クレーターの邪神たち

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クレーターの邪神たち







西暦と言う名の暗い悪運の夜も明けて、
新暦の朝となるSA05年。
西暦から新暦のSAスペースエイジとなった訳は、邪神たちの住む惑星から生物が全滅した時間から数える事になる…あれから05年経った。


西暦の時代に、孤立した文明と社会、都合の良い政治や戦争をして来た邪神たちの惑星。やがて近隣や、未知の惑星から訪れる異星人たちと取引をするようになり、交渉と契約を繰り返しこの惑星にも本当の平和が訪れていた、と表向きでは思われた…


炎の星と呼ばれる異星人との交渉では、邪神たちが放出する二酸化炭素を要求していたが、酸素と引き換えだと揉めていた。


石の惑星と呼ばれる異星人も訪れたが、彼らとの交渉はすんなり進み契約を交わした。邪神たちが最も欲しがっている金が条件だったからだ。
邪神たちの惑星とは正反対の価値である石の惑星ではアルミが高価で金は腐るほどあり、アルミと金との交換条件は邪神たちの笑みが何百年も続いたほどだ。


水の惑星の異星人たちもここに流れて辿り着いていたが、交渉はしてこなかった。友好を理由に邪神たちが水の惑星を調査すると、邪神たちの長寿に繋がる成分で出来ていることが判明し、邪神たちから交渉していった。これで暫くは不老不死として数千年は生き延びていった。


風の惑星という異星人たちも居た。
この者たちは特に交渉より、助けを求めてきた。惑星の自転が狂い不安定で住みにくくなり、自転安定装置を考案、設置して常時稼動。暫くは通常の生活が出来るほどに戻っていたがその装置が壊れ暴走し始めてからずっと突風の世界と化してしまった。
これでは堪らないと、邪神でも情けが生まれた。自転が狂ったおかげで生成された銀が微量にこの惑星にはあるとわかって、友好契約を結んだ。


西暦の時代にこれらのビジターたちによる交渉と契約で、少しだけ命が延びた邪神たち…しかし、新暦となるきっかけになった光の惑星の者たちには敵わなかった。
この光の惑星は、全て核原子で出来ていた。邪神たちは近寄れないし、交渉には至らなかったので断ったが、光の中はとても平和な邪神たちとはまるで比にならないくらいの賢さと温和で友好的な者たち。しかし、邪神たちが追い払うように威嚇したため、その邪神たちの弱点を調べそれを知った光の惑星の者たちは総攻撃を始めた。


邪神たちは、今まで交渉してきた惑星たちにも援軍を要請したが、自らが怠慢で不利な契約ばかりされていた惑星の者たち同士の同盟軍がこの時とばかりに光の惑星を護衛、援護し邪神たちを敵にまわした。
これによって、邪神たちの惑星は青色ので綺麗な自然の星だったが、その緑は壊滅、水も干上がり生存者、生物ゼロのクレーターだけの惑星となった。


この後、同盟軍と光の惑星は新暦をこの惑星で迎えることになる…
言うまでもなく邪神たちの惑星は、この地球と言う星だった。






おわり






「…と言う、この星の歴史でした。
光の惑星の者たちが私たちの先祖として、この星を蘇らせたのです、わかったかぁー?
では、ここまでを来週の中間テストに出すから、わからないことがあれば職員室まで聞きにきなさい、では授業を終わりまーす!」




"キーンコーンカーンコーン…"






第三時限目
『クレーターの惑星、我が星の歴史〜西暦から新暦へ』の授業、




地球と言う過去の星…これで終わり。







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