えて来た


この敷地内にもグランドがある
ど真ん中を横切る、
学校関係者以外が出来る醍醐味だ。
グランド境の階段を上る、小石に敷き詰められた校庭に繋がってる道に出ると、ちょっとした公園に思える校庭


遊具が至る所にある、子供心を擽る小道具だな、参ったぜ。


モデルという事を忘れて遊具へ飛びつく、これも子供の仕事だ


待ってましたと、父親はカメラにフィルムをセットする
逆にその姿を第三者的フレームから写真を撮りたいくらいだよ、と思いながら横目にして遊び続ける。


日曜日ともなれば、
居るのは用務員のおじさんで
あとは残業居残りの教諭くらいだろう


公園感覚で勝手に遊ぶ。


自動車のタイヤを半分埋めて、
塗装をした物を跳び箱代りにする


この時に跳び箱は知らないのに自然と跳び箱の形をして遊ぶ様は自分ながら凄いと後で感じる、子供マジックだと自負する。



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