ピンボール / 鉄球の如く…

vrymtl

再会 編







店内を見回すと、バイト時代からまだ現役で頑張っているゲーム機が幾つかあるな。


レトロゲームブームの煽りで、一旦引き上げられたものを、また引っ張り出してきた様にも思えた。液晶モニターが主流の現在は、ブラウン管の筐体も数少なくなった中、ココにあるゲーム機は骨董品並みの価値がある。
古い物が元々好きな自分には堪らない…またココで働きたいと思ってしまうほどのお宝に見える。


会議室みたいな簡単なパーテーションで仕切られて居る所は、
左へ行けば値落ちした古いやつ、人気が無いやつの50円ゲームコーナー。


右へ進めば、数は少ない最新型の流行りのゲーム機が並べられて居る。
レースゲームとかライドオン系のゲーム筐体は疎らに置いてある。


この店は、狭いスペースだからプリクラなんて置けやしない…。
狭くてもこじんまりしてて、自販機のラーメンをのんびり食べられる、
それだけでも充分だ。


バイト時代よりは騒がしく無い、
デモ画面の音はオフにして居る。
昔ほど賑やかさは無いが、これも経費削減の考えからだろう、電気代はバカにならないからな。
死角になる所でも、これなら客の有無は音で確認できるし、防犯や時間帯で定める未成年排除にも繋がるからな。


いつの間にか、バイト時代の思い出が先行してお客である立場を忘れていた…それだけ短期間で、一所懸命にバイトしていたって事かな?
今の自分とはだいぶ違う過去を思い出しても、今の肥やしにはならずまた回想の時間で無駄な時間を費やしてしまった。


50円ゲームコーナーの古いゲームを懐かしく眺めながら通り過ぎて、店の一番奥にあるピンボールを見つける。


…とその前に、ピンボール機を通り過ぎてその奥のトイレを拝借、
急げ急げ、漏れる漏れる…。


数分後…


…よし、スッキリ!
洗った手をズボンのケツで拭きながらピンボール機へ。


改めてよく見ると…


「何だー?
    2台しか置いていないのか。」


バイトの時は大小合わせて4台有ったのに…。
台数は半分に減ってしまったけど、
懐かしく思い暫く眺めてる。
バイト時代に修理で苦戦したピンボール機1台を見つける。


「久しぶりだなぁーお前…
   相変わらずで元気そうだな?」


10年前のバイト時代と何ら変わらない姿を見て、ぼくは嬉しいと言うより感動してしまった…ちょっとジーンとくる。新店長がメンテや修理をしているのか、メーカーに依頼して来てもらっているのか、それはわからない。
時間が経っても変わらない姿を見るのは、競馬の馬が引退して馬主が久しぶりに会いに行く感覚に似てるのかな?
競馬はやった事無いからわからないけど…。
厄介で手がかかり、相当苦戦したからかな?


何か…、
バイト当時のぼくの姿が目の前に現れてる様でそれ以上は言葉にならない。それだけ頑張って修理したって事だな…うん。


コイツは、ココで見かけた時でも既に10年経っていたからな、
20年経っても現役なゲーム機は見たことない、偉いなーお前は。


だいたいは、売り上げが無いと1プレー増やすなり値下げするなりで、儲けが無いとわかると、お払い箱で何処かの中古ゲーム機屋に引き取られるのがオチだけど。
それか、コイツはそこそこ儲けてるのかな?人気機種なのか?!


アメリカ製、ミッドウェイ社
F-14 トムキャット


ギミックが、昔にしては複雑な造りだから直すのは大変な筐体です。
電源の規格が違うから、アース付きの三ピンを日本用2ピンにアダプターで変換して使用。


このアダプターが、コンセントの位置も悪いのだけど、お客さんが無意識に蹴飛ばしてプラグが抜け、ゲーム途中で切れてしまう…よく返金しましたよ。


色々と思い出すけど、今目の前に居るのは当時のコイツそのままなんだなと、それだけで充分だ。


「見た目は綺麗だな!
   それにしてもー…
   …今、動くのかな?コイツは。」






( つづく )





「ピンボール / 鉄球の如く…」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「現代ドラマ」の人気作品

コメント

コメントを書く